完 独身貴族を謳歌したい男爵令嬢は、女嫌い公爵さまと結婚する。

水鳥楓椛

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 そんな女地獄に困っていた時、この国の頭脳と言っても差し支えないアイリーン男爵家が借金苦に陥っていると耳にした。

 だから俺は、契約婚を持ち込んだ。

 今思い返せば酷いなんてものじゃない仕打ちをしたと思う。
 目の下が真っ黒に染まり、頬は痩せこけ、泣きじゃくるまで精神的に追い詰められた人間相手に格好の餌をぶら下げ、無理やり結婚させた。

 けれども!
 だけれども!
 アレはない!!
 アレだけはない!!

 確かに結婚式はめちゃくちゃなものにしたし!
 結婚後も一切家には帰らなかったが!

 ………家の内装を総入れ換えし、俺の部屋を物置にし、帰りがけの旦那相手に思いっきり頬をぶん殴り、足をヒールで踏みつけるのはありえないと思う。
 そう思うのは俺だけか?

 沸々と湧き上がった怒りを我慢して、否、怒りにいくのですらも女と関わりたくないからという理由でやめ、アレを放ったらかしにした俺は、後から王太子にめちゃくちゃに叱られ、そして無理矢理に王家主催の舞踏会に連れて行かれることになった。

 少し前にウーデラ公と一応妻である女の処遇について揉めたこともあって、今回は仮病で欠席にしようとしていたのだが、王太子に見抜かれたために、それは不可能になった。

 それからはまさに地獄のような日々、………否、比較的穏やかな日々だったと思う。

 毎日遅くなりながらも帰宅して、地獄のようなダンスのレッスンをした。
 何度も何度も足を踏まれ、あいつのはちゃめちゃなダンスに腹が痛くなるほど笑って、………不愉快なはずなのに、どこか楽しかった。

 あいつからは臭い香水の香りも、濃い化粧の香りもしない。
 ただ野花のような穏やかな香りを身にまとい、華やかなドレスを嫌う。

 それが妙に心地よかっただなんて信じたくなかった。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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