【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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野菜ジュース ④

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 ふぅ~。あれで誤魔化せたんだろうか?
 不安を感じながら、ルーカス様からの手紙を開ける。

 手紙のやり取りは6通目となり、だんだんとルーカス様との距離も近くなってきたと思う。
 はじめはミカの話ばかりだったけれど、時々自分たちの話もしたりした。
 ルーカス様の話は愚痴が多いけれど、普通の生活の中で愚痴を言える相手がいないかと思うと、高貴な立場も大変だなと思う。

 ルーカス様と文通をしていたミカも同じ境遇だったんじゃないだろうか?
 本当はもっとたくさんしたいことがあっても、病弱でできない。
 周りのみんなは自分のわがままを聞いてくれるけれど、自分のことを本当に思ってくれている人は何人いるのだろうか?と感じていたのではないか?

 ミカは繊細で敏感だ。
 人の仕草からいろいろなことを、読みとってしまう。
 きっと1人で悩んで、色々なことを諦めて、それでもやるせない気持ちを持っていたんだ。
 ミカ、そばにいた僕が気付いてやれなくて、本当にごめんね。

 ルーカス様への手紙を書きながら窓から外の景色を見ると、園庭には青々とした草木と、色とりどりの花が咲いていて、空はどこまでも高く白い雲が流れていく。
 ミカはこんな景色を見ながら、外に出られないことを悲しんだに違いない。
 動物が好きなミカは、きっと自分の馬を飼い大切に大切に育て、天気のいい日はその馬に乗って草原を駆け回っていたに違いない。
 読書が好きだったミカは本を片手に、園庭のベンチで何時間も読書を楽しんでいた違いない。
 そしてルーカス様に、何度も会いに行っていたに違いない。

 ミカは色々なことを我慢して、諦めざる得なかった。
 なのに僕はそんなミカの気持ちを考えず、僕が外で遊べないのも、父様や母様に見てもらえないのもミカのせいだと思っていた。
 なんて兄なんだ……。
 ミカに会いたい。

 誰かに聞いてもらわなければ、ミカを恋しい気持ちが溢れて、僕がミカでいることができなくなりそうだった。
 僕は便箋を取り出し、ルーカス様にミカに対しても気持ちを、全部吐き出すように書き綴った。
 またいつかあの時のように、ルーカス様とミカの話ができることを願いながら。

 手紙を書き終え、シーリングワックスで封をしっかり止めた時、
「ルーカス様への手紙?」
 後ろから抱きしめられる。振り返るとそこにはサイモンがいた。

「仕事は終わったの?」
「いや、まだ途中。今日はミカエルがそばにいないから寂しくて」
 そう言いながら、僕の頬にキスをする。
「ミカエルも寂しい?」
 甘えるようにサイモンは聞く。
「うん、寂しい」
 振り返り今度は僕がサイモンの頬にキスをした。

「本当に可愛い」
 サイモンは僕の顎を指で摘むとクイっとあげて
、唇にキスをする。
 それがだんだん深くなってくる。
「ん…っ、ぅん…」
 あ、大人のキス……。
 きゅんっとお腹の奥が疼く。
 くちゅりと唾液の音が混じりだし、サイモンの首に腕をまわしかけたが、
「ダメ!」
 僕はサイモンの肩を押し体を離す。

「まだお仕事中だし、まだこんなにあかるいのに、そんなことできないよ。誰か、来ちゃうかもしれないし……」
「人払いしてるあるから大丈夫」
 またサイモンが僕の顎を掴む。

 人払いしてるって、それってはじめからそういうことをするつもりだったの?
 そんなこと言われたら僕だって、ちょっとだけ深くサイモンに触って欲しくなるけど……。
「でもダメ!」
 自分に言い聞かせる。
「ダメ?」
 甘えるようにサイモンが言う。
「ダメ」
 そういうと、サイモンがしゅんと肩を落とす。

「本当は僕もたくさん触って欲しいよ。でも今はお仕事中だしダメ。夜……夜、たくさん触って……」
「いつもより?」
「いつも、より……」
 自分で言っておいて恥ずかしい。
 顔を背けると、また顎をクイッと上げられて軽いキスをされる。

「も~」
 こんなことされたら、離れられないじゃない。
 頬を膨らませ、睨むと、
「ミカエルが煽ったお返し」
 それだけ言い残して、サイモンは仕事に戻った。
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