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エピローグ
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「「25歳の誕生日、おめでとう~!」」
クラッカーの音が店に響き渡った。
今日は私の誕生日だ。
香澄の計らいで、Bar con suonoの開店1時間前に貸し切りでお祝いパーティーを開いてくれたのだ。
そこにはこはるちゃんや天音さん、Bar con suonoのスタッフやゲストのピアニストたちが駆けつけてくれていた。
天音さんやこはるちゃんは、料理の差し入れだけではなく、店の入口に祝花台も贈ってくれて、まるで新装開店しているみたいになっている。
うーん、つくづく豪快な二人だ。
豪快といえば、四ツ葉不動産創立記念パーティーでの演奏が評判を呼び、香澄との連弾依頼を受けることが増えていた。
最近では私個人に依頼がくることもあり、嬉しいやら恥ずかしいやらで、忙しく毎日を過ごしている。
まあ、この3ヶ月は別の意味でも忙しかったのもあるけど……。
「美咲ちゃん。誕生日おめでとう」
天音さんが話しかけてきた。
「ありがとうございます」
天音さんは軽く微笑み、カウンター席に座るよう促された。きっと白石のことだろう。
「こんな日に話すのもと思ったんだけど、一段落したから安心させたいと思ってね。大丈夫かしら?」
「はい、お願いします。その……どうなりましたか?」
白石の嘘を明らかにしてから数日後、白石が私のマンション前で待ち伏せしていたのだ。
白石に住所も連絡先も教えていないのに、彼女が目の前に現れたことは本当に怖かった。刃物でも持っているのかと警戒もしたわ。
だけど、蓮に送ってもらっていたからか、彼女は何も言わずに、その場から逃げるように帰っていった。
蓮の怒りは凄かったわ。
すぐにでも白石の会社や実家、弁護士を探して対応しようと躍起になっていた。
でも、そんな蓮を止めたのはこはるちゃんだった。
こはるちゃんは『白石を追い詰めすぎちゃダメだ』と『取り返しのつかない行動に出てしまう可能性がある』とのことだ。
達也に『執着』していた経験のあるこはるちゃんだからこそ、白石のその後の行動が理解できるらしい。
白石をこれ以上逆撫でせず、穏便に遠ざけるのが私の安全に繋がると力説され、天音さんに協力を願った。
なんと、こはるちゃんは白石の勤める会社を探し出し、その会社が天音さんの実家の会社と繋がりがあることも突き止めた。
言動や態度が子どもっぽいのに、こういう根回し?は天才的に上手かった。
更に、白石の勤める会社に根回しをし、『左遷』ではなく『栄転』として海外の支社へ移動する手筈を整えたのだった。
プライドの高い白石は喜んで応じたと、天音さんから聞いた。
物理的に距離ができたことに安堵した。
蓮は7年前のことや、スマホを勝手に見られていたこともあり白石をギャフンと言わせたいようだったけど、白石を追い詰めて私に危害を加えようとするよりは良いと考えを改めた。
これで、3ヶ月続いた蓮の送り迎えは終了する。
それを考えると少し寂しい気がする。
だから──
「美咲。一曲弾こう!」
香澄が声をかけてきた。
「あっ、うん。天音さん、すみません」
「いいのよ。報告はすんだし。重たい話より、二人の連弾を聞ける方がずっといいわ」
天音さんがニカッと笑った。
ときどき子どものように笑うから、ギャップが可愛い。
香澄と二人でピアノに向かう。
心地よい緊張感だ。
自然と店の中が静まり返る。
オリジナル曲『音織』
音が店内を包んでいく。
香澄との音の会話は、心地よく発見も多い。
ときには『私は今日こんな気分だ』と音で伝えれば『じゃあ、こんなのはどう?』と二人だけの音の会話が堪らなく楽しい。
本当に幸せだ。
曲が終わると、大きな拍手に包まれる。
みんなに挨拶をしながら、カウンターに座ってこちらをニコニコと見ている蓮のもとへ向かった。
『いい演奏だったよ』
『ありがとう』
蓮に私のピアノは聞こえていない。だけど蓮は『いい演奏だった』といつも言ってくれる。
社交辞令的な意味合いだと思っていたが、彼は私の演奏中の表情や、観客の反応を見ていると教えてくれた。
いい演奏をしているときは、私の表情が楽しそうに輝いているらしい。それに、学生時代に聞いていた私のピアノの音色が甦ると言っていた。
蓮の中で、私の音色はちゃんと響いているのだとわかって、泣きたくなった。
だから──
私はポケットにしまっていた手紙を蓮に渡した。
少し驚いていたけど、ゆっくりと手紙を開いてくれた。
そこには白紙の手紙が入っていた。
困惑してこちらを見てくる蓮。
私は蓮に内緒で覚えた手話で話しかけた。
『蓮へ
いつも私を見てくれてありがとう。
私を好きでいてくれてありがとう。
寄り添ってくれてありがとう。
私、もっと蓮のことを知りたい。
蓮の世界を知りたい。
まだ勉強中だけど、ちゃんと手話を覚えて、蓮の世界に飛び込む。
これからもずっと一緒にいたい。
これからの白紙の未来を、一緒に描いてほしい。
だから、
一緒に住む場所を探そう。
毎日、蓮に会いたい。
毎日、蓮におはようもおやすみも言いたい。
もう、離れたくない。
ずっと一緒にいて』
何度も練習した手話。
間違ってなかったと思うけど、伝わっただろうか……。
不安な顔をしていると、蓮が立ち上がって私を抱き締めた。そして耳元で「うれしい」と囁いた。
周りから黄色い声が響いた。でも、蓮の耳にも私の耳にも聞こえず、蓮は私にキスをした。
人前で恥ずかしいけど、幸せな25歳の誕生日だ。
これから新しい私たちを始めよう。
蓮からもらった25通の手紙の続きを、白紙の手紙から一緒に書いていこう。
あの頃に置き忘れた恋をもう一度始めて、いつの日か、その恋が『愛』に変わるように、二人で始めよう。
fin
─────────────────────────────────────
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
なんとか途切れずに連載できて、本当に良かったです。
今回の作品は書いている私の方が、いろいろと勉強になる作品でした。
今後もより良い作品をお届けできるよう、精進して参ります!
次回作も楽しんでいただけるよう、全力で頑張ります。また、温かい応援を賜れれば幸いです。
クラッカーの音が店に響き渡った。
今日は私の誕生日だ。
香澄の計らいで、Bar con suonoの開店1時間前に貸し切りでお祝いパーティーを開いてくれたのだ。
そこにはこはるちゃんや天音さん、Bar con suonoのスタッフやゲストのピアニストたちが駆けつけてくれていた。
天音さんやこはるちゃんは、料理の差し入れだけではなく、店の入口に祝花台も贈ってくれて、まるで新装開店しているみたいになっている。
うーん、つくづく豪快な二人だ。
豪快といえば、四ツ葉不動産創立記念パーティーでの演奏が評判を呼び、香澄との連弾依頼を受けることが増えていた。
最近では私個人に依頼がくることもあり、嬉しいやら恥ずかしいやらで、忙しく毎日を過ごしている。
まあ、この3ヶ月は別の意味でも忙しかったのもあるけど……。
「美咲ちゃん。誕生日おめでとう」
天音さんが話しかけてきた。
「ありがとうございます」
天音さんは軽く微笑み、カウンター席に座るよう促された。きっと白石のことだろう。
「こんな日に話すのもと思ったんだけど、一段落したから安心させたいと思ってね。大丈夫かしら?」
「はい、お願いします。その……どうなりましたか?」
白石の嘘を明らかにしてから数日後、白石が私のマンション前で待ち伏せしていたのだ。
白石に住所も連絡先も教えていないのに、彼女が目の前に現れたことは本当に怖かった。刃物でも持っているのかと警戒もしたわ。
だけど、蓮に送ってもらっていたからか、彼女は何も言わずに、その場から逃げるように帰っていった。
蓮の怒りは凄かったわ。
すぐにでも白石の会社や実家、弁護士を探して対応しようと躍起になっていた。
でも、そんな蓮を止めたのはこはるちゃんだった。
こはるちゃんは『白石を追い詰めすぎちゃダメだ』と『取り返しのつかない行動に出てしまう可能性がある』とのことだ。
達也に『執着』していた経験のあるこはるちゃんだからこそ、白石のその後の行動が理解できるらしい。
白石をこれ以上逆撫でせず、穏便に遠ざけるのが私の安全に繋がると力説され、天音さんに協力を願った。
なんと、こはるちゃんは白石の勤める会社を探し出し、その会社が天音さんの実家の会社と繋がりがあることも突き止めた。
言動や態度が子どもっぽいのに、こういう根回し?は天才的に上手かった。
更に、白石の勤める会社に根回しをし、『左遷』ではなく『栄転』として海外の支社へ移動する手筈を整えたのだった。
プライドの高い白石は喜んで応じたと、天音さんから聞いた。
物理的に距離ができたことに安堵した。
蓮は7年前のことや、スマホを勝手に見られていたこともあり白石をギャフンと言わせたいようだったけど、白石を追い詰めて私に危害を加えようとするよりは良いと考えを改めた。
これで、3ヶ月続いた蓮の送り迎えは終了する。
それを考えると少し寂しい気がする。
だから──
「美咲。一曲弾こう!」
香澄が声をかけてきた。
「あっ、うん。天音さん、すみません」
「いいのよ。報告はすんだし。重たい話より、二人の連弾を聞ける方がずっといいわ」
天音さんがニカッと笑った。
ときどき子どものように笑うから、ギャップが可愛い。
香澄と二人でピアノに向かう。
心地よい緊張感だ。
自然と店の中が静まり返る。
オリジナル曲『音織』
音が店内を包んでいく。
香澄との音の会話は、心地よく発見も多い。
ときには『私は今日こんな気分だ』と音で伝えれば『じゃあ、こんなのはどう?』と二人だけの音の会話が堪らなく楽しい。
本当に幸せだ。
曲が終わると、大きな拍手に包まれる。
みんなに挨拶をしながら、カウンターに座ってこちらをニコニコと見ている蓮のもとへ向かった。
『いい演奏だったよ』
『ありがとう』
蓮に私のピアノは聞こえていない。だけど蓮は『いい演奏だった』といつも言ってくれる。
社交辞令的な意味合いだと思っていたが、彼は私の演奏中の表情や、観客の反応を見ていると教えてくれた。
いい演奏をしているときは、私の表情が楽しそうに輝いているらしい。それに、学生時代に聞いていた私のピアノの音色が甦ると言っていた。
蓮の中で、私の音色はちゃんと響いているのだとわかって、泣きたくなった。
だから──
私はポケットにしまっていた手紙を蓮に渡した。
少し驚いていたけど、ゆっくりと手紙を開いてくれた。
そこには白紙の手紙が入っていた。
困惑してこちらを見てくる蓮。
私は蓮に内緒で覚えた手話で話しかけた。
『蓮へ
いつも私を見てくれてありがとう。
私を好きでいてくれてありがとう。
寄り添ってくれてありがとう。
私、もっと蓮のことを知りたい。
蓮の世界を知りたい。
まだ勉強中だけど、ちゃんと手話を覚えて、蓮の世界に飛び込む。
これからもずっと一緒にいたい。
これからの白紙の未来を、一緒に描いてほしい。
だから、
一緒に住む場所を探そう。
毎日、蓮に会いたい。
毎日、蓮におはようもおやすみも言いたい。
もう、離れたくない。
ずっと一緒にいて』
何度も練習した手話。
間違ってなかったと思うけど、伝わっただろうか……。
不安な顔をしていると、蓮が立ち上がって私を抱き締めた。そして耳元で「うれしい」と囁いた。
周りから黄色い声が響いた。でも、蓮の耳にも私の耳にも聞こえず、蓮は私にキスをした。
人前で恥ずかしいけど、幸せな25歳の誕生日だ。
これから新しい私たちを始めよう。
蓮からもらった25通の手紙の続きを、白紙の手紙から一緒に書いていこう。
あの頃に置き忘れた恋をもう一度始めて、いつの日か、その恋が『愛』に変わるように、二人で始めよう。
fin
─────────────────────────────────────
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
なんとか途切れずに連載できて、本当に良かったです。
今回の作品は書いている私の方が、いろいろと勉強になる作品でした。
今後もより良い作品をお届けできるよう、精進して参ります!
次回作も楽しんでいただけるよう、全力で頑張ります。また、温かい応援を賜れれば幸いです。
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エピローグ
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( ≧∀≦)ノ
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o(≧∇≦)o