【完結】フィクション

犀川稔

文字の大きさ
78 / 93

55.5話 余談-赤城が美容院行く前日の恋たち-

しおりを挟む
「~ってな感じで、芦野家無事家族団欒を取り戻したので報告っす!!」
嬉しそうに話す恋に仲川も前のめりになって話を聞いた。
「へぇ~、そういう感じにまとまったんだ。よかったじゃん、つか一番平和な感じに終息したな。」
「うん!僕も姉ちゃんから聞いた事だから割愛してる部分もあるかもだけど、父さんも年始までは家で過ごしたらまたアメリカ戻るけど定期的に日本帰ってくるようにしてくれるらしい。今の仕事も片付いたらまたこっちで仕事になるみたいだし、そん時は家に帰ってくるってー!」
ウキウキで話す恋の話を見守りように聞くと「良かったな。」と仲川が微笑んだあと
「で?あいつは例の如く今日も遅刻か?」
と、ため息を吐いた。
「あっ、うん!さっき電車乗ったって来たからそのうち着くんじゃないかな~?」
「なんでお前には報告しといて俺には何も言ってこないんだよあいつは。」
「仲川は待つの嫌いって感じだし、待たせてる時怒ってるの分かるから送りづらいんだよ~。」
不貞腐れる仲川を見て恋がクスッと笑いながら言った。
「そういうお前は待つの苦じゃないの?いつも約束時間ちょうどに着いてるイメージあるけど。」
「うん!いつ来るかなーってワクワクするし、待ってる時間に来たら何話すかとか行く場所調べたりしてるとあっという間に時間やってるよ!」
「...うん、芦野と話してると自分が器小さい人間に思えてくるわ。」
痺れを切らし仲川は店員を呼ぶと先にドリンクを注文した。仲川の行動に笑って、恋もドリンクを選び注文した。

「ごめん身内に不幸あって遅れた。」
「おい、それは責めづらいしバイト休むテンプレみたいなの辞めろ。」
相馬は40分ほど遅れて店に入ってくると駆け寄ってきて僕らに話しかけた。少しキレ口調の仲川を避けるように僕の隣に座ると肩にもたれ掛かりながら「疲れた~。」と声を上げた。
「お疲れ様~!電車混んでたの?」
「んーん、電車運んでなかったよ。」
「芦野、お前は相馬を甘やかすな!」
仲川のツッコミに恋が笑って返すとお腹が空いたと言う相馬に恋はメニューを渡した。
「僕らも注文しよ!相馬はがっつり食べれる?」
「うん、バイト終わってその足で走って来たからめっちゃお腹すいた~!」
「......は?相馬今日バイトだったの?」
「本当は休みだったんだけど朝突然連絡来て、今日の人インフルになって出れないらしいって店長に言われて遊ぶ時間までならって思って出たんだけど俺のあと引き継ぎの人も体調不良で代わりに出た店長来るまで店番してたんだよね~。」
サラッと今日の話をする相馬にきまり悪そうに仲川が恋を見た。恋は笑って「頑張ったねぇー!」と相馬の頭を撫でた。それを見た仲川も手を伸ばして相馬の頭を撫でると「お疲れさん。」と言った。
「え、何キャラじゃなくない~?ま、嬉しいからいいけど!」
恋と相馬は仲川に行動に顔を見合わせて微笑むと仲川は「うるさい。」と言ってた顔を赤くした。

三人で遅めのお昼ご飯を食べながら話していると思っていた以上に話が弾み、気づいたら2時間以上も話をしていた。普段は食べたらすぐに店を出ようとする仲川も話足りなかったのか追加でデザートを注文するとゆっくりそれを食べながら話をしていた。
会っていなかった期間もそれほど長かったわけでもないのに永遠と話して居られるくらいに盛り上がって気づくともう1時間経っていた。
「流石にそろそろ出るか。」
「そうだね!すごく楽しかったなぁ~...二人とも今日はありがとう!冬休みも会いたいって思って突発的に連絡入れたのに、会ってくれて嬉しかった!!あ~来年も同じクラスになりたいな...。」
帰り支度でコートを羽織りながら恋がそう話すと相馬と仲川は驚いた顔で恋を見た。二人をキョトンして恋が見つめると二人が口を開いた。
「安心しろ芦野、来年も俺ら同じクラスだぞ。もちろん佐々木や赤城や新山も。」
「......え?そうなの?」
「うんうん。うちの学校、三年は新しいクラスに慣れなくて受験とかに影響いかないように特に目立った問題ないとそのまま三年も同じクラスのままみたいよ~。だから来年も俺ら同じだよん。」
「そ...うなんだ.......えー良かった!めっちゃ...うれしい。」
恋が素で嬉しそうに微笑むと相馬が恋の頭をわしゃわしゃした。
「この可愛いやつめ~!」
「相馬やめっ、くすぐったい~!」
戯れ合う二人を呆れたように見ていた仲川は先にレジに向かうとまとめて会計を済ませた。

「あっしーって今週末赤城の家お泊まりするんでしょ~?可愛い下着はもう買ったの?」
店を出て歩いている時に突然相馬に聞かれて恋は驚いて顔を赤くした。
「っ!?し...した...ぎ!?」
仲川も恋の横で静かに驚嘆すると「何でそれ知ってんの?」と聞いた。
「ん~?あぁ、千隼くんって知ってるよね?佐々木の弟の~。俺あの子とちょっとした繋がりあってさ~、そんで流れで連絡先交換したんだけどそこからちょこちょこ連絡取り合っててそれで聞いた。いいね仲良しね~。」
特にこれと言って核心をつくことは聞いてこない相馬に疑念を持ちながら恋が話を聞いているとそれを察した仲川が「他には特に何も聞いてないの?」と相馬に聞いた。
「え~なんか言ってたかなー...。んー、特にかな。」
「そうか、ならいいんd...」
「あ、そうそう!二人が初夜迎えたって聞いたら俺に教えてって言われたわ。」
はっきり答える相馬に理解できず仲川は頭が痛いと言って頭を抱えた。恋はあたふたした後少し困ったような顔をしてから小さな声で口を開いた。
「...やっぱりそう言うの......買った方がいいのかな。」
こっちもこっちで何を聞いているのかわからず更に仲川の頭は重くなった。
「ん~?なんの話?」
「えっ...だからさっき相馬が言ってた...その、した...ぎの話......。」
「あーそれか。え~、絶対買った方がいいでしょ~!多分あっしーがボトムだよね?なら可愛ければ可愛いほど燃えるってやつだよ、がんば~!」
「いやちょい、待て待て待て。ごめん...ここまで耐えたよ?耐えたけどさ。流石に無理つっこませろ。まず相馬、お前は受け入れがスムーズすぎるわ。んでもって何ご丁寧にアドバイスしてんだよ、おかしいだろ普通に。はい次芦野な...お前はもっと人を疑え、危機感を持て。何でそんな受け入れてくれてんのか疑問を持て...俺からは以上だ。」
早口で横から口を出した仲川が息を荒らしながら言い二人を見ると、二人とも口を開けてぽかんと聞いていた。
「うんうんはーい、努力します~。」
雑にそう答える相馬と今だに真剣な顔で悩んでいる恋。「どうした?」と仲川が聞くと恋はその言葉を待っていたように恋が顔をあげた。
「ねぇ、僕がボトムってどう言う意味?今日考えること多くて頭が追いつかない。」
辿々しく話をする恋に仲川は相馬の方を見て「こう言うやつなんだよこいつは。あんまややこしいことを言うな。」と釘を刺した。それを聞いた相馬はごめんごめん~とヘラヘラしながら謝ると恋の耳元で囁くように「可愛い子って意味だよ。」と言った。

今日は頭が痛いからここで解散しようぜ、と言った仲川の発言を軸に僕らは別れた。と言っても仲川とは家の方向が同じだから一緒に帰ることになったけどその間も「お前らの感性がわからんわ。」と魂が抜けたように何度も言っていた。
「芦野明日はバイトだっけ?」
「うんそうだよ!赤城は明日美容院行くんだって。ちょこちょこ赤城がバイト先来てくれたりして会えてはいるんだけど、ここ数日デートというデートが出来てなくて悲しい...。仲川は最長どんくらい彼女と会えなかったことある?」
相変わらず恋愛脳で話を持ちかける恋に窶れた顔をして「その赤城の予定は死ぬほどどうでもいいけど俺らはお互い忙しい時は全然一ヶ月とか会えない時あるよ。」と答えるとふらふらと帰って行った。その背中を静かに見届けると恋も自分の家の方に向かって歩いた。

......毎日でも会いたいって思っちゃうのはやっぱりわがまますぎるよね。正直毎時間毎秒一緒に居たくて赤城のバイト先まで会いに行くって言ったけどダメって断られちゃった...前赤城のバイト先行った時もあんまりいい顔してなかったし嫌だったのかな。それとこの前、赤城はノリで言ったんだと思うけど同棲の話も本当に僕は一緒に住みたいって思ったけど実際赤城はそんなことないのかな......。
家に着くと静かにそのまま自分の部屋に上がりとすぐに部屋着に着替えてベットにダイブした。そしてモヤモヤする気持ちをぶつけるようにヤケクソになりながらネットで可愛い男性用の勝負下着を調べた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夜が明けなければいいのに(洋風)

万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。 しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。 そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。 長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。 「名誉ある生贄」。 それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。 部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。 黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。 本当は、別れが怖くてたまらない。 けれど、その弱さを見せることができない。 「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」 心にもない言葉を吐き捨てる。 カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。 だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。 「……おめでとうございます、殿下」 恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。 その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。 ――おめでとうなんて、言わないでほしかった。 ――本当は、行きたくなんてないのに。 和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。 お楽しみいただければ幸いです。

【完結】毎日きみに恋してる

藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました! 応援ありがとうございました! ******************* その日、澤下壱月は王子様に恋をした―― 高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。 見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。 けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。 けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど―― このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

恋の闇路の向こう側

七賀ごふん
BL
学校一の優等生として過ごす川音深白には、大切な幼馴染がいる。 家庭の事情で離れ離れになった幼馴染、貴島月仁が転校してくることを知った深白は、今こそ昔守られていた恩を返そうと意気込むが…。 ──────── クールで過保護な攻め×完璧でいたいけど本当は甘えたい受け

君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル
BL
【完結】 ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。 けど、話してみると違和感がある。 これは、嫌っているっていうより……。 どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。 ほのぼの青春BLです。 ◇◇◇◇◇ 全100話+あとがき ◇◇◇◇◇

猫と王子と恋ちぐら

真霜ナオ
BL
高校一年生の橙(かぶち)は、とある理由から過呼吸になることを防ぐために、無音のヘッドホンを装着して過ごしていた。 ある時、電車内で音漏れ警察と呼ばれる中年男性に絡まれた橙は、過呼吸を起こしてしまう。 パニック状態の橙を助けてくれたのは、クラスで王子と呼ばれている千蔵(ちくら)だった。 『そうやっておまえが俺を甘やかしたりするから』 小さな秘密を持つ黒髪王子×過呼吸持ち金髪の高校生BLです。

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

処理中です...