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二
10話 僕の家族と過去
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父と母を含め、僕の家族はとても仲が良かった。家族揃って夕飯は食べていたし休日はよく家族みんなで出かけていた。
しかしそれは僕が小学生の頃を境にだんだんと崩れていった。
「今日と明日出かけてくるからいい子に寝ててね。昼前に帰るから。」
それは父が出張で2泊3日家を空けてる時に母から言われたことだった。
この時の僕はこれがどう言う意味なのかがわからなかった。それから母は出かけることが増え、父が出張の時は決まって帰ってくることはなかった。
そして僕が小学校高学年になった時それは起こった。家に帰ると父と母が言い争う声が聞こえた。部屋に入ると物が散乱しており母は泣きながら奇声をあげていた。
父は僕をご飯に連れて行った。その時父はただひたすら僕に謝っていた。そして僕が中学校上がる頃、父は単身赴任になり一人でアメリカに行ってしまった。ちょうどその時期に姉、美鈴は僕に経緯を教えてくれた。
母と1番上の姉が所謂「恋愛依存症」だった。特に症状が激しい母は、外で男を作っては別れてを繰り返した。父は前に僕が見た言い争いの際に離婚を申し出た。しかし僕のリビングの前で立ち尽くす姿を見た父が、母に僕たちの世話と家事をしっかりすることを条件に離婚を取りやめ、金輪際の不倫も不問に付したそうだ。
母は毎回男と別れると「男なんか嫌いだ。」と、口にしていた。そして決まって僕に、
「れんちゃんはあんな男にならないで。」
「れんちゃんは恋なんてしないでね。」
そう僕に言った。
そんな僕にも思春期が来て周りの友達が「俺」と一人称を変える人が多くなった。僕も真似してたまに学校使ってみたりした。しかし家に帰り母と話している時うっかり言ってしまった。その瞬間、母は取り乱したように荒れてしまった。美鈴が帰ってきて状況理解できないまま母を宥めてくれた。
そして落ち着いた母に、
「もう二度と俺なんて言わないで。」と僕は釘を刺された。それから僕これまで以上に慎重に言葉を選んで母と姉に接するようになった。美鈴だけは変わらず僕を男として、弟として扱ってくれた。しかし気づけば僕は、誰にでも顔色を伺い話すようになっていった。母はそんな僕を可愛がってくれて姉も僕だけは男でも信用できると言ってくれた。幼馴染の仲川の家族には父がアメリカ旅立つ前に話をしてくれていたようでよく仲川の家族は僕を泊まりに誘ってくれた。その時だけ僕は自分が自分で居られる唯一の時間だった。
中学の間周りは恋愛をし、彼女を作る人が多くなっていった。僕は家庭環境の影響か全くどうも思うことがなかった。そして一度手紙で告白をされた。初めての経験で怖いと思った僕は断ったけど気持ちだけでも、と手紙は受け取ることになり家に持ち帰った。その手紙には僕への気持ちがたくさん綴られていた。悔しかった。こんなにこの人は自分を見てくれているのに、なにも返すことができない自分へ罪悪感が僕を苦しめた。そして高校生になった僕は変わらない生活を送っていた。そんな時、美鈴から大事な話があると放課後呼び出された。最初は部活の事やバイトの事、色んな話をたくさんされた。ただずっと聞いていただけの僕に美鈴が聞いた。
「れんれんは好きな人いないの?」
意外だった。姉ちゃんは気を遣ってか、僕に一切恋愛の話をすることは今までなかった。静かに首を横に振る僕に続けて話した。
「もうれんれんは子供じゃないんだから、自分の好きにすればいいんだよ。周りに合わせて笑わなくていいし顔色を伺って無理する必要もない。好きになって夢中になれて、もうこの人しかいないって、そう思える人ができるといいね。そしたら絶対その人のことは離しちゃだめだよ。恋愛は辛いかもだけどすごく幸せなことなんだから。れんれんもその人を幸せにしてあげるんだよ。」
そう言われた時、視界が広く明るくなった気がした。しかし現実はそう甘くなく、今まで恋愛をしたこともなくましてやそう言った話を避けてきた分疎く、周りとの劣等感を感じた。孤独だった。誰でもいいから、誰か僕を見つけて欲しかった。大丈夫、きっとそのうち時間が解決してくれる。そう思うようにした。
でもそんな僕を神様は味方してくれなかった。僕が初めて恋心を自覚し、好きになったのは学校でキラキラ輝く自分とは正反対の世界に生きるド一軍の人、赤城だった。自分を何度も恨んだ。なんであんな遠い存在の人を好きになったのか。なんでこれが初恋になったのか...なんで......男を好きになってしまったのか。
何回も諦めようと思った。でも目で追ってしまって、いいところばかり見つけてしまって。本当に辛かった。苦しくてたくさんもがいた。
だから逃げるようにわざと同じ委員会を選んで同じ選択授業も選んだ。自分は彼とは釣り合わない、同じところに立つことができない人間なんだと思い込もうと思った。でもそれが失敗だった。もっと彼を好きになっていってしまった。泥沼の夢でもみているようだった。夢なら覚めてほしい。もうこれ以上傷つきたくなかった。でも彼は...赤城は。僕を受け入れてくれた。こんな僕でも好きだと言ってくれて、慣れない恋愛でどうしたらいいのかわからない僕をいつも助けてくれる。それだけでもう十分幸せなのに、赤城は僕がいるから幸せだって言ってくれた。
本当に赤城は僕の光なんだよ。眩しすぎて直視できないくらいに。
ねえ赤城聞いてほしい。大好きだよ、本当に。釣り合うなんて到底できないかもだけど、せめて僕のこの気持ちだけでも隣にずっと...ずっと置いておいてほしいな。
幸せをくれて、好きにさせてくれてありがとう。
しかしそれは僕が小学生の頃を境にだんだんと崩れていった。
「今日と明日出かけてくるからいい子に寝ててね。昼前に帰るから。」
それは父が出張で2泊3日家を空けてる時に母から言われたことだった。
この時の僕はこれがどう言う意味なのかがわからなかった。それから母は出かけることが増え、父が出張の時は決まって帰ってくることはなかった。
そして僕が小学校高学年になった時それは起こった。家に帰ると父と母が言い争う声が聞こえた。部屋に入ると物が散乱しており母は泣きながら奇声をあげていた。
父は僕をご飯に連れて行った。その時父はただひたすら僕に謝っていた。そして僕が中学校上がる頃、父は単身赴任になり一人でアメリカに行ってしまった。ちょうどその時期に姉、美鈴は僕に経緯を教えてくれた。
母と1番上の姉が所謂「恋愛依存症」だった。特に症状が激しい母は、外で男を作っては別れてを繰り返した。父は前に僕が見た言い争いの際に離婚を申し出た。しかし僕のリビングの前で立ち尽くす姿を見た父が、母に僕たちの世話と家事をしっかりすることを条件に離婚を取りやめ、金輪際の不倫も不問に付したそうだ。
母は毎回男と別れると「男なんか嫌いだ。」と、口にしていた。そして決まって僕に、
「れんちゃんはあんな男にならないで。」
「れんちゃんは恋なんてしないでね。」
そう僕に言った。
そんな僕にも思春期が来て周りの友達が「俺」と一人称を変える人が多くなった。僕も真似してたまに学校使ってみたりした。しかし家に帰り母と話している時うっかり言ってしまった。その瞬間、母は取り乱したように荒れてしまった。美鈴が帰ってきて状況理解できないまま母を宥めてくれた。
そして落ち着いた母に、
「もう二度と俺なんて言わないで。」と僕は釘を刺された。それから僕これまで以上に慎重に言葉を選んで母と姉に接するようになった。美鈴だけは変わらず僕を男として、弟として扱ってくれた。しかし気づけば僕は、誰にでも顔色を伺い話すようになっていった。母はそんな僕を可愛がってくれて姉も僕だけは男でも信用できると言ってくれた。幼馴染の仲川の家族には父がアメリカ旅立つ前に話をしてくれていたようでよく仲川の家族は僕を泊まりに誘ってくれた。その時だけ僕は自分が自分で居られる唯一の時間だった。
中学の間周りは恋愛をし、彼女を作る人が多くなっていった。僕は家庭環境の影響か全くどうも思うことがなかった。そして一度手紙で告白をされた。初めての経験で怖いと思った僕は断ったけど気持ちだけでも、と手紙は受け取ることになり家に持ち帰った。その手紙には僕への気持ちがたくさん綴られていた。悔しかった。こんなにこの人は自分を見てくれているのに、なにも返すことができない自分へ罪悪感が僕を苦しめた。そして高校生になった僕は変わらない生活を送っていた。そんな時、美鈴から大事な話があると放課後呼び出された。最初は部活の事やバイトの事、色んな話をたくさんされた。ただずっと聞いていただけの僕に美鈴が聞いた。
「れんれんは好きな人いないの?」
意外だった。姉ちゃんは気を遣ってか、僕に一切恋愛の話をすることは今までなかった。静かに首を横に振る僕に続けて話した。
「もうれんれんは子供じゃないんだから、自分の好きにすればいいんだよ。周りに合わせて笑わなくていいし顔色を伺って無理する必要もない。好きになって夢中になれて、もうこの人しかいないって、そう思える人ができるといいね。そしたら絶対その人のことは離しちゃだめだよ。恋愛は辛いかもだけどすごく幸せなことなんだから。れんれんもその人を幸せにしてあげるんだよ。」
そう言われた時、視界が広く明るくなった気がした。しかし現実はそう甘くなく、今まで恋愛をしたこともなくましてやそう言った話を避けてきた分疎く、周りとの劣等感を感じた。孤独だった。誰でもいいから、誰か僕を見つけて欲しかった。大丈夫、きっとそのうち時間が解決してくれる。そう思うようにした。
でもそんな僕を神様は味方してくれなかった。僕が初めて恋心を自覚し、好きになったのは学校でキラキラ輝く自分とは正反対の世界に生きるド一軍の人、赤城だった。自分を何度も恨んだ。なんであんな遠い存在の人を好きになったのか。なんでこれが初恋になったのか...なんで......男を好きになってしまったのか。
何回も諦めようと思った。でも目で追ってしまって、いいところばかり見つけてしまって。本当に辛かった。苦しくてたくさんもがいた。
だから逃げるようにわざと同じ委員会を選んで同じ選択授業も選んだ。自分は彼とは釣り合わない、同じところに立つことができない人間なんだと思い込もうと思った。でもそれが失敗だった。もっと彼を好きになっていってしまった。泥沼の夢でもみているようだった。夢なら覚めてほしい。もうこれ以上傷つきたくなかった。でも彼は...赤城は。僕を受け入れてくれた。こんな僕でも好きだと言ってくれて、慣れない恋愛でどうしたらいいのかわからない僕をいつも助けてくれる。それだけでもう十分幸せなのに、赤城は僕がいるから幸せだって言ってくれた。
本当に赤城は僕の光なんだよ。眩しすぎて直視できないくらいに。
ねえ赤城聞いてほしい。大好きだよ、本当に。釣り合うなんて到底できないかもだけど、せめて僕のこの気持ちだけでも隣にずっと...ずっと置いておいてほしいな。
幸せをくれて、好きにさせてくれてありがとう。
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