【完結】フィクション

犀川稔

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9.5話 伝えたいこと

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「今解散しました。近くの××カフェで待ってます。」
「了解。もうすぐ駅着くから着いたら向かう。あと10分ちょいでカフェ着くと思う、待ってて」
 赤城は恋からのL◯NEを確認し返信した。
 多分このくらいの時間になるだろうなって思ってたらマジでちょうど良かったな。芦野大丈夫かな。
 昨日の恋の表情を思い出し、赤城は懸念した。
 駅につきマップを見ながらカフェに向かった。着くとそこには、辺りをキョロキョロ見渡す恋がいた。赤城に気づき恋は笑って手を振った。その恋の表情を見て赤城は安堵の顔を浮かべた。

「お父さん元気そうだった?」
「うん!めっちゃ元気だった!僕はなに喋ろうかなって思ってたんだけど、姉ちゃんがマシンガントークしてくれたから場が明るかったよ。」
「良かった良かった。」
 キャラメルラテを飲みながら楽しそうにあった事を話す恋に赤城はひたすら相槌を打ち、うっとりその姿を眺めていた。
「...あ、これね。父さんの土産だって。結構量多くてさ、このあと赤城と会うの姉ちゃん話したら持って行けって。」
「あら......俺もらっちゃっていいの?」
「もちろん!もらってくだされ。」
 嬉しそうにお菓子を渡す恋に赤城は「どうも。」と笑って言った。
「...お姉さんに俺と会う事言ったんだ。」
「うん...、実は昨日さ。赤城と別れてから後ろ姿見送ってる時に、姉ちゃん帰ってきてさ。その時に赤城のこと見たらしい。」
 苦笑いで話す恋に赤城は物憂げに聞いた。
「あー...あんま家の前まで俺行かない方が良かった感じ?」
 赤城の言葉に恋は「違う!」とすぐ反応した。
「そう言うことじゃなくて...。」
 はっきり言わない恋に赤城は口を閉ざした。
 少し沈黙があってから恋が話しかけた。
「あ、あのさ。...僕行きたいところあるんだけど、この後そこ行ってもいい......?」
 その言葉に赤城「うん。」と言って、二人はお店を出た。

 向かった先は夕日が綺麗だと美鈴が教えてくれたあの場所だった。携帯で見せてもらい事前に写真で見たけど、それとは比にならないほど綺麗で芸術的だった。
「すご...。めっちゃ綺麗。」
 恋が夕日に見惚れていると赤城はその姿を少し離れて写真を撮った。
「ほんと、綺麗だね。」
 恋に近づいて赤城が話しかけた。
「うん!ここ姉ちゃんがね、教えてくれたんだ。」
「お姉さんが...?」
 赤城の聞き返しに恋が頷いた。
「おすすめのデートスポットだって......。でもほんとだ。周りカップルだらけだしね。今まで父さんと会った帰り、姉ちゃんと一緒に帰ってから今赤城と一緒にいるのすごい不思議な感じ。」
 笑ってそう言った恋の顔からは涙が溢れていた。
「......芦野っ!?え、なんで。どうしたの。」
 慌てる赤城に恋は微笑んで「大丈夫。」と言った。場所を移そうと赤城が言って、人が少ないベンチに腰かけた。
「......心配かけてごめん。もう落ち着きました。」
 背中を摩る赤城に恋が言った。
「俺は全然いいんだけど、芦野さん大丈夫なの?」
 赤城は話ながら立ち上がって、隣にあった自販機で缶のカフェオレとミルクティーを買った。二つ差し出すと、恋はミルクティーに手を伸ばして「ありがとう。」と言った。
 缶を開けて一口飲むと恋は赤城の方を向いた。
「僕ね、あまり家族に自分の話をするの苦手だったんだ。」
 恋の話に赤城はなにも言わずに頷いて聞いた。
「最近なんだ、本当に。赤城と行った映画の時、どこ行こうかすごい悩んでさ。姉ちゃんが話聞いて相談乗ってくれて。それですごい楽しいデートができて、今日も家族と会うのに僕その後の赤城と会うのすごい楽しみにしてて浮かれてて、姉ちゃんが赤城のことかっこいいって父さんに話すから僕もう今なら言える気がするって思って自分から恋人ができたんだって、初めて自分から父さんに話して。いつもは終わって帰る時息がしづらいくらい辛い気持ちになるのに今日はすごい気持ちがすっきりしてさ。さっき夕日見てた時、すごく呼吸がしやすくて安心して、赤城のおかげで自分今めっちゃ幸せなんだって思ったら感情が込み上げてきちゃってさ。自分でもめっちゃ焦った。いや1番焦るのは一緒にいる赤城なのにね。まじごめん!」
 テンパってたくさん話す恋を赤城は抱きしめた。その胸の中がやけに優しくて、温かくて。とても安心した。
「芦野さっきからさ、謝りすぎじゃない?」
 赤城は抱きしめながら優しい口調で言った。
「そこはさ、ごめんじゃなくてありがとうにしようよ。したら罪悪感ないし俺も......」
 赤城は恋の顔に手で触れてキスをした。
「俺も......芦野のおかげで毎日幸せだから。ありがとう。」
 そう言って微笑んでからもう一度抱きしめた。
「さっき答えれなかった赤城が家の前まで送ってくれる話ね。あれね、違くて。赤城が送ってくれるのすごい嬉しいの、でも僕絶対見送ってる時寂しいって顔してるから。それを姉ちゃんに見られてたのが嫌だったの。ただそれだけ...です。」
 まだ泣き止んですぐの乱れる呼吸のまま恋が一生懸命赤城に説明した。それを愛おしそうに赤城は見つめていた。
「じゃあこれからも送ってもいいの?」
「もちろん!!」
 大きな声で答えた後に赤城の顔を見て「あ、いやでも...赤城の負担がない程度で...。」と小さな声で付け加えた。それに対して赤城は恋の頭を撫で、「うん。」と言った後
「なるべく一緒にいたい俺の我儘だから。送らせて。」
 と恋の顔を見て笑って言った。
 その赤城の顔を見た恋は、立ち上がって一度大きく息を吸ってから息を吐いた。そして赤城の方を向いて口を開いた。
「ねえ、赤城。僕の家族の話、聞いてくれる?」
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