【完結】フィクション

犀川稔

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12.5話 二度目の赤城んち

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 まじで余裕なさすぎだろ。俺、格好悪......。
 最近嫉妬が本気で加速してるしなんか気づいたら家誘ってたし、なんでそんな時に今日あんな積極的だったの芦野...。理解できん。流石に歯止め効かなくなりそうだわ。
 いつもに増して無口で働く赤城。
「なにをそんな思い詰めてんの?」
 混み合う時間が過ぎ客足が減った時、一緒にバイトをする佐藤が赤城に聞いた。
「...あ?あー......別に。なんもない。」
「いやいやなんかあるやつじゃん。何また恋人関係ー?」
「まぁ...。」と歯切れの悪い返答をする赤城に、佐藤は笑って背中を押した。
「遂に別れたかー!まあお前にしては続いたんじゃね?おつおつ!今度飯行こう。」
「おい勝手に別れさせるな。バリバリ付き合ってるわ。」
「じゃあなんでそんな浮かない顔してんの。」
 赤城は頭を抱え、項垂れた。その時業者のトラックが来て発注していた品物が届いた。荷物を受け取り品出しをしながら、赤城は一緒に隣で作業をする佐藤に口を開いた。
「今家に恋人いるんだけどさ。」
 突然の話に驚きながら佐藤は「おぉ!」と興味ありげに話を聞いた。
「......理性に負けて手を出しそうで怖いんだわ。まじでなんで誘ったんだ俺。」
 赤城の話に口を開けて呆然とする佐藤。
「......は?え、なにそれだけ?」
「あ?お前が話せって言ったんだろ。」
「違う違う。いやもっとさ...深刻なやつだと思うじゃん。したら何?遣っちゃいそうって。そんなんやりゃーいいだろ。さっさとおっぱじめろよ。」
 佐藤の言葉に厭な顔をしながらため息を吐いた。
「あー、なんでこんな俺の周りはゴミみたいなやつしかいねぇんだ。」
「相手経験ないんだっけ?だからってそんな紳士にならんでも離れていかないでしょ。お前鏡で自分の顔見た事ある?イケメン風味ではあるぞ。」
「食いものにすんな。......まぁお前に聞いた俺が悪いわ。」
 そう言うとその後黙々と作業をした。

 上がりの時間になって携帯を確認すると恋から5分前に「今から向かう。」とL◯NEが入っていた。
「......え?」
 急いで電話をかけながら着替えをした。
「......も、もしもし?赤城?もうおわっ...」
「芦野?いまどこ?」
 恋の話を遮って赤城が聞いた。
「あー...えっと、赤城のバイト先の近くの曲がり角のところ。ほんともう少しで着くよ。」
「わかった。店出て待ってる。」
 ......夜道心配だからせめて家出るとこから電話繋いでおきたかったんだけどな...。
 そう思いながら電話を繋いだまま身支度を整えてすぐに店を出ると、恋は嬉しそうに赤城に駆け寄った。
「お疲れさま!」
「...うん。ありがと。走ってきたの?」
「終わったみたいだったから、早く会いたくて走っちゃったよ。」
 少し呼吸を乱しながら恋は微笑んだ。
 赤城は「帰ろう。」と恋の手を引いた。

「あ!赤城おかえり。」
 あの後通りの店で一緒に牛丼を食べて家に帰ってから赤城の勧めで先に恋がお風呂に入り、その後赤城がお風呂に向かった。
 ベットに座り、漫画を読んで赤城の帰りを待っていた恋の隣に赤城は座った。
「俺がバイトの時何してたの?」
「そうそう!携帯でゲームしてたんだけどそしたら赤城の弟くん部屋入ってきてさ!びっくりしたよ。漫画借りようと思ったんだって。僕驚かせちゃったよ!制服着てたから良かったけど部屋着とかに着替えてたら完全に勘違いされたやつだ~。...でもそん時この漫画おすすめされて...んで今読んでたの。」
 恋の話に驚き赤城は咄嗟に手を掴んだ。
「え、待ってちかいと話したの?」
 赤城の反応に疑念を持ちながら恋は赤城の顔を見つめた。
「誓くんって言うんだ。話したよ!赤城に似てめっちゃかっこいいね!」
 その時部屋がノックされて誓が入ってきた。かき上げた綺麗な茶髪はまだ濡れていた。
「あ、尊くんおかえり。帰ってきてたんだ~。まだかと思って帰るまでお友達ちゃんとお話ししてようと思ったのに。」
 そう話す誓に呆れた顔をした赤城がふと恋を見ると、笑って誓を見ていた。
「......っ。」
 恋から目を逸らし立ち上がりと赤城は誓に近づいた。
「誠に残念ながら俺帰ってきてるのでお引き取りください。」
「言われなくてもそうするつもりだよ~。でも珍しいタイプだね。尊くんの友達にしては真面目そうと言うか大人しめ...?っ感じで。しかも外じゃなくて、家にあげるなんてさ。明日は雨でも降るのかねぇ。」
 誓は興味津々に恋を舐め回すように全身を見渡した。その視線に恋が気付き俯いたのを察した赤城は二人の間に入り遮ってから薄ら笑いを浮かべた。
「性格は他の奴らとか違うかもね。...なんせ友達じゃないし。恋人との時間無駄にしたくないかさっさと出てってくれる?」
「ちょっ...、それって...」と何か言いかける誓を無理矢理追い出しドアを閉め鍵をかけた。
 その後振り返り、恋を見つめ優しく笑って隣に座り直した。
「ごめんね、うるさくて。」
「いや......全然。それよりよかったの?...付き合ってるの言っちゃって...。」
 心配そうに顔を見る恋に「うん。」と言うと赤城は恋の肩に顔を乗せた。
「ねぇ、これから話すことうざかったら流していいから...聞いて?」
 話ながら頭を落としていき、恋の膝の上に頭を乗せ横になった。膝枕をする恋は吃驚して顔を背けた。
「こっち向いて...逃げないで。......他の人と二人きりで部屋で過ごさないで、連絡も高頻度で取らないで。......俺以外の人にいい顔しないで、見ないで。笑いかけないで、楽しそうにしないで。...全部、俺だけに芦野を頂戴。」
 恋の顔に手を伸ばし、自分の方を向かせた。真面目な顔で話す赤城を恋はまっすぐに見つめた。耳まで赤く染める恋の耳を赤城が愛撫した。
「耳赤い...お風呂温かくてまだ火照ってる?」
 そう言うと柔らかく笑った。
 その仕草に恋は動揺しながらも赤城の手に顔を擦り付け口を開いた。
「うざくないから流さない...です。赤城にこうしてって言われるの嬉しい...。家族に恋人って言ってくれたのも嬉しかった。僕さっき誓くんに友達ですって言っちゃったから...。嘘ついたから謝らないと...。それにもう全部......。」
 途中で恋は話を止めて顔を背けた。
「...芦野?」
「赤城の家族いるから...また急に入ってきて聞かれたら恥ずいから......。」
 思い出したようにあたふたする恋を見て赤城が笑った。
「芦野、俺さっき鍵閉めたよ。」
 そう言って上半身を起こし恋にキスをすると、体勢を変えそのまま恋をベットに押し倒した。
「だから、何しても邪魔されないから。...さっきの続き教えて。ちゃんと俺の顔見て話してね。」
 赤城の言葉に恋は頷いて高鳴る胸を抑えながらゆっくり話した。
「僕好きになったのも抱きしめてもらったのも...キスしたのも全部赤城が初めてだよ。恋の仕方教えてくれたのも赤城だし赤城にしかドキドキもしない。......赤城が他の人と話してるとモヤモヤしちゃうし赤城友達多いから夏休みも遊んでもらえるのかなとかすごい不安で赤城に言われる事とかで一喜一憂しちゃってでも嫉妬も束縛もしたらめんどくさいって思われるから頑張って抑えてる。もう赤城が思うよりずっと前から全部全部。......全部赤城だけだよ。だからもっと、僕のこと貰って...。」
 目を潤わせながら真剣に話す恋を赤城はずっと見つめていた。そして頭を撫で、恋の横に寝転がった。
「芦野一生懸命でかわいい。同じ事思ってたんだ。......芦野の嫉妬とかクソ嬉しい。」
 赤城は恋の首に手を回して自分の方に抱き寄せた。
「う...ん。重たくてごめん......。」
 顔が近づき緊張で視線を逸らす恋に、赤城がキスをしながら言った。

「芦野、重いって言うのは俺みたいに嫉妬で狂ってる奴の事を言うんだよ。」
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