生涯年収

コユメ

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岩崎が

「最近お前と夢子おかしくないか?何かあったのか?」

内心ギクリとしながら、平静を保ち

「急に何だよ?」

「いやー?なんかギクシャクしてる」

「そうか?普通じゃないか?」

「妙に、よそよそしいって言うか…もしかして…夢子から何か言われたか?」

「何かって何だよ?」

岩崎は何か知っているのだろうか?
おもむろに聞き返すと岩崎は気まずげな顔で

「いや…とうとう夢子がお前に告白でもしたのかと思って…」

「はぁ?何言ってんだよ岩崎?夢子が僕に?あるわけ無いだろ」

僕の言葉に岩崎が、ため息をつきながら

「やっぱりお前気が付いて無かったんだな…」

岩崎は呆れた顔で

「それで、本当の所どう思ってるんだよ?」

「はぁ、だから友達だよ?友達に決まってるだろう!」

「いやでも、夢子可愛いじゃん、それに少し前2人でコソコソしてただろ?」

「コソコソって、あれは夢子の知り合いに、ちょっと用があっただけど」

「そうなのか?俺はてっきり2人は俺に黙って付き合い出したのかと…」

「そんなの、有るわけないだろう」

僕の言葉に岩崎が両手で顔を覆いながら

「…そっか…なら良かった!」

その言葉にニヤと

「何が良かったんだよ?」

岩崎は、ハッとし居ずまいを直し

「いや?何でも無い」

顔を真っ赤にして、店の時計を見て

「おっと、そろそろバイトの時間じゃないのか?」

僕はポケットからスマホを取り出し

「あ、本当だ」

焦って立ち上がり、テーブルの上の伝票に手を伸ばすと

「いい、ここは俺が出すから」

岩崎を見て頷き

「分かった。ごちそうさま」

言うと岩崎はニヤリと笑い

「これは、貸しだからな?」

「分かったよ、今度は僕が奢るよ」

笑いながら言い

「じゃ!」

「また明日な」

手を上げて店を出た。
結構時間が経っていたのか、もう夕方だった。
僕はバイト先に急いだ。
最近ずっと休んでいたバイトを再開させ、また普通の生活に戻った。
店に着くと皆忙しそうにしていた。
急いで着替えていると、店の奥から店長が僕に

「月村君、お願い!」

と声を掛けられて僕は慌てて身支度を整えて

「はい、今出ます!」

騒がしい店の中へ出た。
バイトが終わり、まだ店の居るスタッフにお辞儀をして

「お先に失礼します。」

「お疲れー」

声を掛けて帰ろうとドアを開けると、目の前に夢子が壁に寄りかかるようにして居た。
僕はビックリして

「何で…どうして、ここに?」

聞くと夢子は顔を反らしながら持っているブランドバックの紐を触りながら

「少し、話しがしたくて…」

少し身構えてしまったが、ここには人がいるし大丈夫かと、夢子と2人きりっと言うのは、色々な意味で、あまり人に見られたくないのだけれど仕方ない

「それじゃあ…駅までいいのなら話そうか?」

言うと夢子はウンと頷いた。
話すと言ったのに夢子は僕の少し後ろを歩いているだけだった。
僕は早く話を終らせたくて

「それで?話って?」

聞くと夢子は下を向いていた顔を上げて、必死の形相で

「あの…私実は…月村君の事が…す、好きで…」

僕は咄嗟の事で上手く喋れずに夢子を見ると夢子は顔を真っ赤にしていたが僕は正直困ってしまった。
昼間岩崎が言っていたのは本当だったのかと、でも今はそれどころじゃないと思い直して夢子に言わないと口を開くと、夢子は焦った顔で

「返事は今じゃなくて良いの!私…本当は月村君に告白する気は無かったんだけど、だけど…同じメンバーに選ばれたりして、何か親近感が出て来て…それで…私」

恥ずかしそうに喋っている夢子を見ながら、内心は別の事を考えていた。
夢子の事は嫌いでは無いけど…好きでもない、それに夢子は同じメンバーと言うけれど僕は夢子に親近感なんてわかなかった。
ただ普通に夢子も人を殺せる人間だとしか…
もし夢子がメンバーでは無かったら付き合うとかも有ったかもしれないが…岩崎の事もあるし付き合えない
それに…店長の最後の依頼してきたのは女だったという言葉もある、それが夢子だという証拠もないけど、あの言葉は僕の心に疑念として引っ掛かっていた。
そんな気持ちでは無理だと僕は夢子に向き合って頭を下げ

「あの!ごめん!」

僕の言葉に夢子は無表情で黙ったままじっと僕を見つめ

「私が…人を殺している…せい?」

「…それは、前にも言ったけど違う、夢子とは友達としか見れないんだ。」

多少の嘘を混ぜて言うと夢子は下を見ながら黙った。
そしてポタリと雫が地面に落ちた。
僕は慰める事も出来ず黙っていると、夢子は鼻をすすり顔を上げた。
涙で化粧も落ちた顔で無理に笑い

「そっか、そうだよね…うん、分かった。ありがとう」

「…本当、ごめん」

罪悪感で頭を下げると、夢子は手を振り

「いいの、何となくだけど、分かっていたし、うん、ただ、言いたかったの」

「…今は、そういう気持ちになれないんだ。これからも夢子とは友達でいたいんだ。良いかな?」

「うん、分かった。友達のままでいいよ」

僕はホッとした。

「良かった。このまま夢子と駄目になるのは嫌だったし」

それに岩崎の事もある、この事は岩崎には黙っていようと心に決めた。
そうこうしていると、目的の駅が見え、夢子はハンカチで顔を隠すようにして

「あ、ここまで良いよ。私こっちだから」

言うなり、走って行ってしまった。
一瞬送ろうかと思ったが止めた。
そこまでしたら夢子も嫌だろうと思い直し、…それにしても今日岩崎に言われて、こんな事になるなんて…ビックリだ。

「それにしても、焦った…」

でも良かった。
これでいい、夢子とは友達これ以上でも以下にもなるつもりは無かった。
これで良いと僕は思っていた。



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