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買い物 ④
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その日の夜もすっかり深くなり、邸宅の中の人々が寝静まった深夜2時過ぎ。
ガチャリとドアのぶが動く音がして、目が覚めた。
「……誰?」
不審者かもしれない。
恐る恐る問うと、
「僕だよ、ミカエルだよ」
ヒソヒソ話をするように、ミカは小さな声で答える。
「え?ミカ?本当にミカなの?」
僕は慌てて起き上がると、えへへとミカは勝手に僕の部屋に入ってくる。
「ダメだよミカ!僕今、風邪をひいているんだよ」
ミカを追い出そうと、ベッドから立ちあがろうとしたが、目の前がぐらりと歪み立ち上がれない。
「レオ、無理したらダメ。寝てないと」
いつもは僕がミカにするように、今日はミカが僕をベッドに寝かせる。
「体調はどう?」
ミカは僕の額に掌当てる。
ミカの手は冷たくて心地いい。
そっと目を閉じると、
「わぁ!熱高いじゃない!ちょっと待ってて」
そう言いながら、ミカは持ってきた銀色のお盆の上にあるティーポットからカップにお茶を注ぐ。
「これは?」
「これはいつもレオが僕のために淹れてくれるお茶だよ。僕いつもこのお茶を飲んだら体が軽くなるから、きっとレオにも効くと思って」
ミカはいつも僕がするように、お茶にフーフーと息を吹きかけ少し冷ましてから、手渡してくれた。
ミカが淹れてくれたお茶を一口飲む。
本当は咳に効くお茶で、咳の出てい僕にはお茶の効果なんて出ないはずなのに、気持ち悪さも熱も一瞬で無くなったかのように、体が軽い。
「本当だ!とっても楽になった!ありがとうミカ」
本当は大好きなミカを抱きしめたかったけど、流行病かもしれない病気をうつしてしまうかもと、やめておいたのに
「よかった~」
とミカが僕に抱きついてくる。
「ダメだよミカ!風邪がうつっちゃう」
「大丈夫。僕は無敵なんだ」
ニカっと笑いながら、がっつポーズを作ったミカは元気そのものに見える。
良かった。ミカは流行病にかからなかったんだ。
心配事がなくなって、ほっとする。
「ねぇ、レオはサイモンのことが好きなんでしょ?」
「え?」
急に聞かれて、咄嗟に何も答えられない。
「見てたらわかるよ」
どうしよう。サイモンのことを好きなのが、ミカに気づかれている。
上手く隠せていると思っていたのに……。
なにか言わないと。
なにか言わないと!
ガチャリとドアのぶが動く音がして、目が覚めた。
「……誰?」
不審者かもしれない。
恐る恐る問うと、
「僕だよ、ミカエルだよ」
ヒソヒソ話をするように、ミカは小さな声で答える。
「え?ミカ?本当にミカなの?」
僕は慌てて起き上がると、えへへとミカは勝手に僕の部屋に入ってくる。
「ダメだよミカ!僕今、風邪をひいているんだよ」
ミカを追い出そうと、ベッドから立ちあがろうとしたが、目の前がぐらりと歪み立ち上がれない。
「レオ、無理したらダメ。寝てないと」
いつもは僕がミカにするように、今日はミカが僕をベッドに寝かせる。
「体調はどう?」
ミカは僕の額に掌当てる。
ミカの手は冷たくて心地いい。
そっと目を閉じると、
「わぁ!熱高いじゃない!ちょっと待ってて」
そう言いながら、ミカは持ってきた銀色のお盆の上にあるティーポットからカップにお茶を注ぐ。
「これは?」
「これはいつもレオが僕のために淹れてくれるお茶だよ。僕いつもこのお茶を飲んだら体が軽くなるから、きっとレオにも効くと思って」
ミカはいつも僕がするように、お茶にフーフーと息を吹きかけ少し冷ましてから、手渡してくれた。
ミカが淹れてくれたお茶を一口飲む。
本当は咳に効くお茶で、咳の出てい僕にはお茶の効果なんて出ないはずなのに、気持ち悪さも熱も一瞬で無くなったかのように、体が軽い。
「本当だ!とっても楽になった!ありがとうミカ」
本当は大好きなミカを抱きしめたかったけど、流行病かもしれない病気をうつしてしまうかもと、やめておいたのに
「よかった~」
とミカが僕に抱きついてくる。
「ダメだよミカ!風邪がうつっちゃう」
「大丈夫。僕は無敵なんだ」
ニカっと笑いながら、がっつポーズを作ったミカは元気そのものに見える。
良かった。ミカは流行病にかからなかったんだ。
心配事がなくなって、ほっとする。
「ねぇ、レオはサイモンのことが好きなんでしょ?」
「え?」
急に聞かれて、咄嗟に何も答えられない。
「見てたらわかるよ」
どうしよう。サイモンのことを好きなのが、ミカに気づかれている。
上手く隠せていると思っていたのに……。
なにか言わないと。
なにか言わないと!
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