[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

雨と泥水５

「…もう二度とすんなよ」

 放課後の校舎に西日が当たる。

「……んだよ！じゃあ、そん時言えよっ」

 背後で聞こえる日野の声が遠くなっていく。もう追いかけては来ていない。相手は優璃が腹を立てている理由が何なのか分からず匙を投げた様子だ。

 優璃は日野から早く離れたかった。
 向こうは優璃の事を、潔癖症をこじらし拗ねた同級生とでも思うだろう。
 それともフランクフルトが好物で残していた、勝手に持っていきやがって、とでも言うべきだったか。

 （…ああ…めんどくさい）

 元々日野に対して軽蔑はしていたがここまでの嫌悪感はなかった。
 優璃の買ったばかりのフランクフルトをまるでサイズが自分の息子だ、と下品に揶揄していた。それをよりによってアイツに食わせる行為が何より気に食わなかった。

 中学生の悪ふざけにしては悪質だ。それ以上に日野の牧野に対しての妙な感情も入っていたらと思うと、あまりの気持ちの悪さに虫酸が走る。

 （……嫌だ）

 （…汚すぎて…笑えねえ……）

 何より嫌悪感が自分にそのままそっくり返ってくる感覚が怖い。
 むしろ質の悪いのは自分の方かもしれないと心が怯え、身悶えそうな身体を抱えながら優璃は帰路についた。