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18. 未来への約束
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あの時僕を助けてくれたのが、『リク』だった。
河川敷の高架橋の下の、人目につきにくいところでボコボコにされている僕を、たまたま気づいて助けてくれたらしい。
リクの家は個人病院なので、連れ帰った僕をご両親が診てくれた。けれど思ったよりひどかったらしく、提携している総合病院へ搬送され、入院となってしまった。
怪我の治療だけでなく、心のケアも必要だろうと呼ばれた専門のカウンセリングの先生が、専任でしばらくそばにいてくれた。
自覚はなかったけど、僕の心は、体の怪我以上にボロボロだった。
退院後、高校へは遅れての登校となったけど、実家への連絡やオメガの支援施設や学校への連絡など、全てリクがやってくれたので、安心して治療に専念できた。
学校についても、オメガ支援に力を入れているというだけあって、休んでいる間の学習のサポートも完璧だったのには驚いた。それまでのオメガに対する対応とは違いすぎた。
オメガはヒエラルキーのなかで最下層に位置づけられ、いつでもどこでも、虐げられる存在だと思って生きてきたのに、オメガを守ろうとする人達がいるなんて衝撃だった。
「ミチ、おはよう」
僕が身支度を済ませる頃、ちょうどいいタイミングでリクが迎えに来るのが日課となっていた。同じ制服に身を包んだリク。偶然にも、同じ学校の新入生だった。
「リクはなんでこの学校に来たの?」
医者を目指すなら、普通は医学部付属の高校に行くと思っていたから、なんでこの学校なのか不思議だった。いずれは両親の病院を継ぐはずだから、専門的な勉強をするのは当然だろう。
「俺は第二の性の専門医になりたいんだ。だから、オメガの支援に力を入れているこの学校に来て、色々と学びたかったんだ。現場の声を直接聞きたくてさ」
この学校に通いながら、医学部の勉強はオンラインを活用していると言っていた。国家資格を取るための条件は、整えておかないといけないらしい。
僕にはよく分からないけど、今はそういうことも可能らしくて、話を聞けば聞くほど、未知の世界だった。
出会いは正直良いものとは言えなかったけど、僕たちは自然と一緒にいる時間が長くなり、友達以上だと意識するようになるには、そう時間はかからなかった。
そして、どちらが言うともなく、僕たちは自然と恋人のような関係になっていた。
◇
「なぁ、生まれ変わりを信じるか?」
いつものように、リクの部屋でのんびりと過ごし他愛もない話をしていたら、何の脈絡もなく突然リクがそう言った。
「生まれ変わり?」
「そう。人生を全うしてあの世へ行ったあと、生まれ変わって新しい人生を歩むと言われているんだ」
「ファンタジーの世界みたいだね」
少し前に読んだ物語に、転生の話があった。だから僕にとっては、創造の世界という感じだ。
きっとその世界では、第二の性なんてものはなくて、皆平等なんだ。
「でも俺は生まれ変わりを信じている。だから、俺に何かあっても、絶対に自ら命を断つなよ」
「なんで?」
「自らの命を粗末にすると、来世の生まれ変わりに影響するそうだ。俺は生まれ変わってもミチと出会いたい」
なんで? という疑問に、リクは言葉少なに答え、ぎゅっと僕を抱きしめた。
「生まれ変わっても、俺たちは再び出会って、また恋に落ちるんだ。絶対ミチを見つけ出すから、俺になにかあっても、後追いなんか考えるんじゃないぞ」
「じゃあ、リクも約束して? 僕のために自分の命を大切にしてね」
なんでそんな物騒なことを言うんだろう? って思ったけど、今思えば、まだ若い僕たちがあんな話をしたのも、このあとに起こる悲劇の予兆だったのかもしれない。
河川敷の高架橋の下の、人目につきにくいところでボコボコにされている僕を、たまたま気づいて助けてくれたらしい。
リクの家は個人病院なので、連れ帰った僕をご両親が診てくれた。けれど思ったよりひどかったらしく、提携している総合病院へ搬送され、入院となってしまった。
怪我の治療だけでなく、心のケアも必要だろうと呼ばれた専門のカウンセリングの先生が、専任でしばらくそばにいてくれた。
自覚はなかったけど、僕の心は、体の怪我以上にボロボロだった。
退院後、高校へは遅れての登校となったけど、実家への連絡やオメガの支援施設や学校への連絡など、全てリクがやってくれたので、安心して治療に専念できた。
学校についても、オメガ支援に力を入れているというだけあって、休んでいる間の学習のサポートも完璧だったのには驚いた。それまでのオメガに対する対応とは違いすぎた。
オメガはヒエラルキーのなかで最下層に位置づけられ、いつでもどこでも、虐げられる存在だと思って生きてきたのに、オメガを守ろうとする人達がいるなんて衝撃だった。
「ミチ、おはよう」
僕が身支度を済ませる頃、ちょうどいいタイミングでリクが迎えに来るのが日課となっていた。同じ制服に身を包んだリク。偶然にも、同じ学校の新入生だった。
「リクはなんでこの学校に来たの?」
医者を目指すなら、普通は医学部付属の高校に行くと思っていたから、なんでこの学校なのか不思議だった。いずれは両親の病院を継ぐはずだから、専門的な勉強をするのは当然だろう。
「俺は第二の性の専門医になりたいんだ。だから、オメガの支援に力を入れているこの学校に来て、色々と学びたかったんだ。現場の声を直接聞きたくてさ」
この学校に通いながら、医学部の勉強はオンラインを活用していると言っていた。国家資格を取るための条件は、整えておかないといけないらしい。
僕にはよく分からないけど、今はそういうことも可能らしくて、話を聞けば聞くほど、未知の世界だった。
出会いは正直良いものとは言えなかったけど、僕たちは自然と一緒にいる時間が長くなり、友達以上だと意識するようになるには、そう時間はかからなかった。
そして、どちらが言うともなく、僕たちは自然と恋人のような関係になっていた。
◇
「なぁ、生まれ変わりを信じるか?」
いつものように、リクの部屋でのんびりと過ごし他愛もない話をしていたら、何の脈絡もなく突然リクがそう言った。
「生まれ変わり?」
「そう。人生を全うしてあの世へ行ったあと、生まれ変わって新しい人生を歩むと言われているんだ」
「ファンタジーの世界みたいだね」
少し前に読んだ物語に、転生の話があった。だから僕にとっては、創造の世界という感じだ。
きっとその世界では、第二の性なんてものはなくて、皆平等なんだ。
「でも俺は生まれ変わりを信じている。だから、俺に何かあっても、絶対に自ら命を断つなよ」
「なんで?」
「自らの命を粗末にすると、来世の生まれ変わりに影響するそうだ。俺は生まれ変わってもミチと出会いたい」
なんで? という疑問に、リクは言葉少なに答え、ぎゅっと僕を抱きしめた。
「生まれ変わっても、俺たちは再び出会って、また恋に落ちるんだ。絶対ミチを見つけ出すから、俺になにかあっても、後追いなんか考えるんじゃないぞ」
「じゃあ、リクも約束して? 僕のために自分の命を大切にしてね」
なんでそんな物騒なことを言うんだろう? って思ったけど、今思えば、まだ若い僕たちがあんな話をしたのも、このあとに起こる悲劇の予兆だったのかもしれない。
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