オネエな幼馴染と男嫌いな私

麻竹

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「あら、今日は読書?あんたでも、そういうのに興味あるのねぇ~♪」

――いちいちうるさいわ!ボケぇぇぇぇぇぇぇ!!

今日は、庭でアフタヌーンティーをしながら読書よ♪と、上機嫌でお気に入りの小説を読んでいたヴィヴィアーナの元に、どこから湧いてきたのか忌まわしき婚約者が現れたのであった。
勤務中にも関わらず、暇さえあれば人を揶揄いに来る婚約者に、ヴィヴィアーナは教育係も真っ青な悪態を胸中で絶叫する。
実際には開いた本の隙間から、ジトっとジュリアスを睨み付けているだけなので、本人にはヴィヴィアーナの心情は露ほどにも伝わってはいないのだが……。
一応、眉間に皺を寄せて不機嫌アピールをしてみてはいるのだが、その程度で怯むわけがない婚約者は案の定、鬱陶しい程ぐいぐいきたのであった。

「あ~ら、眉間に皺なんか寄せちゃって可愛い顔が台無しよぉ~。」

――そんな事、思ってもいないくせに!

ジュリアスの言葉に更に眉間の皺を深くしていると、持っていた小説をひょいっと取り上げられてしまったのであった。

「ちょっと!」

ヴィヴィアーナは思わず声を上げて、取られた本を取り返そうと手を伸ばす。
そんな婚約者の反応に、ジュリアスは口角を上げながら上機嫌で言ってきたのであった。

「へぇ~、あんたでもこういうのに興味があるのねぇ~。ふぅ~ん、王子と身分違いの町娘との真実の愛ねぇ。」

「返しなさいよ!」

「恋愛したいなら、ここに良い男がいるでしょ~!あたしなら、いつでも時間空けといてあげるわよ♪」

そう言ってウインクしてきたジュリアスに、ヴィヴィアーナの全身に鳥肌が立つ。

「い、いらない……間に合ってるから結構よ!!」

そして、口元を引き攣らせながら涙目で叫んだ。
冗談じゃない!と、青褪めながらプルプルと首を振って全身で拒絶していると、「あら、遠慮しなくていいのに~」と、ジュリアスが口を尖らせながら不服そうに言ってきたのだった。
その言葉にヴィヴィアーナが更に青褪める。
そして、更に揶揄われると思って身を固くしていたのだが、ジュリアスはヴィヴィアーナから視線を外すと、何故か先程奪い取った小説をまじまじと眺めていたのであった。
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