灰かぶり君

渡里あずま

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王子様の裏の顔1

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「りぃ君、おっはよー」
「…………」

 朝、一緒に飯を食った一茶達を見送って。せっかくの休みだし小説書くか、と思っていたら部屋のドアをノックされて現在に至る。
(そうか、生徒会だから授業免除使えるんだ)
 にこにこ、にこにこ――笑顔で挨拶してくる会計を、ひとまず部屋に入れて。

「おはよう……かー君?」
「……うんっ、おはよう!」

 確認のつもりで、昔の愛称を口にすると――さっきまでのチャラいのじゃなく、嬉しくてたまらないって笑顔に変わった。

「苗字変わったんだな……あだ名呼び、やめた方がい」
「そんなことないよ! 今の『高良』にも『か』は入ってるし……りぃ君、お願いだからやめるなんて言わないで?」
「……解った」

 共同スペースのソファに座らせ、ジュースを出して。
 何気なく言ったら、言い終わる前に会計――かー君が、思いきり被せて反論してきたのにちょっと驚く。
(キャラが違う……いや、まあ、昔はこんなだったけど)
 名前もだけど、幼稚園の時のかー君は女の子みたいに可愛かった。だけど、かー君『に』話しかける子(主に女の子)はたくさんいたけど、かー君『が』話しかけるのは俺だけだった。

「……たまには、みんなとあそ」
「だって、りぃ君といっしょがいいんだもん」

 そうそう、あの頃から被せて主張してきてた。三つ子の魂百までって言うしな。
 なんて、昔を思い出してたらかー君が俺の前に膝を突いた。そして、ジッと見上げてきて言う。

「……もう、痛くない?」
「えっ? あ、っと」
「そうだよね……楽になっても、昨日の今日で完治なんてしないよね」

 俺のこめかみや左頬に貼られたガーゼに、かー君がふにゃっと泣きそうになる。そんなかー君に、俺は言った。

「……仕返しとか、いいからな?」
「えっ?」
「いや、昔、俺が名前でからかわれた時、相手突き飛ばしておいて嘘泣きして、先生に叱らせてたなって」
「覚えててくれたの?」
「かー君、そこ喜ぶところじゃない」

 うん、やっぱり昔のままだって思ったところで、俺はあることに引っかかった。

「どうして、食堂では俺に文句つけてたんだ? あの時は、俺だって気づいてなかったとか……あ、チャラ男キャラだったからか?」

 あ、まだ聞いてないけど腐的に盛り上げる為って可能性もあるか。
 尋ねてからそう思った俺の前で、かー君がいきなり真っ赤になったのに驚いた。

「……ん」
「えっ?」
「だって、りぃ君が転校してくるって知って、ずっと楽しみで……だけど、王道君もいるから大丈夫かと思ったけどりぃ君、守衛さんとかFクラスのキングとフラグ立ててるし! 王道君も、りぃ君ラブだし! だからこれ以上、りぃ君を好きになって欲しくなかったんだもんっ」

(……えっと、どこから突っ込めばいいんだ?)
 悩むところだけど、取り合えず言えるのは――病んでるかどうかは解らないが、暴走する王子様は既にいたってことだ。

「かー君って、腐男子?」

 まずは一番、気になったところから聞いてみた。そんな俺の前で、コクンとかー君が頷く。

「元々、漫画とかアニメ好きだったんだけど……『Lion&Bambiライオン&バンビ』にハマって。『Piskeyピスキー』とか見るようになったら結構、腐向け作品が多くてね」

 ちなみにPiskeyって言うのは、主に二次創作のイラストや漫画、小説を公開出来るサイトのこと。オリジナルもあるけど、イラストがメインなんで俺はデジ☆で書いてる。

「俺、鹿獅子が好きで……ハマった書き手さんの中に、オリジナルでも活動してる人がいて。それで、デリ☆もチェックするようになったんだ。王道学園物、いいよねぇ」

 …………んっ?
 あれ? 何か今、すごく聞き覚えのある名前を聞いたぞ?
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