46 / 87
四
37話 巷談と潔白
しおりを挟む
クラスの集まりで飯に行った帰り、俺はそのまま仲のいい先輩の家に泊まりに行った。
見た目はガラが悪いと思われる人だけど、高校を卒業してから足場の仕事に就きそれなりに真面目に働いているのを俺は知っているから変わらず今でも仲良くしていた。
だから普段は千隼との予定に合わせるのを優先していたけれど夏休みで会う時間を増やせている今、たまには付き合いもあるから会っておこうと決め行くことに決めた。
食事の途中でした千隼との電話でも、そのことは千隼にも知らせていて「危ない人じゃないなら全然いい。」と了承も得た。
近くのコンビニで適当な菓子や飲み物を買ってから家のインターホンを鳴らすと嬉しそうに先輩は俺を家に招き入れた。
「っつかほんと久しぶりだな!佐々木とはマメに会ったりしてたけどお前とは随分日が開いた気がするわ。最近は恋人ばっかで全然つれないんだって佐々木が喚いてたぞ。」
たわいもない会話を挟んだ後で先輩が笑いながらそう言うと、むず痒そうに新山は「まぁそうっすね。」と頭を掻いた。
そしてダラダラと会話をし時刻は1時を過ぎた時、先輩はちょっと仮眠をすると言ってベットに横になった。そして携帯でアラームをセットした時、思い出したように新山に口を開いた。
「そうそう、そういえばさ。佐々木の弟いたじゃん?あの兄とは性格真逆な大人しめの子。その子を見かけたってダチが言っててさ!送られてきた写真がマジでウケるからちょい見てよ。」
そう言って見せられた写真を見て俺は度肝を抜いた。
見覚えのある顔つきが二人...いや。写っていた人物三人とも俺は知っていた。
一人は先輩の言うように俺の恋人であって佐々木の弟である千隼。そして二人目はさっきまで一緒に飯を食っていたクラスメイトの相馬。そしてもう一人は...微かな記憶ではあるけれど過去に千隼が付き合っていたと思われる女だった。
そう、俺が初めて千隼に話しかけたあの日。千隼の隣にぴょこん突っ立っていた女だ。多分...いや絶対。
震える声を必死で隠しながら「これいつの写真すか?」と聞くと先輩は眠そうな目を擦りながら答えた。
「あー...?今日だよ今日。仕事早めに上がって帰ってる時に本屋の前あたりで見かけたって言ってたぞ。やっぱ草食に見せかけて中身は兄と同じで肉食だな。女も女で、佐々木の弟の腕なんか掴んでメスの顔してるしな。」
そう言い残すと携帯の画面を消してそのまま倒れるようにスヤスヤと眠り出した。
新山はなんとも言えないこの感情を消す方法が分からず頭を抱えた。
...千隼は今日、“友達”と会うと言っていたはずだ。その友達と言うのがこの女のことを表しているのだろうか。いや...仮にそうだとしても過去に恋愛関係になった相手を“友達”と言うのはおかしくないか?そもそもなんで相馬は千隼と居るんだ?遅れたのも千隼と一緒にいたからなのか。
いつまで経ってもモヤモヤとした感情が消えず、気がつくと俺は赤城に連絡をしていた。切迫した俺の雰囲気を察したのか赤城からは電話がかかってきて表に出て俺は電話を受けた。
「ごめん、何。突然鬼L◯NE来たかと思えば相馬の連絡先知ってるかって。あと俺知らん。」
「あー、うん。色々あってちょい相馬に聞きたいことがあったんだよ。今芦野くんお前の家泊まってるんしょ?芦野くんなら知ってるだろうから彼に聞いてくれね?」
新山がそう聞くと赤城は「彼もう寝たわ。」とあっさりと返した。
「マジか。めっちゃ健全優良児だわ。」
「うん毎回彼、即寝よ。だからいつも通りだわ。あー、あと至急で知りたいなら多分佐々木が相馬の連絡先知ってるかもよ。前に交換せがんでるの見かけた気する。」
赤城からその話を聞くと新山はお礼を言ってすぐに電話を切り佐々木にメッセージを送った。すぐに既読が付くと「悪用は禁止よ。」と言うメッセージと共に相馬のL◯NEが共有された。
友達追加をするとトークを開き今日千隼と一緒にいたのか聞こうと文字を打った。しかしその直後、タイプする指を止めた。
聞いたところでどうなのだろうか。相馬に千隼たちと何をしていたかと聞くのか?そんな事をしたら相馬だってなんで俺が聞いているのか不審に感じるだろうし、本人に直接聞かないと言う点から、千隼を信じていないと言うことになってしまう。
悩んだ末に俺は相馬には「友達追加したよろしく。」とだけ送り、千隼のトーク画面を開いた。
「今日って高校の友達と会ってたの?」
そう送ると既読がつくまで画面を開いて待った。
普段なら携帯を見ている時間のはずなのになかなかつかない既読の文字に焦りと苛立つを感じていると、しばらくしてやっと既読がついた。
なんと返事が来るかと思えば届いたメッセージはとても淡白で「違う。」だけだった。
その瞬間に俺の中で一つ糸がプツンと切れた気がした。
それからは特に苛立ちを感じなかった。新しく芽生えた気持ちはきっと“諦め“だった。
俺は自分と同じくらいに千隼も俺に対して気持ちを持っていると勘違いしていた。佐々木から今までの千隼の恋愛事情はなんとなくではあるけれど聞いたりもしていて大まかには把握はしていた。できる限り俺のペースに合わせてくれていたり感情を表に出そうと努力してくれている様子からして今までとは違った面持ちで入れくれているとばかり思っていた。
でも千隼からしたら俺は単に今までの相手同様、その程度の感覚なのだと悟ることができてしまった。
昔からそうだ。熱しやすく冷めやすい。それが俺の長所でもあり短所でもある。
割り切ってしまえば相手に期待をしなくなると言うのは本当らしく、きっと今千隼に好きだとか言われても薄っぺらい言葉だと感じてしまう。
少し自分の中で色々と整理がしたい。そうしないと俺は近いうちに千隼のことを好きだと思えなくなってしまう気がする。そうならないために今は少し千隼と距離を置こうと思う。
俺は自分の中で覚悟を決め、千隼にメッセージを送った。
見た目はガラが悪いと思われる人だけど、高校を卒業してから足場の仕事に就きそれなりに真面目に働いているのを俺は知っているから変わらず今でも仲良くしていた。
だから普段は千隼との予定に合わせるのを優先していたけれど夏休みで会う時間を増やせている今、たまには付き合いもあるから会っておこうと決め行くことに決めた。
食事の途中でした千隼との電話でも、そのことは千隼にも知らせていて「危ない人じゃないなら全然いい。」と了承も得た。
近くのコンビニで適当な菓子や飲み物を買ってから家のインターホンを鳴らすと嬉しそうに先輩は俺を家に招き入れた。
「っつかほんと久しぶりだな!佐々木とはマメに会ったりしてたけどお前とは随分日が開いた気がするわ。最近は恋人ばっかで全然つれないんだって佐々木が喚いてたぞ。」
たわいもない会話を挟んだ後で先輩が笑いながらそう言うと、むず痒そうに新山は「まぁそうっすね。」と頭を掻いた。
そしてダラダラと会話をし時刻は1時を過ぎた時、先輩はちょっと仮眠をすると言ってベットに横になった。そして携帯でアラームをセットした時、思い出したように新山に口を開いた。
「そうそう、そういえばさ。佐々木の弟いたじゃん?あの兄とは性格真逆な大人しめの子。その子を見かけたってダチが言っててさ!送られてきた写真がマジでウケるからちょい見てよ。」
そう言って見せられた写真を見て俺は度肝を抜いた。
見覚えのある顔つきが二人...いや。写っていた人物三人とも俺は知っていた。
一人は先輩の言うように俺の恋人であって佐々木の弟である千隼。そして二人目はさっきまで一緒に飯を食っていたクラスメイトの相馬。そしてもう一人は...微かな記憶ではあるけれど過去に千隼が付き合っていたと思われる女だった。
そう、俺が初めて千隼に話しかけたあの日。千隼の隣にぴょこん突っ立っていた女だ。多分...いや絶対。
震える声を必死で隠しながら「これいつの写真すか?」と聞くと先輩は眠そうな目を擦りながら答えた。
「あー...?今日だよ今日。仕事早めに上がって帰ってる時に本屋の前あたりで見かけたって言ってたぞ。やっぱ草食に見せかけて中身は兄と同じで肉食だな。女も女で、佐々木の弟の腕なんか掴んでメスの顔してるしな。」
そう言い残すと携帯の画面を消してそのまま倒れるようにスヤスヤと眠り出した。
新山はなんとも言えないこの感情を消す方法が分からず頭を抱えた。
...千隼は今日、“友達”と会うと言っていたはずだ。その友達と言うのがこの女のことを表しているのだろうか。いや...仮にそうだとしても過去に恋愛関係になった相手を“友達”と言うのはおかしくないか?そもそもなんで相馬は千隼と居るんだ?遅れたのも千隼と一緒にいたからなのか。
いつまで経ってもモヤモヤとした感情が消えず、気がつくと俺は赤城に連絡をしていた。切迫した俺の雰囲気を察したのか赤城からは電話がかかってきて表に出て俺は電話を受けた。
「ごめん、何。突然鬼L◯NE来たかと思えば相馬の連絡先知ってるかって。あと俺知らん。」
「あー、うん。色々あってちょい相馬に聞きたいことがあったんだよ。今芦野くんお前の家泊まってるんしょ?芦野くんなら知ってるだろうから彼に聞いてくれね?」
新山がそう聞くと赤城は「彼もう寝たわ。」とあっさりと返した。
「マジか。めっちゃ健全優良児だわ。」
「うん毎回彼、即寝よ。だからいつも通りだわ。あー、あと至急で知りたいなら多分佐々木が相馬の連絡先知ってるかもよ。前に交換せがんでるの見かけた気する。」
赤城からその話を聞くと新山はお礼を言ってすぐに電話を切り佐々木にメッセージを送った。すぐに既読が付くと「悪用は禁止よ。」と言うメッセージと共に相馬のL◯NEが共有された。
友達追加をするとトークを開き今日千隼と一緒にいたのか聞こうと文字を打った。しかしその直後、タイプする指を止めた。
聞いたところでどうなのだろうか。相馬に千隼たちと何をしていたかと聞くのか?そんな事をしたら相馬だってなんで俺が聞いているのか不審に感じるだろうし、本人に直接聞かないと言う点から、千隼を信じていないと言うことになってしまう。
悩んだ末に俺は相馬には「友達追加したよろしく。」とだけ送り、千隼のトーク画面を開いた。
「今日って高校の友達と会ってたの?」
そう送ると既読がつくまで画面を開いて待った。
普段なら携帯を見ている時間のはずなのになかなかつかない既読の文字に焦りと苛立つを感じていると、しばらくしてやっと既読がついた。
なんと返事が来るかと思えば届いたメッセージはとても淡白で「違う。」だけだった。
その瞬間に俺の中で一つ糸がプツンと切れた気がした。
それからは特に苛立ちを感じなかった。新しく芽生えた気持ちはきっと“諦め“だった。
俺は自分と同じくらいに千隼も俺に対して気持ちを持っていると勘違いしていた。佐々木から今までの千隼の恋愛事情はなんとなくではあるけれど聞いたりもしていて大まかには把握はしていた。できる限り俺のペースに合わせてくれていたり感情を表に出そうと努力してくれている様子からして今までとは違った面持ちで入れくれているとばかり思っていた。
でも千隼からしたら俺は単に今までの相手同様、その程度の感覚なのだと悟ることができてしまった。
昔からそうだ。熱しやすく冷めやすい。それが俺の長所でもあり短所でもある。
割り切ってしまえば相手に期待をしなくなると言うのは本当らしく、きっと今千隼に好きだとか言われても薄っぺらい言葉だと感じてしまう。
少し自分の中で色々と整理がしたい。そうしないと俺は近いうちに千隼のことを好きだと思えなくなってしまう気がする。そうならないために今は少し千隼と距離を置こうと思う。
俺は自分の中で覚悟を決め、千隼にメッセージを送った。
0
あなたにおすすめの小説
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
【完結】俺とあの人の青い春
月城雪華
BL
高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。
けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。
ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。
けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。
それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。
「大丈夫か?」
涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる