【完結】フィクション

犀川稔

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12話 一軍メンズたちと僕

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 自分の家族の話を打ち明けてからと言うもの、赤城は変わらない対応を僕にしてくれた。正直めちゃくちゃ安心した。
 別に同情してほしかったわけじゃないし、僕に気を遣ってこれから今までしてくれたキスとかハグとかしてくれなくなったら~とか心配してたのに全然普通だった。
 なんならあの日の帰り道も、手を繋いでくれたし別れ際にキスもしてくれた。
 そして今僕は二学期終わりの最終科目のテストを終え、最高にハッピーで最高な瞬間を迎えている。

「終わったー!!」
 HRホームルームが終わり歓喜に溢れる教室で恋も密かに心を躍らせていた。
「芦野お疲れ。」
 赤城がココアとバナナオレを持って恋に近づいた。
「赤城もお疲れさま!」
 笑って答える恋に「どっちがいい?」と赤城は差し出した。
「え、くれるの?」
「うん。テスト頑張ったご褒美で。好きな方選んで。」
 澄ました顔で飲み物を渡す赤城は周りを見渡して誰も見てないのを確認してから優しく柔らかい笑顔を見せた。
 僕が夏休みに入りしばらく赤城に会える機会が減ってしまうと恐れていた矢先、赤城は夏休みに時間合う日はできるだけ会いたいと言ってくれた。だから憂鬱だった休み期間が僕にとって最高の休みに変わったのだ。
 恋は嬉しそうに「ありがとう!」と言ってココアを受け取った。
「んじゃーこっちは俺ね!」
 そう言って赤城の後ろから近づいてきた佐々木が赤城の持っていたバナナオレを奪った。
「おい、自分で買え。」
「なんでよいいじゃん。お前前まで甘いのそんなって言ってたじゃんー、俺にもちょうだいよ!芦野くんだけ特別扱いなんですか~?」
「...うん、そりゃ特別だからね。」
 佐々木の言葉に淡々と答え恋を見つめる赤城。それに対して恋は少し照れてモジモジ下を向いた。
 佐々木は「はぁー?」と言って仲川を引っ張って連れてきた。
「なぁ見ろよ仲川!こちらバカップルのいちゃつきでございます~。今なら入場料タダで観れるよ。」
「僻むなよ。」と言い放つ赤城と呆れる仲川。
「ここ動物園か何かだと思ってます?...あとワイシャツズボンから引っ張り出さないでもらえますかね?」
 仲川はめんどくさそうにワイシャツしまい直しながら佐々木に言った。それを見てみんなで笑っていた。そこに新山が近づいてきて話しかけてきた。
「まただる絡みしてんのお前ら。......話飛ぶけど佐々木。お前んちで花火するから夏休みまでにバケツとか諸々準備頼むわ。」
「待て、話飛びすぎて理解に苦しむわ。ちょい詳しく解説頼む。」
 新山の話に呆然とする一同に新山がヘラヘラ笑って話した。
「いや夏のデートスポット調べたら花火大会ばっか出てきてさ。暑いし人多いのだるいから行きたくはないけど夏の風物は味わいたいじゃん。で、どうせやるなら騒ぎたいじゃん。んでも俺んちだと近所迷惑考えて嫌だからお前んちでやるわ。」
「ごめん一応聞くけど誰が参加すんのそれ。」
 笑うのを堪えながら聞く佐々木が新山に質問した。
「え、俺。あと俺の恋人。......あー、どうしてもって言うならお前らも参加してもいいよ。」
 耐えきれず佐々木が大爆笑した。
「いやお前まじでおもろいわ。場所提供させてしかも準備もさせて、んでもって上から目線に誘ってくんの流石にポイントたけぇわ。メンタルいかつすぎ!いいよいいよ俺そう言うの大好きだわ!絶対参加するわ。おい赤城、お前も強制な。」
 ポカーンと話を聞いている恋に佐々木が話しかけた。
「良かったら芦野くんも来る?仲川も!」
「いや自分は遠慮します。」
 即答する仲川。
「んだよー。芦野くんは?」と佐々木は恋の肩を組もうとした。
「いや、芦野くん俺との予定で忙しいから無理。」
 その瞬間赤城が佐々木の手を払い除けて恋を自分の方に寄せた。
「......?赤城?」
「芦野は俺と花火しよう。祭りも行きましょう。また泊まりにもきてよ。」
「え、行きたい!ありがとう!泊まりも行っていいの!?太っ腹だなさすがイケメン!......また服借りていい?」
 嬉しそうに赤城の胸にもたれかかって話す恋に微笑みかけ赤城は頭を撫でた。
「うん、めちゃくちゃいいね。この前貸した服、芦野用にしておくよ。」
 二人で話し出す赤城と恋に佐々木は笑い出し仲川は終始呆れた顔をしていた。
「んじゃ俺、恋人迎え行くから先帰るわ。」
 相変わらずマイペースな新山は話を聞くことなく帰っていった。

 恋と仲川が先生に呼ばれて離れていくと佐々木がニヤついて赤城に話しかけた。
「ちょいちょい赤城くんよ、嫉妬がすぎるんじゃないですかねぇ?肩組むのも許せんのかい?ちみは。」
「......うるさいな。お前は距離近すぎんだよ。」
「そんな心配せんでも他の奴ら来んよ。てか、弟いるから他のやつら誘わんし。なにがそんな心配よ。」
 笑って話す佐々木に赤城が深くため息を吐いた。
「......芦野いて平常心保てる自信ないから。それをお前とか新山に見られんのがシャクなだけ。」
 赤城の言葉に佐々木が笑って背中を叩いた。
「学校トップ3に入るであろうモテ男の赤城くんがこんなに恋人に下手したてにいってるって知ったらそれこそ女子たちギャップ萌え即死案件だわ、おもろいわまじで。しかも今までお茶かコーヒーしか買ってなかったのにいつの間にやら甘党になっちゃって。芦野くん最高だなこれは。なにしたら赤城をこうできんだよ。」
 そう言って佐々木は恋の方を見た。
「ガチで黙ってほしい。......まじで芦野の視界にお前が入ってるってだけでも不快だわ。」
 ガチトーンで話す赤城にまた佐々木が笑った。
 そのやりとりを遠くからボーッと恋は眺めていた。

「芦野夏休みほか行きたいところとかある?」
 帰り道に歩いてる時に赤城が恋に聞いた。
「んー...どこだろ。僕は赤城とならどこでも行きたいよ?」
「あら、可愛いねぇ芦野くんは。」
 赤城がそう言うと恋は繋いだ手にぎゅーっと力を入れた。
「なんかさ、こうやって手繋いで一緒に帰れるの...嬉しい。」
 突然の恋の言葉に赤城は吃驚する。
「どうしたのいきなり。」
「んー?ふと思ったから言っただけ。浮かれてるのかも。」
 恋は赤城の方を見てフワッと微笑んだ。
「今日赤城が周りに人いるのに、気にせず夏休みの話僕にしてくれたから。だから嬉しかったの。...ごめんめっちゃ恋人ヅラみたいだけど、赤城僕のこと考えてくれてる~ってテンション上がったの。調子乗ってごめん。」
 恥ずかしそうに下を向き照れる恋の首筋にキスをする赤城。
「......んっ...!?」
「芦野もっと調子乗っていいよ。それか......今からもっと恋人って思えること...していい?」
 吃驚して顔をあげる恋に赤城が今度は口にキスをした。恋は繋いだ手を離し赤城の背中に両手を回した。その行動に驚きながらも赤城は手を首に回し片手を恋の腰に当てた。少しして正気に返った恋が手をバタつかせ離れようとすると、赤城が頭を抑えて気にせず続けた。その赤城の行動に流され恋はもう一度手を回した。舌を絡ませる赤城を真似るように恋も舌を出した。息が苦しくなり恋が「も、無理...。」と言うと赤城が口を離した。
「芦野かわい...頑張ってくれてありがと。」
 恋の頭を撫で抱きしめる赤城に恋が不安そうに話しかけた。
「ね...僕ちゃんとできてた?緊張して分からなくなっちゃった。下手......じゃなかった、?」
 その言葉に赤城は微笑んで「ここ。」と自分の胸辺りに耳を当てさせた。
「俺も緊張してる。音聞こえるでしょ、早いの。芦野可愛すぎて手出したくなるよ。それに下手じゃないよ、上手。俺の真似たの?」
 赤城の言葉に何度も頷いて安心したようにギュッと抱きついた。
 その時恋の携帯が鳴った。
「誰だろう。......ちょっと見るね。」
 恋がポケットから携帯を出しL◯NEを開いた。赤城は1番上に見たことのあるアイコンが見え「ちょ、見して。」と横から携帯を覗いた。

 佐々木
「L◯NEあんがとー!これからなんかあったら送らせてもらうわ!」

 呆然とする赤城とは裏腹にニコニコする恋。
 嬉しそうにL◯NEを返した後恋は赤城の方を見ると忌々しそうに画面を見る赤城がいた。
「どうしたの?」
「あー...いや。L◯NE交換したんだ。」
「あっ!うん!!佐々木くんがもし良かったら~って。赤城の一年の時の写真とか良さげのあったら送るよって言われてしっかり誘惑に乗せられちゃったよ!」
「そう......。」
 気乗りしない赤城の反応に恋が戸惑った。
「あ...、ごめん。交換しない方が良かった......?」
「あー、いや。そんなわけじゃないけど......。」
「......僕無神経だったかな...ごめんね、そう言うの気付けなくて。」
 寂しそうに俯く恋に赤城が「あ、そうじゃなくて...」と言った後に続けた。
「あんまり他のやつと仲良くして欲しくないだけ。俺だけでいいじゃんって...思った。佐々木芦野の事興味津々だったし、芦野が可愛いの他の人に知られたくないんだけど......芦野はさ、そんなあいつらと仲良くしたい?」
 恋から少し距離をとって嫌そうに赤城が聞いた。
「んーん違くて...赤城の友達だから。だからいい風に見られたいだけ。......あでも、仲良くしたくないとかじゃないからね?したいけど違くて、うーん...伝え方難しい...。」
 なんて言えばいいか悩んでる恋は、後ろから赤城に抱きついた。
「好きなのは赤城だけだよ本当に。」
 いつもに増して積極的な恋に赤城が驚きつつ前まで回された手の上に自分の手を被せた。
「......ねぇ今日俺んちくる?明日俺んちから学校行こうよ。...家きて。」
「で、でも今日赤城バイト......。」
「うん。バイトギリギリまで家にいるし、終わったら速攻帰ってくるから俺の部屋で待ってて。」
 躊躇している恋の方に体を向けて顔を近づけた。
「ね...、嫌?」
「んーん、行きたい。......でも、バイト終わったら赤城のバイト先まで迎え行ってもいい...?」
 尻込みする恋に赤城が笑って頭を撫でた。
「ん。いいよ。でも終わったら連絡するから、したら家出てきて。」
 恋は赤城の話に「わかった。」と答えて家族に連絡を入れた。
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