【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

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思い出のクッキー ②

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——トン トン トン——

——………——

  返事はない。
 ホッと一安心しながらも、

「失礼します」

 ドアを開けると、部屋の中には電話中の晴人の姿が。

「!失礼しました」

 静かに瑞稀が部屋を出ようとすると、晴人は『待って』と言うようにスマホを持っていない方の右手を、瑞稀の方に手を伸ばし手招きをする。
 瑞稀は軽く頷くと、部屋のドアを閉め、その場で晴人の電話が終わるのを待った。

「それでは失礼します」

 電話が終わると、晴人は嬉しそうに瑞稀に微笑みかけ、

「ちょっと待ってて」

 室内にあるドアを開け隣の部屋に行くと、紙袋を持って出てきて、瑞稀の前に差し出した。

「これ……」

 差し出された紙袋を瑞稀は、不思議そうに見る。

「まだ好きかどうかわからないけど、昨日、瑞稀がカフェオレ飲んでいて思い出したんだ。よかったらみんなで食べて」

 さらにグイッと差し出された紙袋を、瑞稀は恐る恐る受け取り中を覗くと、そこにはカフェオレを飲む時、瑞稀が好んでよく食べていたチョコチップクッキーが入っていた。

僕の好きなクッキー。
もしかして、覚えていてくれたの?

 瑞稀はパッと顔を上げた。

「今でも……そのクッキー、好きかい?」

 自信なさげに晴人が言うと、

「はい……」

 晴人と別れてからは食べていなかったクッキー。
 でも瑞稀にとっては、特別なクッキー。

「よかったよ。もしもう好きじゃなくなってたら、どうしようかと思ってたんだよ。もしよかったら同僚の人たちと一緒に食べてくれると嬉しい」

 口角が少し上がり目を細め笑い、ほっと胸を撫で下ろす晴人の仕草は昔のまま。

晴人さん……。

 クッキーと共に晴人と一緒に飲んだカフェオレの香り。
 そばにあった晴人の体温。
 たわいもない話をして、笑い合った時間。
 一気に晴人と一緒にいた、懐かしく幸せだった記憶が蘇り、心が温かくなる。
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