灰かぶり君

渡里あずま

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王子様の裏の顔2

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「デリ☆って、小説とかイラストで人気急上昇の作品が見られるじゃない? そこで俺、見覚えのある名前見つけたんだ」

 困惑する俺に、かー君が笑顔で尋ねてきた。

「『三愛ミア』って昔、りぃ君がお父さんにつけて貰ったって言ってたペンネームだよね? ただ、プロフィール非公開だったし、デリ☆ってプライベートの話したらペナルティになるでしょ?」
「…………」

 そう、俺の名前をローマ字にすると三つ『i』が入るからって、父さんが生きてる時に考えてくれたんだ。
 自分のクリエイター名とペナルティについて聞かれ、俺は無言で首を縦に振った。そんな俺に、かー君が更に話の先を続ける。

「元々、俺、趣味でイラスト描いてたからクリエイター登録して……イラスト公開して。イベント開催したんだよね」
「……って、ことは」
「ハーイ! 『てんはな』でイラストを担当してる方、Lashaでーす」
「かー君、中学生であんな綺麗な絵描けてたのか!?」
「えっ、まず突っ込むところソコなの?」

 いや、そりゃあライバンのバンビの台詞の真似だよなとか、実は知り合いって言うか計画的に近づいてきてたことも十分、驚いたけどさ?

「元々、上手だったけど……会わないうちに、すっごく練習したんだな」
「……だって、りぃ君と約束したでしょ?」

 そう言うと、かー君は立ち上がり――怪我を気づかってかそっと、俺を自分の胸へと抱き寄せた。

「ずっと一緒に、お話作ろうねって……本妻さんにも母さん達愛人にも、他に息子が生まれなくて。父親に引き取られたから俺、約束破っちゃったけど」
「お互い様だろ? 俺だって、かー君のこと探さなかった」
「うん……でも、ずっと忘れられなかったんだ。約束のことも、りぃ君のことも」
「……ありがとうな」

 かー君の言葉が嬉しくてお礼を言うと、何故だか「ゴメン」って言われてかー君が離れた。
(何がだ? あ、怪我痛くないかの「ゴメン」か?)
 意味が解らなくて首を傾げてる俺の前で、かー君が口を開く。

「りぃ君って、俺の初恋の相手なんだ……この学校に来て、漫画とか小説読んで自覚した」
「かー君……」

 そう言って、近づいてきたかー君の顔――って言うか口を、俺はポフッと右手で塞いだ。

「「…………」」

 俺とかー君との間に、しばし沈黙が落ちる。

「……りぃ君?」
「いや、ぶつかるなって」
「むしろぶつかる気満々だったけど!?」
「かー君、謝るのはむしろ今だと思う」

 妙な力説をする幼なじみに、俺は言った。そんな俺に、かー君が軽く目を見張る。

「……告白は、嫌じゃなかった?」
「それはかー君の気持ちだから、嫌も何も……ただ、俺は幼なじみとしか思えないけど」

 あと「ブルータスお前もか!」って感じかな?
 男からの告白に慣れたって思うと、微妙だけど――他の奴らからも告白されて、かー君だけを嫌う理由はない。
 正直に答えた俺に、何故だかかー君がにっこりと笑った。そして俺の目の前で、いきなり掌にチュッ、と音を立ててキスしてきた。

「……っ!?」
「好きだよ、りぃ君。大好き、愛してる」

 驚いて咄嗟に手を退こうとしたけど、かー君は俺の手を掴んで離さなかった。逆に、両手で包み込むように握ってきて。

「だから、俺はりぃ君の心も全部欲しいから基本、嫌がることはしない……だけど、白月ここには馬鹿も多いから。気をつけてね?」
「かー君……」
「もし、りぃ君にまた何かあったら俺、止まるつもりないから」
「……かー君、それ笑って言うことじゃない」

(これ、脅迫だよな? こんなキラキラ笑顔で、言うことじゃないよな?)
 俺の幼なじみは『ヤンデレ』って奴なんだろうか――あとで、桃香さんに聞いてみようと俺は思った。
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