【完結】フィクション

犀川稔

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50話 陽キャ組の冬休み

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 当たり前に会えていた赤城とも、冬休みに入ってからは電話とL◯NEで頻繁に連絡は取っていたけどもう数日間会えていなかった。しかし明日、24日は僕が行きたいと言っていた水族館に連れて行ってくれるらしい。毎年クリスマスは虚しく家で過ごしていたし街中のカップルを見てはどこか羨ましい気持ちを持っていたそんな僕が、今年は自分がそっちの立場に立てるというのがなかなかに感慨深い。
 浮かれてしまいまだ前日の昼前だというのに、ウキウキで準備をしていた。赤城は今日、佐々木くんたちと遊びに行くって言ってたけどもうそろ集合したくらいかな?

「おい、聞いてねぇぞ。なんで男4人でくる飯の場所がスイパラなんだよ。」
 不満そうに赤城が本音を漏らすと、佐々木が笑って肩を組んで話した。
「お前たちは明日どうせデートでも行くんだろ~?前日くらいは俺に付き合えよ!あと誤解が無いように一応言っていくが、ここ提案したのは俺じゃねーからな?」
「わかってるよ...どうせそこのお子様でしょ、ここチョイスしたの。」
 こっちを見てニヤニヤする千隼を指差しながら赤城が怠そうに話した。千隼を庇うように新山が横から口を出した。
「いいじゃん、お前最近甘ったるいの食ったり飲んだりしてんだから。そんなやつにはスイパラなんてもってこいの代物だろ。」
「恋がいないなら食う意味ないしお前らといる時はいつも食ってねーだろ。」
「いや、ちゃっかり惚気んな!まじできしょいな!」
 はっきり物を言う赤城に一同呆れたようにさっさと先に店に入って行った。徐に好きなものを取りに行くと先に戻っていた赤城に新山が話しかけた。
「そういえば俺この前学校のあと芦野くんにあったべ。」
「あー、薬局で会ったってやつ?なら恋に聞いたよ。」
 顔色を変えることなく答える赤城につまらなそうに新山が返した。
「なんだーもう聞いてたのか。流石の俺でもコンドーム買ってる時会っちゃうのは焦るわ。」
「...は?待って何その情報。」
 新山の話に驚いて赤城は目を丸くした。その顔を見て新山は面白可笑しそうに笑った。
「いや全然面白くなくから...おい、詳しく話せ。」
 赤城に詰められると新山は笑いながら話した。
「いやいや、今言った通りだよ。買おうと思ったら前に並んでたのが芦野くんで傘ないから相合傘してもらって駅まで行った、そんだけだよ。」
「...お前余計なこと言ってないだろうな?」
「うーん...余計なことと言うよりもめっちゃ背中押してあげたよ。お前仲川に恋のこと身が重いだのなんだの話したっしょ?それ悪いところだけ芦野くん聞いちゃってたらしくてマイナス思考になってたからフォローしといてやったよ。最後顔明るくなってたから多分消化できたっぽいわ。あーあ...俺ってなんて良い奴なんだろうな。」
 新山の話の情報量が多すぎて頭が追いつかない赤城は頭を抱えながら焼きそばをを食べた。そこに取り終えて帰って来た佐々木と千隼が状況が理解できずに何があったのかを新山に聞いた。
「いやスイパラ来て初っ端から口直しの焼きそば食ってるやつお前くらいだよ。あいつどうした?」
「...芦野くんと遣れなくて萎えてるらしい。」
「聞こえてんだよ、ホラ吹くな。」
「ん!?...赤城先輩これ美味しいよ!ほらっ、あーん。」
 反射的に口を開けた赤城に千隼はシフォンケーキを食べさせた。それを見ていた新山は「もう一生助けてやらねぇぞ。」と赤城にキレた。
「いやこれは俺、無罪だろ。文句なら食わせた彼に言えよ。」
「だとしても断れや...おいお前もあんま赤城にベタベタすんな。俺の前なら尚更やめろ。」
 ガチトーンで話す新山に千隼はつまらなそうに不貞腐れてケーキを食べた。そんな千隼に舌打ちをして「ちょい外の風当たるわ。」と言って新山は店の外に出て行った。
 そんな新山に背中を見届けてから赤城は佐々木の方に顔を向けた。
「これって俺が悪いの?」
「いやー?ただの嫉妬だろ。赤城は気にせんでいいよ...で。おいお前だぞ問題なのは。あんま面倒になることすんなバカタレが!」
 佐々木は千隼の頭を軽く叩きながら話した。それに対しヘラヘラと千隼が笑っていた。そんな時赤城の携帯が鳴り見ると恋からの着信で赤城が席を立った。

「ごめんお待たせ恋、どした?」
「あっ、えっと...もしもし。今遊んでた...よね......邪魔してごめんね。」
 静かに話す恋の声を聞いて優しく微笑むと赤城は優しい声で「全然大丈夫だよ。」と声をかけた。その赤城の言葉を聞いて恋は少し不安そうに口を開いた。
「あ、えっと...あのね。さっきL◯NEで佐々木くんの弟さんも一緒って聞いたからその...。違う!嫌とかじゃないんだけど、うーん...。ん...あまり、距離近いの...は、控えてほしいな、って...ごめん僕わがまま言ったかも...。」
 ぎこちなく話す恋に愛おしさを感じて赤城は「うん。」と答えた。
「...ごめん、実は今さっき恋のこと新山から聞いててそんで上の空だったから佐々木弟から差し出されたケーキ無意識に食っちゃってて。よくよく考えたら嫌よな、ごめんね。次から気をつけます。」
「あっ、そうだったんだ。んーん大丈夫!ちゃんと言ってくれたのが嬉しかったから...。でも赤城は悪くないかもだけどきっと新山くんも嫌な気持ちだったかもだからもし傷ついてそうだったら謝るんだよ?そしたら僕は許すよ!」
 声のトーンから電話越しでも伝わる恋の微笑んだ表情を想像して赤城は安心したように肩を撫で下ろした。
「好きだよ。」
 不意に赤城から言われ、恋は分かりやすく動揺した。そんな恋に悶死している赤城に恋は小さな声で「僕も...」と返した。

 その後5分程会話をした後電話を切った。
「帰る時にまたL◯NEで言うね。」
 と言うと、恋は嬉しそうに「ありがとう!」と言った。
 電話を終えて席に戻ると先に帰ってきていて気持ちを切り替えたのか笑って話をしている新山に赤城は「さっきはすんませんした。」と謝った。そんな赤城に驚いて三人は動きを止めた。
「...あ、いや。別にお前には八つ当たりしただけなんだけど......え、なに突然コワ、どうした?」
「恋に話したらお前にちゃんと謝れって言われたから、んだからとりあえず謝っておこうかと。」
「やば...芦野くんは可愛いけどお前は素直すぎてキモいな。」
 赤城の話に三人は笑って突っ込んだ。
「赤城先輩ってやっぱり恋人さんに激甘なタイプだよね。」
「そう...なのかねー、わからん。でも言われたことはわりとなんでもその通りにはするかもね。」
「これは完全にメンヘラ製造機だわ~!」
 千隼にも馬鹿にされ、納得できない様子を見せる赤城はそれ以降も諦めたように話を流した。

 その後もぶらぶらと遊びに行き21時ごろ解散をした。
「今から帰る。」と連絡を入れるとすぐに恋から「お話したい。」と返事が来て、赤城は恋に電話をかけた。
「電話ありがとう~!今帰り?」
「うん、駅から家向かってるよ。街中カップルばっかで男四人は浮いてたわ。恋は今日、何してたの。」
 そんなたわいもない話から色々な話をして家に着いてからも電話は繋いだままだった。最近は寝る前までずっと繋いでいる事が多く、恋が寝てしまった時は赤城が切っていたけど起きていた時は同時に電話を切るのが主流になっていた。この日も恋が先に寝てしまったけど、起きた時もし繋がっていたらどんな反応するのか見て見たくて赤城は切らずに電話を繋いだままにし次の日の朝電話に気付き、驚いた恋の顔を想像しながら赤城は眠りについた。
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