【完結】フィクション

犀川稔

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61話 友人と過ごす元旦

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 翌日の昼前、恋と一緒にリビングで映画鑑賞をしていると家族がぞろぞろと帰ってきた。帰ってくるなりみんな恋の事を可愛がりまだ帰って欲しくなかったのか突然俺の誕生日パーティーをすると言って準備をしだした。最初は驚いていた恋ももう何度か会っているからか、日を重ねるごとにだんだんと俺の家族に溶け込むようになっていき楽しそうに家族と話をしていた。

 そこから恋もバイトや家族との予定があったりして気づけば年が明け、新たな一年がスタートした。
 本当は年末年始も誘う気でいたけど年始に引っ越しをするお姉さんと一緒に過ごす最後の年越しと聞いていたから家族を優先して欲しくて俺は先に予定が入ったと嘘をついた。その俺の嘘を察したのか恋は「ありがとう。」と電話越しで言っていた。そう言うわけで年始早々、家でダラダラ過ごしていると佐々木から連絡があり初詣に行くことになった。

「あけおめ~俺がわざわざ願いことしに来てやったぞ!」
「う~っす...人多いなこれどんくらい並ぶんだろ。ちゃっちゃとみんな願い言ってこうぜ。」
 神社に集まると文句を言い散らかす佐々木と新山に赤城は「お前らばち当たれよ。」と冷静に突っ込んだ。
「赤城先輩恋人さんと会う予定とかなかったの?元旦なのに。」
「明後日会うよ。向こうも家族との予定あるかね。」
 特に気にしてるような素振りもなく赤城がそう返すと千隼は「ふーん。」と言った。
「で?この前家族不在の泊まりしたんでしょ?ヤッた?」
「......お前TPOを考えろ。」
「それは俺も今日聞く気でいたわ!どうだったん!?」
 少年のような眼差しでこっちを見る佐々木と新山に加えて、少し控えめだけど聞きたそうにしている千隼を見て赤城はため息を吐いた。
「...どうもこうも可愛かったよ。」
「うわー!!ついにか!芦野くんにも早く感想聞きてぇー!」
「やば!あの純粋無垢な芦野くんが赤城によって汚れたな。」
「...お前らマジでまとめて消えてほしい。」
 赤城は嫌そうな顔で言い放つと携帯を手に取った。恋からの連絡に返事を返すと「今少しだけ電話してもいい?」と言われて赤城は恋に電話をかけた。
「もしもし、どうした?」
「あ、赤城!外出中かな?忙しい時にごめんね!あのね、3日どこ行きたい?って聞かれたから言うわけじゃないんだけど、今姉ちゃんの荷造り手伝ってたら彼氏さんとテーマパークでジェットコースター乗った時に撮られた写真出てきてさ!その写真の姉ちゃんめっちゃ白目向いてて面白くて僕笑っちゃってさ!姉ちゃん曰く思ったよりも速くて怖かったって言ってたんだけど僕それ聞いたらどんなもんなのか気になっちゃって...」
 恋の話を聞きながら何度も「うん。」と優しく言う赤城の声を聞き、恋は高速で話していた口を閉じて一度無言になってから「...僕も赤城と一緒に行きたいなぁ~。」と少し小さな声で言った。
 それを聞いた赤城は悶死しそうになりながら「チケット買っておきます。」と返した。電話を切った後、ニコニコ笑うウサギのスタンプが送られてきて赤城はため息を吐いた。そんな赤城を横で見てた一同は「絶対芦野くんじゃん。」と口を揃えて言った。

 お詣りを済ますとその後みんなでお好み焼きを食べに行った。赤城がドリンクバーを取りに行くと後ろから佐々木が追いかけて来た。
「赤城~!俺もメロンソーダ取り来た!あいつらバカップル、席でイチャイチャしててクソうぜぇわ殴りたい。」
「さっき彼に聞いたけどお前が誘ったらしいじゃん自業自得だわ。」
 佐々木がつれない赤城の肩を組みながら話していると近くから小さな声で「...赤城?」と言う声が聞こえた。
 声のする方に顔を向けるとそこには懐かしの友人がいた。
「八代...。」
「うん、久しぶり...三年ぶり、かな...ちゃんと話すのは。」
「...そーだね。」
 気まずそうに辿々しく話す二人を見て佐々木は笑ってながら「お互い堅くね?」と茶化した。
「俺こいつの友達の佐々木ね!楓って呼んでもいいよ!そっち名前は?あと赤城の何友?そんでもって彼女いる?つかL◯NEやってる?」
 マイペースに話を進める佐々木に耐えきれず八代は声を出して笑うと顔つきを変えて口を開いた。
「赤城の友達めちゃ面白いね。OK、フルネーム感謝!楓くんって呼ぶわ!俺は八代。俺と赤城、元々中学で同じ部活だったんだよね。色々あって俺が先辞めちゃってそこから全然話せてなかったんだー。あと彼女はいないよ~...で、L◯NEはこれね。」
 八代は質問に全て答えるとL◯NEのQRコードを出した。それをちゃっかり読み込むと佐々木は「サンキュ!」と言って友達追加をした。
「...悪い、こいつこう言うやつなんだわ。」
 赤城が頭を抱えてため息を吐くとそんな赤城に笑って八代は「全然全然!」と返した。
「そっちも友達と来てんの?」
「あ、うん!高校の友達。」
 緊張が解けて普通に話を振る赤城に対して、耳を赤くしキラキラした瞳で見上げて答える八代を見て佐々木は「へぇ~。」と小声で言ったあと何も言わずにふらふらと先に席に帰って行った。

「......あー、えっと。佐々木に便乗するわけじゃないけど俺もあとでL◯NEしてもいい?」
 二人きりになるとまた少し雰囲気が変わり赤城が八代に聞いた。
「あっ、うん!いつでもどうぞ......!てか俺も今同じこと聞こうと思ってたし...。」
 赤城は顔を赤くして答える八代の頭を撫で、「じゃ...お互い友達待たしてるしそっちで話そ。」と言うとその場から離れて行った。
 赤城の姿が見えなくなると八代はその場にしゃがみ込み、口元に手を当てた。
「普通に話せた...!よか...った......。」
 八代は安心したように息を大きく吐くと嬉しそうにニコニコと笑った。そしてまた立ち上がると軽い足取りで自分のテーブルに戻って行った。
「あれ、八代~めっちゃご機嫌じゃん。どうしたの?」
 友達からかけられた言葉に八代はふわっと笑みを浮かべながら口を開いた。

「ずっと片思いしてた人とまた話せるようになったんだ~。」
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