【完結】フィクション

犀川稔

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62話 遊園地デート

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 改札を出て待ち合わせの場所に急いで向かっていると、遠くから赤城の姿見えて恋は駆け寄った。
「赤城!お待たせ、今日も待っててくれてありがとう!」
「おはよう、いーえ...髪乱れてる。ゆっくり来てよかったのに。走ってきてくれてありがと。」
 サラッとこう言うことを言ってくれる赤城の言葉にいつもキュンとさせられる。そんでもってそれを本人が全く意識して言っていないということがさらに心臓に悪い。
 恋が照れて下を向くと赤城は恋の手を取って指を絡めた。
「行こっか。」
 恋の顔を覗き込むように見て薄く笑みを浮かべると赤城は恋の手を離して先に歩き出した。恋は慌てて平常心を取り戻して赤城の後に続いて歩き出した。

「あ、そういえばこの前八代に会ったんだよね。」
 電車を乗り継ぎ遊園地の最寄駅に着いた後、そこから歩いて向かっている時に赤城が口を開いた。
「え!そうなんだ!少しは話せた?」
「うん、恋に話した側からめちゃめちゃタイムリー過ぎて自分でも驚いたわ。」
 これ以上聞いていいのかソワソワしている恋に赤城は気付きクスッと笑って事の経緯を話した。
「教えてくれてありがとう~!八代くんも普通に話してくれたの嬉しいね!そしてさすが佐々木くんだ...!」
「うん。多分あいつがいなかったらあんな気兼ねなく話続けられんかったし正直結構助かったかも。あれから何事もなかったようにL◯NEもできてるし、あとなんか今度電話もしようって言われたからすることにしたよ。」
「よかった~僕も安心した。このまままた二人が仲良くなれるといいなぁ...中学の友達ってことは家も近いんだろうし遊ぶってなってもすぐ会えちゃうからラッキーだね!」
 然も自分のことのように嬉しそうに話す恋を見て赤城は「恋のおかげだよ。」と言って微笑み返した。

 遊園地に入るとまず最初に一番の目的だったジェットコースターに乗った。姉ちゃんが言っていたように上がり切った時下を見ると思った以上に高くて僕も少し怖くなってしまい赤城の腕に捕まると、赤城は笑って掴んだ僕の手に自分の手を被せてくれた。そして落ちる瞬間に撮られた写真は、怖くて強く目を瞑る僕とそんな僕を優しく見ている赤城と言うなんとも小っ恥ずかしい写真となってしまった。しかし赤城の僕を見る顔が最高に格好良かったため僕が迷わず購入すると、赤城も「怯えてる恋が可愛い。」と言って購入していた。
 その後も僕が乗りたいと言ったものに赤城は付き合ってくれて、ご飯も2種類買って二人でシェアして食べた。

「後半は赤城が行きたいところ回ろうよ!」
 近くの自販機で赤城が買ってきてくれたミルクティーを飲みながら僕が言うと赤城は「本当にいいの?」と言ってニヤニヤしてマップを開いて指差した。
「じゃ、ここかなー。」
「お!どこどこ、さぁ~!赤城の選ばれた一箇所目は~......え...あ。」
赤城の指刺された先を目で追うと恋は分かりやすく顔色を変えてパッと顔を上げ赤城を見た。
「ここかな~一番行きたいのは。ここのおばげ屋敷結構クオリティ高いらしいよ。途中でリタイア口あるくらいだしねー。」
悪戯に笑いながら赤城がそう話すと「へ、へぇ~...」と冷や汗をかきながら恋が答えた。
「あれ、もしかして恋さん行きたくなかった?」
「!?そ、そんなことないよ!!赤城が行きたいなら全然...行くます!!!」
赤城は声を裏返しながら話す恋を愛おしそうに眺めると「焦った姿もかわいいね。」と恋の頭を撫でた。
「...ん、もしかして...わざと...ですかね?」
「んー?なんのことだか、あーお化け屋敷タノシミダナー!」
ニヤニヤ笑って話す赤城を見て恋は頬を膨らして「ばかー!」と大きな声で言った。

その後向かったお化け屋敷は全然平気くなかった。僕は終始赤城の腕にしがみついていたし、そんな僕を見て面白そうに赤城は「わっ!」と言って脅かしてくるしそれで驚いて段差に転けて膝擦りむいちゃうし恥ずかし過ぎて顔が沸騰した。
「まさかおばけに手を差し伸べられる日が来るとは思わなかった...。」
なんとか出口まで辿り着き脱出クリアの景品の受け取るとそのキーホルダーを見ながら恋が口を開いた。
「俺も手差し出してんのにおばけの方選んだのは納得いかないけどね。」
「脅かしてきた人のことなんて信用できません!あの状況だと僕の味方は完全におばけサイドだよ!明らかに!」
不服そうにぶーぶー言う恋に「ごめんて。」と謝ると赤城はトイレに行くと言って離れて行った。
赤城の荷物を預かりベンチに座って待っていると赤城の袋が振動して揺れた。なんだろうと開けて見ると中には赤城に携帯が入っていた。
「お化け屋敷に入る前確か弄ってたから、順番きてロッカー預ける時に咄嗟にカバンじゃなくて袋の方にしまったのかな?」
そんなことを考えながら可笑しくて笑っていると、もう一度携帯が鳴り始めた。誰だろうと思って画面に目をやると「八代」と表示されていた。
その時赤城が帰ってきて恋は赤城に携帯を手渡した。
「赤城の携帯、袋に入ってたよ!ブルブルいってたから出したら画面見えちゃって八代くんからだったみたい!勝手に見てごめん、出てあげて!」
いきなりのことで話す隙なく手渡されると赤城は電話に出た。
「八代どしたー?......うん......うん...あーえっと...、ごめん今外だから。また今度ゆっくり話そ、ごめん。じゃ、また。」
そう言うとほんの数秒で赤城は電話を切り「ごめんお待たせ。」と恋に話しかけた。
「...二回かかってきてたのか、それで出てあげてって言ってくれたの。優しすぎ、ありがとね。暇電っぽかったから大丈夫だよ。」
話を聞いて安心したように肩を撫で下ろす恋を見て赤城は頭を撫でた。
「あ...えっと、次。どこ行きたい......?」
周囲の視線を感じて恋が焦って話を振るとそれを見た赤城は少し考えたように素振りを見せた後「あれがいい。」と言って観覧車を指差した。

「観覧車、乗るの小学生ぶり...。と言うか遊園地自体そのくらいぶりだったかも。」
観覧車から見える景色を見ながら嬉しそうに恋が話した。
「あら、そーだったの...ならその久々に行く場所の同行者に俺が選ばれたのがクソ嬉しいわ。」
優しい口調で返すと赤城は恋の方に手を伸ばした。恋は恥ずかしそうに自分の手を伸ばすと赤城の手を取ってそのまま繋いだ。
「......俺もそっち行っていい?」
赤城の問いに対して恋が無言で頷くと赤城は微笑んで恋の隣に座った。そんな赤城の肩に恋はもたれ掛かるとあたふたしながら話した。
「あ...あのさ、まだ夕方なのにこんな話するの...不適切かもしれないけど言っても...いい?」
「...どーぞ。」
首を傾げながら赤城が答えると、恋はもじもじして顔を赤くして赤城の顔を見ながら続けた。
「あ...のね、えっとこの前その...えっちなことした、じゃん?...今までも赤城が近くにいるとドキドキしてたし、いまだに全然ソワソワしちゃう時多いんだけど...そう言うことした、って言うの考えるともっと緊張しちゃうっていうか......。意識しちゃう...かも、ごめん...なんかこう言う気持ちってどうしたらいいのかわからなくて当てはまること色々調べたら欲求不満とか重いとか書かれてて...僕、欲求不満のクソ重男なのかもしれないって不安なってナイーブになってた。でも...でもね。赤城がジェットコースターの時優しい顔して僕のこと見てくれてたり、僕の行きたいところ着いてきてくれたり自販機ボタン届かない子供のこと持ち上げてあげてたりデート中他の人から電話きてもすぐ切ってくれたり、赤城のそう言うところ。すごく好き......ってさっき言いたかったんだけど周りに僕らの事見てる人居たから赤城が変な目で見られるのは嫌だったからすぐ言えなかった。二人きりになれる場所来れてよかった。聞いてくれてありがとう!」
赤城は一生懸命に話す恋のことをじっと見ながら話を聞いたあと、全部話し終えた恋の頬を優しく撫でるとそのままキスをした。赤城からのキスを受けた恋は目を閉じるとそっと赤城の腰に手を回してそのまま数分二人は抱きしめ合った。
そしてその後また少し雑談をしてから観覧車が地上に帰ってくると、降りる準備をする恋を見て赤城は「俺も好きだよ。」と甘く柔らかな声で言った。
驚いてパッと赤城の顔を見る恋に赤城はふわっと笑みを見せると、扉が開けられたのに気付き「じゃ、降りよう。」と切り替えて先に降りた。



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(観覧車内で熱弁する恋の話を聞いてる時の赤城の心境)

「えーやばい何このちょっと恥ずかしそうにしてる感じ最高に可愛いしデート中えっちなこと考えちゃってる恋きゅんえろかわ過ぎない?え、これご褒美か?そう言うやつ?やば、意識してないと口元緩むわ。てか自販機行ってる俺のこと目で追っちゃってんのクソかわじゃん。俺のことめっちゃ好きじゃんかわ...クソかわすぎ。今すぐ家連れ込んでキスして他諸々したい。流石にそう言うことは欲に忠実に行き過ぎると猿だと思われるから絶妙な期間空けてからまた誘おうとは思ってるけど、あーこれやば。耐えろ...耐えろ俺の股間。ここでスタンドアップしたらまじにムードぶち壊しだぞ。......はぁ、とりあえず佐々木の寝顔想像しよう...」
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