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三
16話 前兆
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「36.2℃......よし!」
幸い熱は、あの後眠ってから一気に下がり一学期最終日、無事学校に行くことができた。
早く赤城に会いたい気持ちが先走ってしまっていつもより2本も早い電車に乗ってしまった。電車に揺られていると仲川に声をかけられた。
「え、芦野じゃん。熱大丈夫だったの?てか早くね、どうした?」
「あ、仲川おはよー。無事完治!なんか色々考えすぎて知恵熱だったんだと思うわ!そういえば赤城と仲直りできたよ!」
嬉しそうに話す恋に仲川は安心したように微笑んだ。
「おー、よかったよかった。あ......あのさ。」
「んー?」
全身から幸せが溢れ出ている恋に仲川は「あー...やっぱなんでもない。」と、聞こうと思っていた話を切り出すことができなかった。
電車では恋のおすすめの犬の動画を一緒に観たり仲川の犬の写真を観たりして過ごした。
学校の最寄りで電車を降りるとコンビニで飲み物を買って一緒に学校に向かった。
「あ、そういえばさ。高瀬くんが花火大会に一緒に行こうって誘ってくれたんだよね~。」
「...え?」
昇降口で上履きに履き替えてる時恋が仲川に話した。突然の話に仲川が真顔になりながら恋の方を見た。
「......それなんて返したの?」
「んー?行けないって言ったよ、二人で行くのは赤城嫌がるだろうしそもそも赤城が誘ってくれるかもだし。」
「そ、そうか。」
仲川ホッとした表情で恋から目を離した。
「てか仲川いつもこんな早く学校来てんの。めっちゃ早いね。」
「あー、ポポちゃん飼ってから朝散歩するために早起きしてるからそれでなんとなく早くなったわ。」
「いいね、朝犬の散歩か~僕には無理だ。ギリギリまで寝てたいわ。」
話をして笑いながら教室に向かいそのまま話し込んでいるとだんだんと教室に生徒が増えてきて赤城と新山も登校してきた。
「芦野おはよ。今日早いね。」
「おはよう~。うん!今日早く起きれたからそのまま学校来てみた!」
「そうなんだ、えらいえらい。」
親のような目で二人を見ている仲川に新山が近づいた。
「...仲川くんって芦野くんの幼馴染なんでしょ?」
「あ...はい。そうですよ。」
突然話しかけられて歪に返事をする仲川。
「芦野くんって昔からあんなに人懐っこいの?」
「あー......マジでずっとあんな感じですね。いい性格ですよね愛嬌あって。まぁ言い方変えると人のこと信じすぎってことでもありますけど...。」
仲川の含みのある言い方に「ふ~ん。」と新山は返して自分の席に向かった。
終業式が終わって教室に戻った時、相馬が飲み物を買いに行きたいと言ったのに対し、恋がついていくと言って教室を出ると、仲川は立ち上がって赤城の元に向かった。
「ちょっと今いいですか?」
「あー、うん。なに?」
周りの友達を見て話すのを躊躇する仲川に赤城が「あっち行こー。」と窓際の方を指差した。ベランダに着いて赤城が「で、何?」と言うと仲川真顔で口を開いた。
「幕張のところの花火大会、もし芦野と行く予定だったら辞めてもらってもいいですか?」
「えっとー...まだなんも考えてなかったけどなんで?」
「......理由は聞かないで欲しいです。お願いできますか。」
突然の不明瞭な仲川の話に赤城は頭を抱えた。
「お二人さんー、どうしたん?」
そこに佐々木が近づいてきたと同時に恋と相馬が教室に帰ってきたのに気付き仲川は「じゃ、頼みます。」と言い残し離れていった。
「お、仲川!...赤城と話してたん?」
「うん......でも大した話じゃないよ。で、さっきの話だけどさー」
輪に溶け込んで話に加わった仲川を赤城と佐々木が眺めた。
「......大した話じゃない...って感じの内容じゃなかったよねー。」
「...聞いてたの?」
「うん。俺地獄耳だからさ、ちなみに仲川がこの前屋上で話してた話もちゃーんと聞いてたよ。」
「...それ詳しく聞かして。」
佐々木は笑って赤城に言った後に「なんかねー。」と顔色を変えて話始めた。
恋と別れた後、笑ってたのにいきなり血相を変えて屋上に向かったから気になって跡をつけていって少しドアを空けて屋上には出ずに話を聞いていた佐々木。電話越しだったから相手の話は聞こえなかったけど4.5人に電話をかけては「高瀬に芦野の連絡先を教えたか」って事と「もし誰か分かったらなんで高瀬が聞いたのか聞いて欲しい」って事。それを真剣な顔をして聞いていた。その時の顔が何か思い詰めたような、そんな表情だった。そして「手当たりがない。」と言っていた。
「ま、こんなところかなー......その時の話はね。」
佐々木が赤城を見てその時の話をしていた。
「その時はって事は他にもあんの?」
「うーん...まぁ関係はしてそうな話はあるよ。その仲川が聞いてる高瀬って人のことね。」
「...何?」
赤城が真剣な顔をして聞くと、佐々木がベランダの手すりにもたれ掛けてさっきよりも小さい声で話した。
「その高瀬ってやつが千隼と同じ学校らしくてさ、どんなやつか教えてくれたんだよ。いいヤツらしいんだけどよくない話もあってさ......。」
そう言って佐々木は千隼が言っていた事をそのまま赤城に伝えた。それを聞いた赤城は顔色を変えて恋のことを見た。
「いやー、まあ噂だからね~。確証はないしどんなもんなのかよくわからないけど...さっきの仲川の言い方的にあんま考えたくはないけど、何かしらの形で芦野くんが関わってるのは想像がつくよね。」
「まぁ...そうだね。」
「でも芦野くんあの感じだから。その...相手に手出されたとかじゃないと思うけど。そもそもだとしたらその時の話を真っ先にお前にしてるだろうしね。」
佐々木の話に相槌を打ちながら赤城は真剣に考え込んだ。
この時なんとなくこの後何かが起こる、そんな嫌な予感がしていた赤城だがその予感が的中することになった。
幸い熱は、あの後眠ってから一気に下がり一学期最終日、無事学校に行くことができた。
早く赤城に会いたい気持ちが先走ってしまっていつもより2本も早い電車に乗ってしまった。電車に揺られていると仲川に声をかけられた。
「え、芦野じゃん。熱大丈夫だったの?てか早くね、どうした?」
「あ、仲川おはよー。無事完治!なんか色々考えすぎて知恵熱だったんだと思うわ!そういえば赤城と仲直りできたよ!」
嬉しそうに話す恋に仲川は安心したように微笑んだ。
「おー、よかったよかった。あ......あのさ。」
「んー?」
全身から幸せが溢れ出ている恋に仲川は「あー...やっぱなんでもない。」と、聞こうと思っていた話を切り出すことができなかった。
電車では恋のおすすめの犬の動画を一緒に観たり仲川の犬の写真を観たりして過ごした。
学校の最寄りで電車を降りるとコンビニで飲み物を買って一緒に学校に向かった。
「あ、そういえばさ。高瀬くんが花火大会に一緒に行こうって誘ってくれたんだよね~。」
「...え?」
昇降口で上履きに履き替えてる時恋が仲川に話した。突然の話に仲川が真顔になりながら恋の方を見た。
「......それなんて返したの?」
「んー?行けないって言ったよ、二人で行くのは赤城嫌がるだろうしそもそも赤城が誘ってくれるかもだし。」
「そ、そうか。」
仲川ホッとした表情で恋から目を離した。
「てか仲川いつもこんな早く学校来てんの。めっちゃ早いね。」
「あー、ポポちゃん飼ってから朝散歩するために早起きしてるからそれでなんとなく早くなったわ。」
「いいね、朝犬の散歩か~僕には無理だ。ギリギリまで寝てたいわ。」
話をして笑いながら教室に向かいそのまま話し込んでいるとだんだんと教室に生徒が増えてきて赤城と新山も登校してきた。
「芦野おはよ。今日早いね。」
「おはよう~。うん!今日早く起きれたからそのまま学校来てみた!」
「そうなんだ、えらいえらい。」
親のような目で二人を見ている仲川に新山が近づいた。
「...仲川くんって芦野くんの幼馴染なんでしょ?」
「あ...はい。そうですよ。」
突然話しかけられて歪に返事をする仲川。
「芦野くんって昔からあんなに人懐っこいの?」
「あー......マジでずっとあんな感じですね。いい性格ですよね愛嬌あって。まぁ言い方変えると人のこと信じすぎってことでもありますけど...。」
仲川の含みのある言い方に「ふ~ん。」と新山は返して自分の席に向かった。
終業式が終わって教室に戻った時、相馬が飲み物を買いに行きたいと言ったのに対し、恋がついていくと言って教室を出ると、仲川は立ち上がって赤城の元に向かった。
「ちょっと今いいですか?」
「あー、うん。なに?」
周りの友達を見て話すのを躊躇する仲川に赤城が「あっち行こー。」と窓際の方を指差した。ベランダに着いて赤城が「で、何?」と言うと仲川真顔で口を開いた。
「幕張のところの花火大会、もし芦野と行く予定だったら辞めてもらってもいいですか?」
「えっとー...まだなんも考えてなかったけどなんで?」
「......理由は聞かないで欲しいです。お願いできますか。」
突然の不明瞭な仲川の話に赤城は頭を抱えた。
「お二人さんー、どうしたん?」
そこに佐々木が近づいてきたと同時に恋と相馬が教室に帰ってきたのに気付き仲川は「じゃ、頼みます。」と言い残し離れていった。
「お、仲川!...赤城と話してたん?」
「うん......でも大した話じゃないよ。で、さっきの話だけどさー」
輪に溶け込んで話に加わった仲川を赤城と佐々木が眺めた。
「......大した話じゃない...って感じの内容じゃなかったよねー。」
「...聞いてたの?」
「うん。俺地獄耳だからさ、ちなみに仲川がこの前屋上で話してた話もちゃーんと聞いてたよ。」
「...それ詳しく聞かして。」
佐々木は笑って赤城に言った後に「なんかねー。」と顔色を変えて話始めた。
恋と別れた後、笑ってたのにいきなり血相を変えて屋上に向かったから気になって跡をつけていって少しドアを空けて屋上には出ずに話を聞いていた佐々木。電話越しだったから相手の話は聞こえなかったけど4.5人に電話をかけては「高瀬に芦野の連絡先を教えたか」って事と「もし誰か分かったらなんで高瀬が聞いたのか聞いて欲しい」って事。それを真剣な顔をして聞いていた。その時の顔が何か思い詰めたような、そんな表情だった。そして「手当たりがない。」と言っていた。
「ま、こんなところかなー......その時の話はね。」
佐々木が赤城を見てその時の話をしていた。
「その時はって事は他にもあんの?」
「うーん...まぁ関係はしてそうな話はあるよ。その仲川が聞いてる高瀬って人のことね。」
「...何?」
赤城が真剣な顔をして聞くと、佐々木がベランダの手すりにもたれ掛けてさっきよりも小さい声で話した。
「その高瀬ってやつが千隼と同じ学校らしくてさ、どんなやつか教えてくれたんだよ。いいヤツらしいんだけどよくない話もあってさ......。」
そう言って佐々木は千隼が言っていた事をそのまま赤城に伝えた。それを聞いた赤城は顔色を変えて恋のことを見た。
「いやー、まあ噂だからね~。確証はないしどんなもんなのかよくわからないけど...さっきの仲川の言い方的にあんま考えたくはないけど、何かしらの形で芦野くんが関わってるのは想像がつくよね。」
「まぁ...そうだね。」
「でも芦野くんあの感じだから。その...相手に手出されたとかじゃないと思うけど。そもそもだとしたらその時の話を真っ先にお前にしてるだろうしね。」
佐々木の話に相槌を打ちながら赤城は真剣に考え込んだ。
この時なんとなくこの後何かが起こる、そんな嫌な予感がしていた赤城だがその予感が的中することになった。
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