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一
4話 俺と本音を言わない君
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「......。」
昨日恋人が家に泊まりに来た。
デートに遅れて捨てられた子犬みたいにシュンとしてるのも、今だに慣れずに、突然振られる話にあたふたしてるのも。それはそれは...もう可愛くて。
昨日の夜なんかもう......いや、あれに対して手出さなかったのが奇跡だろ。てかあれは反則すぎるわ。...うん。結婚だわ。
あまり顔に出さないように、冷静ぶってたけどなかなかにギリだったわ、あと一歩遅かったら理性に負けてた気が......。
「赤城おはー。」
校門前で佐々木に声をかけられた。
「....すきすきちゃんと泊まりはどうだったん?」
「最高だったね。」
即答する赤城に佐々木がど突いた。
「うわー!ヤッてスッキリして清々しい最高の朝迎えてんのマジでうぜーわ!今日自販機お前の奢りなー。」
佐々木が笑って話し後ろを振り返ると、赤城が立ち止まってるのに気がついた。
「......え?」
「マジで言ってんのお前?」
佐々木がコーラを飲みながら大声を出した。
「声でかい。」
「いやいやいや!泊まったんでしょ相手。は?何もなかったはないでしょ。」
「普通にゲームして話して別々で寝たね。」
「やば。理解できねー。」
佐々木が呆れた顔で赤城を見て肩を叩いた。
「あの子はそう言うのじゃないんだよ。」
呑気にカフェオレを飲む赤城に佐々木はため息を吐いた。
「それよりもお前、あのL◯NEだよ。マジで一緒にいるであろう時に変なの送ってくるな。」
「あー?...あーあれか。もうヤッてる?ってやつか。」
佐々木は大爆笑してゴミ箱に空き缶を投げた。
「マジであん時、ちょうど風呂入ってて相手がお前の名前見て連絡来てるよって言ったんだよ。内容見たかと思って焦った。」
「本文は見てなかったかー。そりゃ残念。......でもわからんよ?本当は見たけど見てませーんって言ってるのかもよ。」
ニヤニヤしながら赤城のことを見る佐々木。
「ないな。だとしたらもっと動揺してると思うよ。で、今日お前のことみて逃げ出すだろうね。」
佐々木が思索し、その後物事を理解したように慌て出した。
「え?え!?待って同じ学校なの?」
「かもねー。」
赤城立ち上がりパックをゴミ箱に捨てて教室に向かって歩き出した。
「待って待って!それ詳しく!」
「さっきのジュース、口止め料な?」
笑って答える赤城に佐々木が追いつき階段で会ったクラスメイトたちと教室に行った。
「新山三連休何してたー?」
「バイト、妹のお守り、バイト。」
「やっぱ信じるべきは新山だわ。」
教室に着くと盛り上がる休み中の話題。
「お前ら騙されんな。そいつ恋人とバイト先同じだぞ。」
「は?裏切り者かよ。」
「悪りぃけど2日ともバイト被りからの妹のお守り一緒にしてたわ。おつ!」
「......お前明日から省くわ。」
しょうもない話で膨らむ会話を横目に窓際に目を向ける。
友達と楽しそうに話す恋の姿を眺めた。それに気づいて恋が赤城を見つめてゆっくりと口角を上げた。
「かわ......。」
「赤城~!おはよ~、ねね!連休何してたの?」
別クラスの女子が後ろから抱きつきながら話しかけてきた。そのあと数人の友達も一緒に来て赤城を囲った。
「だる...。暑いし邪魔、離れて。」
手で腕を払い除けて女子の方を向いた。
「何?急に。」
「この子赤城の事好きなんだって~!構ってあげてよ。」
「無理迷惑。俺相手いるし。」
「いつ頃別れる予定ですかー?」
意味わからない質問に呆れてため息を吐いた。そこに佐々木が女子達を割って入ってきた。
「どいたどいたー!連休恋人と熱々だった赤城くんには靡かんって~!こいつよりマジ俺にしとけって!」
「えー!佐々木はないわ!!フッ軽く彼氏無理ー!」
佐々木のおかげで話題が逸れていった。
......こいつのいいところってほんとこういうところなんだよな。
そんなことを思いながら芦野の方を見ると酷く辛そうな顔をしていた。不安になって席を離れてL◯NEを送ろうと「芦野なんかあ...」途中まで打って文字を消した。きっとここで聞いても芦野は「大丈夫」「なんでもない」って言う。心配をかけずに取り繕うのが上手な子だから。でもそれに慣れさせるのは違う。早足で教室に戻った。
「芦野。」
「...あ、赤城。どうしたの?」
「この前のお礼にジュース奢りたいんだけど着いてきて。」
「?あ、うん?」
俺は芦野を連れて使われてない準備室に向かった。
着いてから黙ってる俺に芦野が肩を叩いた。
「ねえ赤城?どうし......。」
無言で抱きしめる俺に芦野は抱きしめ返した。離すと笑った後に少し泣きそうな顔を我慢してまた笑おうとしていた。
「...ごめん。」
俺が手を握ると芦野は横に首を振った。
「んーん。赤城は気を遣ってすぐ離してくれたじゃん。嬉しかった。いつも僕には自分からしてくれるし...だから大丈夫......。」
俺がどうするのが正解かわからずに噤んでいると芦野が細くて小さい声で続けた。
「......嘘。別れるの話の時。なんで否定しないのって。それもちょっとだけ...心臓、痛かった。」
俺は忘れてた。俺が芦野をよく見てるのと同じで芦野も俺をよく見ている。ならちゃんと言葉で伝えるべきだった。俺の口から聞くことで芦野が安心してくれるなら...なんて。後から後悔しても遅いのに。
「嫌だった......?いや、今のなし。嫌だったよね。当たり前に。ごめんね。先に気づけなくてごめん。」
初めてだった。本当の自分の気持ちを包み隠し、大丈夫なフリをする。もう限界がきてるのに我慢して涙を流す。感傷に浸る君の顔を見て自分の情けさに失望した。
今まで俺が付き合ってきた人たちは自分の感情を真正面からぶつけて来る人がほとんどだった。気づけばその彼女が求める「理想の彼氏」を演じてきた。そして限界が来れば隔絶を繰り返した。
芦野はあいつらとは違う。もっとちゃんと...早く。
「芦野聞いて......?大好きだよ。ほんとに。」
泣きながら「僕も」と言う君がとても可憐に笑うから、俺は思わず刹那にキスをした。
「もう大丈夫。ありがと。」
ハンカチを握り締めゆっくり恋は赤城から離れた。恋はまだ少し赤い目元を擦り、携帯で時間を確認した。
「......あ、授業始まってる。」
「ん?あー...ほんとだ。いいじゃん。2限から参加ってことで。」
赤城が自分の肩に恋の頭を寄せた。恋は嬉しそうに微笑んだ。
「あ、ジュース...。」
恋は悪戯に笑いながら赤城を見た。
赤城も笑って「喜んで買わせて頂きます」と言って、授業終わりのチャイムと同時に教室を出て自販機に向かった。
昨日恋人が家に泊まりに来た。
デートに遅れて捨てられた子犬みたいにシュンとしてるのも、今だに慣れずに、突然振られる話にあたふたしてるのも。それはそれは...もう可愛くて。
昨日の夜なんかもう......いや、あれに対して手出さなかったのが奇跡だろ。てかあれは反則すぎるわ。...うん。結婚だわ。
あまり顔に出さないように、冷静ぶってたけどなかなかにギリだったわ、あと一歩遅かったら理性に負けてた気が......。
「赤城おはー。」
校門前で佐々木に声をかけられた。
「....すきすきちゃんと泊まりはどうだったん?」
「最高だったね。」
即答する赤城に佐々木がど突いた。
「うわー!ヤッてスッキリして清々しい最高の朝迎えてんのマジでうぜーわ!今日自販機お前の奢りなー。」
佐々木が笑って話し後ろを振り返ると、赤城が立ち止まってるのに気がついた。
「......え?」
「マジで言ってんのお前?」
佐々木がコーラを飲みながら大声を出した。
「声でかい。」
「いやいやいや!泊まったんでしょ相手。は?何もなかったはないでしょ。」
「普通にゲームして話して別々で寝たね。」
「やば。理解できねー。」
佐々木が呆れた顔で赤城を見て肩を叩いた。
「あの子はそう言うのじゃないんだよ。」
呑気にカフェオレを飲む赤城に佐々木はため息を吐いた。
「それよりもお前、あのL◯NEだよ。マジで一緒にいるであろう時に変なの送ってくるな。」
「あー?...あーあれか。もうヤッてる?ってやつか。」
佐々木は大爆笑してゴミ箱に空き缶を投げた。
「マジであん時、ちょうど風呂入ってて相手がお前の名前見て連絡来てるよって言ったんだよ。内容見たかと思って焦った。」
「本文は見てなかったかー。そりゃ残念。......でもわからんよ?本当は見たけど見てませーんって言ってるのかもよ。」
ニヤニヤしながら赤城のことを見る佐々木。
「ないな。だとしたらもっと動揺してると思うよ。で、今日お前のことみて逃げ出すだろうね。」
佐々木が思索し、その後物事を理解したように慌て出した。
「え?え!?待って同じ学校なの?」
「かもねー。」
赤城立ち上がりパックをゴミ箱に捨てて教室に向かって歩き出した。
「待って待って!それ詳しく!」
「さっきのジュース、口止め料な?」
笑って答える赤城に佐々木が追いつき階段で会ったクラスメイトたちと教室に行った。
「新山三連休何してたー?」
「バイト、妹のお守り、バイト。」
「やっぱ信じるべきは新山だわ。」
教室に着くと盛り上がる休み中の話題。
「お前ら騙されんな。そいつ恋人とバイト先同じだぞ。」
「は?裏切り者かよ。」
「悪りぃけど2日ともバイト被りからの妹のお守り一緒にしてたわ。おつ!」
「......お前明日から省くわ。」
しょうもない話で膨らむ会話を横目に窓際に目を向ける。
友達と楽しそうに話す恋の姿を眺めた。それに気づいて恋が赤城を見つめてゆっくりと口角を上げた。
「かわ......。」
「赤城~!おはよ~、ねね!連休何してたの?」
別クラスの女子が後ろから抱きつきながら話しかけてきた。そのあと数人の友達も一緒に来て赤城を囲った。
「だる...。暑いし邪魔、離れて。」
手で腕を払い除けて女子の方を向いた。
「何?急に。」
「この子赤城の事好きなんだって~!構ってあげてよ。」
「無理迷惑。俺相手いるし。」
「いつ頃別れる予定ですかー?」
意味わからない質問に呆れてため息を吐いた。そこに佐々木が女子達を割って入ってきた。
「どいたどいたー!連休恋人と熱々だった赤城くんには靡かんって~!こいつよりマジ俺にしとけって!」
「えー!佐々木はないわ!!フッ軽く彼氏無理ー!」
佐々木のおかげで話題が逸れていった。
......こいつのいいところってほんとこういうところなんだよな。
そんなことを思いながら芦野の方を見ると酷く辛そうな顔をしていた。不安になって席を離れてL◯NEを送ろうと「芦野なんかあ...」途中まで打って文字を消した。きっとここで聞いても芦野は「大丈夫」「なんでもない」って言う。心配をかけずに取り繕うのが上手な子だから。でもそれに慣れさせるのは違う。早足で教室に戻った。
「芦野。」
「...あ、赤城。どうしたの?」
「この前のお礼にジュース奢りたいんだけど着いてきて。」
「?あ、うん?」
俺は芦野を連れて使われてない準備室に向かった。
着いてから黙ってる俺に芦野が肩を叩いた。
「ねえ赤城?どうし......。」
無言で抱きしめる俺に芦野は抱きしめ返した。離すと笑った後に少し泣きそうな顔を我慢してまた笑おうとしていた。
「...ごめん。」
俺が手を握ると芦野は横に首を振った。
「んーん。赤城は気を遣ってすぐ離してくれたじゃん。嬉しかった。いつも僕には自分からしてくれるし...だから大丈夫......。」
俺がどうするのが正解かわからずに噤んでいると芦野が細くて小さい声で続けた。
「......嘘。別れるの話の時。なんで否定しないのって。それもちょっとだけ...心臓、痛かった。」
俺は忘れてた。俺が芦野をよく見てるのと同じで芦野も俺をよく見ている。ならちゃんと言葉で伝えるべきだった。俺の口から聞くことで芦野が安心してくれるなら...なんて。後から後悔しても遅いのに。
「嫌だった......?いや、今のなし。嫌だったよね。当たり前に。ごめんね。先に気づけなくてごめん。」
初めてだった。本当の自分の気持ちを包み隠し、大丈夫なフリをする。もう限界がきてるのに我慢して涙を流す。感傷に浸る君の顔を見て自分の情けさに失望した。
今まで俺が付き合ってきた人たちは自分の感情を真正面からぶつけて来る人がほとんどだった。気づけばその彼女が求める「理想の彼氏」を演じてきた。そして限界が来れば隔絶を繰り返した。
芦野はあいつらとは違う。もっとちゃんと...早く。
「芦野聞いて......?大好きだよ。ほんとに。」
泣きながら「僕も」と言う君がとても可憐に笑うから、俺は思わず刹那にキスをした。
「もう大丈夫。ありがと。」
ハンカチを握り締めゆっくり恋は赤城から離れた。恋はまだ少し赤い目元を擦り、携帯で時間を確認した。
「......あ、授業始まってる。」
「ん?あー...ほんとだ。いいじゃん。2限から参加ってことで。」
赤城が自分の肩に恋の頭を寄せた。恋は嬉しそうに微笑んだ。
「あ、ジュース...。」
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