オネエな幼馴染と男嫌いな私

麻竹

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「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

そしてジュリアスは、慌てた様子でヴィヴィアーナに待ったをかけてきた。

「なによ!?」

ヴィヴィアーナは突然話を遮られ、不機嫌な顔で聞き返す。
そんなヴィヴィアーナに、ジュリアスは真剣な顔をしながら言ってきたのであった。

「それ、全部間違ってるぞ。」

「はあ!?」

ジュリアスの言葉に、ヴィヴィアーナの顔が怒りで引き攣る。
何を言っているんだこいつは?と、ヴィヴィアーナが目を吊り上げながら見ていると、ジュリアスは先程の話を一つ一つ訂正してきたのであった。

「まず、虫が入っていた箱の事だが……あれは本当に俺の宝物を上げようとしていたんだ。」

「え?」

ジュリアスの言葉に、ヴィヴィアーナは目を大きく見張る。

「た、宝物だったのあれ?」

「ああ……。」

「だ、だって……あの箱の中には気持ち悪い虫とか、汚い石とかゴミみたいな破片とか……。」

「悪かったな、ゴミみたいなものばっかりで。」

「え、い、いえ、そういう意味ではなくて……ただ……。」

「ああ、わかってるよ。俺もあの後、母上に怒られたからな。」

「そうなの?」

「ああ……女の子に、こんな気持ちの悪い物あげるんじゃありません!てね……。あの後からは、ブローチや耳飾りや花なんかを贈るようになっただろう?」

「そ、そう言われてみれば、そうだったような……。」

「一応、俺もあの頃は何も知らないガキだったからな。女の子の喜ぶものなんて全然分からなかったし。男友達と同じで、ああいうのが喜ぶと本気で思ってたくらいだったからな……。」

そう言いながら、額に手を当てて溜息を吐くジュリアスの姿に、ヴィヴィアーナはなんだか申し訳ない気持ちになっていった。

「あと、木から落ちたのも。あれは、ヴィ―が登りたいって言って勝手に登ってったんだぞ。」

「ええ!?」

「俺は止めたんだけどな……。」

そう言ってジト目で見てくるジュリアスに、ヴィヴィアーナは「そうだったかしら?」と記憶を辿りながら顔を引き攣らせていた。

「あと池に落ちたのも、風で飛ばされた帽子を追いかけてったヴィ―が足元見てなくて、それで池に落ちそうになったんだ。既の所で手を掴んだけど、結局一緒に落ちてしまったけどな……。」

「あ、あれ?……。」

更に事実を突き付けられ、そう言われてみればそうだったかも?と、段々と自分の記憶に自信が無くなってきてしまった。
ジュリアスとの記憶に大分差異があった事に、ヴィヴィアーナは冷や汗を流す。

「も、もしかして……あの時、口を塞がれたのも?」

そしてヴィヴィアーナが、恐る恐るジュリアスを見上げながら訊ねると、彼は盛大な溜息を吐きながら頭を抱えだしてしまったのであった。
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