オネエな幼馴染と男嫌いな私

麻竹

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幕間7

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「なんなんだ、あいつは?」

「意外な伏兵現る、て所かな?」

「上手いこと言ってる場合じゃないだろう!」

ワグナー邸の夜会から帰って早々、ジュリアスとストラウスはサロンで飲み直しと称して作戦会議をしていた。
ヴィヴィアーナに好印象を与えたエバンスに、ジュリアスはイライラした様子でサロンの中を歩き回っている。
そんな彼に、ストラウスが苦笑を零しながら的を得た突っ込みをすると、ジュリアスは笑えないと憤慨してきたのであった。

「まあでも、君よりはマシなんじゃないかな?」

そう言って笑えない冗談を言うストラウスに、ジュリアスは青褪める。

「お前、まさか……。」

あいつを認める気か?と目を剥く幼馴染に、ストラウスは肩を竦めてみせた。

「そうやって焦る位なら、もう少し優しくしてあげればいいだろう?」

何を今更と呆れるストラウスに、ジュリアスは顔を曇らせる。

「俺だって優しくして怖がられなきゃやってるよ!けど、あいつは俺が離れて話しかけても発作が出るんだぞ?」

どうすりゃいいんだよ、とジュリアスは困った様子で頭を掻いてきた。

「う~ん、こればっかりは僕にもどうにもできないねぇ。なんてったって、ヴィヴィが男性恐怖症になったのは君のせいだと思い込んでるからね。」

ストラウスは冷や汗を流しながら事実を言と、ジュリアスは「そうなんだよなぁ~」とガックリと肩を落としてきた。

「俺、別にあいつに意地悪した覚えないんだけど?」

なんでそんな話になってるんだ?と縋るような目で見てくるジュリアスに、「さあ?」とストラウスは首を傾げるしかなかった。

「ま、とりあえずエバンスの事は、いい機会だから様子を見ようかなと思っているんだ。」

「は?」

「だってそうだろう?君以外に初めて発作が起こらなかった相手なんだよ、上手くすればヴィヴィの回復に一役買ってくれるかもしれないしね。」

そう提案してくるストラウスに、ジュリアスは動揺する。

「で、でも、今回は偶々って事もあるだろう?」

「まあ、そうかもしれないけど、特に今の所は害が無いようだし。それにそう頻繁に会う間柄でもないからね。これをきっかけに、ヴィヴィが治ってくれるなら僕はそれでいいと思っている。」

あくまでも妹至上主義のストラウスに、ジュリアスは口をパクパクとさせながら青褪める。

「そう心配しなくても大丈夫だよ、一応彼の事は調べるし、もし危険だと思ったら直ぐに排除するつもりだよ。」

ジュリアスの心配を他所に、ストラウスはそう言いながら妹には決して見せない黒い笑みを見せてきた。
久しぶりに、幼馴染のもう一つの笑顔を見たジュリアスは少しだけ安堵する。

「さすがは宰相補佐……抜かりはない、か。なら俺の方でも、ちょっと調べてみるよ。」

「ああ、よろしく頼むよ。あと僕はまだ、宰相補佐見習いだからね。」

そう言って苦笑しながら訂正してきたストラウスに、ジュリアスは「はいはい」と肩を竦めながら頷いたのであった。
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