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幕間2
しおりを挟む「あれ?副隊長、そのハンカチは?」
街の見回りの途中で、刺繍入りのハンカチをこっそり眺めていると、隣で歩いていた部下が目敏く見つけてジュリアスに訊ねてきた。
「ん?これか?俺の婚約者からの贈り物さ。」
「フォレス侯爵家のご息女様からですか?相変わらずラブラブで羨ましいですね~。」
ジュリアスはハンカチを懐に仕舞いながら、得意の笑顔でさらりと返してきた。
実際は強引に奪ってきたものなのだが、ヴィヴィアーナの事を遠巻きでしか見た事が無い部下は、ジュリアスの説明に羨ましそうに溜息を吐いてきた。
「あんなに綺麗な婚約者がいて羨ましいです。しかも、男性が苦手なのに副隊長だけは大丈夫だなんて、もう運命みたいですよね!」
「こらこら、上司を揶揄うんじゃないぞ。」
そう言って尊敬の眼差しで見上げてくる部下に、ジュリアスは苦笑を零しながら釘を刺す。
本当は蝮の如く嫌がられているのだが、ジュリアスは涼しい顔で部下の話に合わせたのであった。
――男性恐怖症のヴィヴィアーナ様は、ジュリアス様にだけは、お心を開いていらっしゃる――
――ジュリアス様も、ヴィヴィアーナ様を守るために騎士団の副隊長になるほど大切にされておられる――
――しかも幼馴染で相思相愛……まさに、運命の糸で結ばれたお二人――
とまあ、貴族の間では純愛カップルとして、運命の糸やら真実の愛やらと騒ぎ立てられているらしい。
相変わらず噂話が好きな奴らだよなぁ~、とジュリアスは、いまだに自分達の話で盛り上がる部下達を横目で見ながら肩を竦めるのであった。
――ま、騎士団云々はヴィ―を守るために入ったから本当だからいいけど……。
――そういや、ヴィーが男性恐怖症になったのは、ああいうやつらが原因だったな……。
ふと、昔を思い出し胸中で呟くのであった。
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