55 / 96
デートはどこまでお約束で?2
しおりを挟む
そんな訳での、土曜日。
朝、今日の分の小説投稿をしたり、真白達の朝飯(起きる時間によっては昼飯になる)を用意したりした後、着替えて寮を出た。
……そして、出入り口の前に停まっていたベンツを見て足を止めた。
「りぃ君、おはよー♪」
「……おはよう」
後部座席のドアが開いていて、そこに立っていたかー君が、笑顔で手を振っている。
うん、待ち合わせ時間がまたしてもバスの時間じゃなかったから、どうやって行くんだろうって思ってけど――ベンツって、俺が『おもてなし』されてどうするんだよ。
「この車って、かー君の?」
「いや? これは、生徒会役員用に提供されてるサービス。バスで、一般生徒騒がせちゃ大変だから」
「……はあ」
アイドルなんですね、解り……たくないけど、確かに学食のノリ(黄土色の悲鳴)になったら大変だよな。主に、バスに乗り合わせた白月の生徒以外のお客さんが。
「って、それなら尚更、俺が乗っちゃ駄目なんじゃないか?」
「そんなこと……俺がつき合って貰ってるんだから、心配しないで?」
そう言うと、かー君は俺の手を両手で包み込んで小首を傾げた。
そんなかー君の手に、俺も自分のもう片方の手を重ねる。それから、驚くかー君を見返して。
「解った……だけど、一緒に遊びに行くんだから。貰ってるとか、そんな言い方しなくて良いからな?」
「……っ!?」
そう言うと、何故だかかー君は真っ赤になって唇を尖らせた。
「……ずるい」
「は?」
「俺ばっかり、メロメロにして……俺も、りぃ君のことメロメロにしたいのにっ」
こらこら、何を力説してるんだ。かー君。と言うか、そんなことを考えてたのかかー君。
(別に、そう言う勝負をしてる訳じゃないけど……気合い入れていかないと、主導権握られっ放しだな)
頑張ろう、と俺は心の中で拳を握った――それにしても運転手さん、全く平然としてるとかプロですね。
※
ベンツは山から街へ、それから駅へと俺達を運んでくれた。
そして、かー君が「また帰りにお願いします」と言うと、ベンツは元来た方角へと走って行った――今更だけど土曜日にも仕事とか、運転手さん本当にお疲れ様です。
「りぃ君、映画観ようよ」
ベンツを見送っていた俺に、かー君が声をかけてくる。
そう言えば近くに映画館あったよな、と『るるる』で得た知識を思い出して俺は頷いた。そんな俺ににっこり笑って、かー君が歩き出す。
(おお、見られてる見られてる)
そんなかー君と並んで歩きながら、俺は心の中で呟いた。
白月だとチワワ達と一部ガチムチに人気だけど、街だと圧倒的に女性陣からの視線を集めてた。イケメンだもんな、かー君。これ、彼女とか彼氏だったら心配で仕方ないだろうな。
(まあ、惚れたら一途だって言うのは知ってるけど)
何しろ、初恋の相手の俺をずっと想い続けてるくらいだ。俺自身は初恋もまだなんで解らないけど、周りの感じからすると十分、一途だと思う。
(……あれ? そう言えば)
そこで、俺はふと引っかかった。
好かれているとは、聞いていたけど――かー君は『何で』俺のことを好きになったんだろう?
朝、今日の分の小説投稿をしたり、真白達の朝飯(起きる時間によっては昼飯になる)を用意したりした後、着替えて寮を出た。
……そして、出入り口の前に停まっていたベンツを見て足を止めた。
「りぃ君、おはよー♪」
「……おはよう」
後部座席のドアが開いていて、そこに立っていたかー君が、笑顔で手を振っている。
うん、待ち合わせ時間がまたしてもバスの時間じゃなかったから、どうやって行くんだろうって思ってけど――ベンツって、俺が『おもてなし』されてどうするんだよ。
「この車って、かー君の?」
「いや? これは、生徒会役員用に提供されてるサービス。バスで、一般生徒騒がせちゃ大変だから」
「……はあ」
アイドルなんですね、解り……たくないけど、確かに学食のノリ(黄土色の悲鳴)になったら大変だよな。主に、バスに乗り合わせた白月の生徒以外のお客さんが。
「って、それなら尚更、俺が乗っちゃ駄目なんじゃないか?」
「そんなこと……俺がつき合って貰ってるんだから、心配しないで?」
そう言うと、かー君は俺の手を両手で包み込んで小首を傾げた。
そんなかー君の手に、俺も自分のもう片方の手を重ねる。それから、驚くかー君を見返して。
「解った……だけど、一緒に遊びに行くんだから。貰ってるとか、そんな言い方しなくて良いからな?」
「……っ!?」
そう言うと、何故だかかー君は真っ赤になって唇を尖らせた。
「……ずるい」
「は?」
「俺ばっかり、メロメロにして……俺も、りぃ君のことメロメロにしたいのにっ」
こらこら、何を力説してるんだ。かー君。と言うか、そんなことを考えてたのかかー君。
(別に、そう言う勝負をしてる訳じゃないけど……気合い入れていかないと、主導権握られっ放しだな)
頑張ろう、と俺は心の中で拳を握った――それにしても運転手さん、全く平然としてるとかプロですね。
※
ベンツは山から街へ、それから駅へと俺達を運んでくれた。
そして、かー君が「また帰りにお願いします」と言うと、ベンツは元来た方角へと走って行った――今更だけど土曜日にも仕事とか、運転手さん本当にお疲れ様です。
「りぃ君、映画観ようよ」
ベンツを見送っていた俺に、かー君が声をかけてくる。
そう言えば近くに映画館あったよな、と『るるる』で得た知識を思い出して俺は頷いた。そんな俺ににっこり笑って、かー君が歩き出す。
(おお、見られてる見られてる)
そんなかー君と並んで歩きながら、俺は心の中で呟いた。
白月だとチワワ達と一部ガチムチに人気だけど、街だと圧倒的に女性陣からの視線を集めてた。イケメンだもんな、かー君。これ、彼女とか彼氏だったら心配で仕方ないだろうな。
(まあ、惚れたら一途だって言うのは知ってるけど)
何しろ、初恋の相手の俺をずっと想い続けてるくらいだ。俺自身は初恋もまだなんで解らないけど、周りの感じからすると十分、一途だと思う。
(……あれ? そう言えば)
そこで、俺はふと引っかかった。
好かれているとは、聞いていたけど――かー君は『何で』俺のことを好きになったんだろう?
19
あなたにおすすめの小説
君が僕を好きなことを知ってる
大天使ミコエル
BL
【完結】
ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。
けど、話してみると違和感がある。
これは、嫌っているっていうより……。
どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。
ほのぼの青春BLです。
◇◇◇◇◇
全100話+あとがき
◇◇◇◇◇
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結】俺とあの人の青い春
月城雪華
BL
高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。
けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。
ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。
けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。
それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。
「大丈夫か?」
涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
誰かの望んだ世界
日燈
BL
【完結】魔界の学園で二年目の学園生活を送るイオは、人知れず鶯色の本をめくる。そうすれば、必要な情報を得ることができた。
学園には、世界を構成するエネルギーが結晶化したといわれる四つの結晶石≪クォーツ≫を浄める、重要な家系の生徒が集っている。――遥か昔、世界を破滅に導いたとされる家系も。
彼らと過ごす学園生活は賑やかで、当たり前のようにあったのに、じわじわと雲行が怪しくなっていく。
過去との邂逅。胸に秘めた想い――。
二度目の今日はひっそりと始まり、やがて三度目の今日が訪れる。
五千年ほど前、世界が滅びそうになった、その時に。彼らの魂に刻まれた遺志。――たった一つの願い。
終末を迎えた、この時に。あなたの望みは叶うだろうか…?
――――
登場人物が多い、ストーリー重視の物語。学校行事から魔物狩り、わちゃわちゃした日常から終末まで。笑いあり涙あり。世界は終末に向かうけど、安定の主人公です。
2024/11/29完結。お読みいただき、ありがとうございました!執筆中に浮かんだ小話を番外編として収めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる