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話してみなくちゃ解らない、ってか解るか3
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昼休みになったので、俺はまずホスト担任のところに向かった。
普通、教師がいるのは職員室で。だけど、担当教科によっては担任みたいに別に部屋を持ってる場合もある。
(王道学園物だと、英語とか社会とか……比較的、文系か?)
ここで疑問符が浮かぶのは、うちの担任は違う教科担当からだ。
「失礼します」
「……入れ」
ノックをし、声をかけ――返事を聞いて、俺がドアを開けたのは『地学教材室』だった。部屋の中にはアンモナイトみたいな化石や鉱物、あと授業で使うのかDVDが棚や机に置かれている。
「怪我は、大丈夫か?」
「はい、月曜日はお騒がせしました」
「……お前は、悪くないだろうが」
うん、予想通り休んだことへの呼び出しか。
そう思って下げた頭の上から、ホスト担任の声が降ってくる。
聞き間違いか、と顔を上げると――何故だか、悔しそうな顔をしたホスト担任と目が合った。
「いや、やっぱりお前が悪い」
「どっちですか?」
「だからっ……今回の件は悪くないけど、お前だって悪いんだって!」
「あの」
うん、何で俺、絡まれてるんだろう?
ま、元々が大人気なかったからな、と思ってたらホスト担任が「出灰」と俺の名前を口にした。
「……って、地名あるよな。石灰石を、朝廷に献納してたからって」
「よく知ってますね」
名前の由来を言われたのに、ちょっと驚いた。父親がつけてくれたんだけど、変わった名前とまではよく言われるが、元ネタを知ってる相手には初めて会ったからだ。
「大阪の、化石の産地としても有名なんだよ。俺、教材とか趣味と実益兼ねて自分で取りに行くし……って、初日にこういう話をしたかったのにお前、頑なに名乗らないしっ」
「はあ」
「……まあ、勝手に拗ねて意地になった俺も悪いけど」
そう言って唇を尖らせるホスト担任に、俺は「も、って」と思いながらも黙っていた。前言撤回。大人気ないって言うより馬鹿だ、このホスト担任。
「すみませんでした」
とは言え、結果として歩み寄ろうって気持ちを無下にしたのは、確かに悪かったよな。そう思って謝った俺に、ホスト担任が軽く目を見張る。
「……何だ、可愛いところもあるじゃないか」
「先生の方が(馬鹿で)可愛いと思います」
「なっ……!?」
軽口に軽口で返したら、途端に赤面された――あれ、ホスト担任実は受け?
(一茶に教えてやるか)
「とにかく、先生のせいじゃないですから。気にしないで下さい、失礼しま」
「おっ、お前にも橙司って呼ばせてやってもいいんだからな!?」
話は終わらせて教材室を出ようとしたら、何故か下の名前呼びを許された。あれ、受けな上にツンデレ?
「結構です、田辺先生で良いじゃないですか」
「いや、お前苗字すら呼ばないだろ? 俺も、お前のこと下の名前で呼びたいし」
「尚更、勘弁して下さい。平凡には似合わない名前ですから」
「出灰って、良い名前じゃないか。灰から出づる、何があっても再生出来るようにってことだろ?」
「……ありがとう、ございます」
由来だけじゃなく、名前に込められた意味まで言い当てられたのに、俺はそう言うしかなかった――これはもう、観念するしかないか。
「だけど、皆の前では呼びませんよ? 橙司先生、人気ありますからね。今度は何、ぶつけられるか」
「……気をつける」
俺の言葉がリアルすぎたのか、担任――橙司先生は、真顔でコクコクと頷いた。うん、馬鹿な子ほど可愛いって真理だな。
※
「と言う訳で、俺の下の名前呼びが解禁になりました」
その後、売店でパンを買った俺はFクラスで刃金さんに、そしてSクラスに戻って真白達にそう告げた。
「何か、ボジョレーヌーボー解禁みたいだね?」
……そんな風に、普通にツッコミを入れてくれたのは内藤さんだけで。
刃金さんからは抱き締められ、わざわざ耳元で「出灰」と囁かれ――真白からは「い……出灰?」と何度も呼ばれ、目が合う度に嬉しそうに微笑まれた。
普通、教師がいるのは職員室で。だけど、担当教科によっては担任みたいに別に部屋を持ってる場合もある。
(王道学園物だと、英語とか社会とか……比較的、文系か?)
ここで疑問符が浮かぶのは、うちの担任は違う教科担当からだ。
「失礼します」
「……入れ」
ノックをし、声をかけ――返事を聞いて、俺がドアを開けたのは『地学教材室』だった。部屋の中にはアンモナイトみたいな化石や鉱物、あと授業で使うのかDVDが棚や机に置かれている。
「怪我は、大丈夫か?」
「はい、月曜日はお騒がせしました」
「……お前は、悪くないだろうが」
うん、予想通り休んだことへの呼び出しか。
そう思って下げた頭の上から、ホスト担任の声が降ってくる。
聞き間違いか、と顔を上げると――何故だか、悔しそうな顔をしたホスト担任と目が合った。
「いや、やっぱりお前が悪い」
「どっちですか?」
「だからっ……今回の件は悪くないけど、お前だって悪いんだって!」
「あの」
うん、何で俺、絡まれてるんだろう?
ま、元々が大人気なかったからな、と思ってたらホスト担任が「出灰」と俺の名前を口にした。
「……って、地名あるよな。石灰石を、朝廷に献納してたからって」
「よく知ってますね」
名前の由来を言われたのに、ちょっと驚いた。父親がつけてくれたんだけど、変わった名前とまではよく言われるが、元ネタを知ってる相手には初めて会ったからだ。
「大阪の、化石の産地としても有名なんだよ。俺、教材とか趣味と実益兼ねて自分で取りに行くし……って、初日にこういう話をしたかったのにお前、頑なに名乗らないしっ」
「はあ」
「……まあ、勝手に拗ねて意地になった俺も悪いけど」
そう言って唇を尖らせるホスト担任に、俺は「も、って」と思いながらも黙っていた。前言撤回。大人気ないって言うより馬鹿だ、このホスト担任。
「すみませんでした」
とは言え、結果として歩み寄ろうって気持ちを無下にしたのは、確かに悪かったよな。そう思って謝った俺に、ホスト担任が軽く目を見張る。
「……何だ、可愛いところもあるじゃないか」
「先生の方が(馬鹿で)可愛いと思います」
「なっ……!?」
軽口に軽口で返したら、途端に赤面された――あれ、ホスト担任実は受け?
(一茶に教えてやるか)
「とにかく、先生のせいじゃないですから。気にしないで下さい、失礼しま」
「おっ、お前にも橙司って呼ばせてやってもいいんだからな!?」
話は終わらせて教材室を出ようとしたら、何故か下の名前呼びを許された。あれ、受けな上にツンデレ?
「結構です、田辺先生で良いじゃないですか」
「いや、お前苗字すら呼ばないだろ? 俺も、お前のこと下の名前で呼びたいし」
「尚更、勘弁して下さい。平凡には似合わない名前ですから」
「出灰って、良い名前じゃないか。灰から出づる、何があっても再生出来るようにってことだろ?」
「……ありがとう、ございます」
由来だけじゃなく、名前に込められた意味まで言い当てられたのに、俺はそう言うしかなかった――これはもう、観念するしかないか。
「だけど、皆の前では呼びませんよ? 橙司先生、人気ありますからね。今度は何、ぶつけられるか」
「……気をつける」
俺の言葉がリアルすぎたのか、担任――橙司先生は、真顔でコクコクと頷いた。うん、馬鹿な子ほど可愛いって真理だな。
※
「と言う訳で、俺の下の名前呼びが解禁になりました」
その後、売店でパンを買った俺はFクラスで刃金さんに、そしてSクラスに戻って真白達にそう告げた。
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……そんな風に、普通にツッコミを入れてくれたのは内藤さんだけで。
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