灰かぶり君

渡里あずま

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考えるな、感じろ?3

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 真白に横抱きにされ、青い顔で戻ってきた俺に一茶と奏水も慌てた。そんな訳で、夕食作りを免除されて俺は個室スペースで横になっている。
(申し訳ないな……さっきはちょっとキたけど、そもそも俺は我慢以前に行動しなかったんだし)
 ベッドに横になりながら、俺は一人反省会をしていた――そう、何もしなかったんだから悲劇のヒロインぶっちゃいけない。諦めなくちゃいけないからって泣いたら、刃金さんにも他の皆にも失礼だ。
(そもそも、いつから刃金さんを好きになったんだ? いや、別に嫌いじゃないけど)
 嫌いじゃない――それは、他の皆も同様だ。いや、周りの連中に比べればむしろ好きな方だと思う。
(最初、会った時は関わりあいたくなかったから、真白の名前教えて逃げようとしたし)
 不良だからって言うより、真白の相手(つまりは攻め)候補だったからな。最初はそれくらいの印象だったけど、何でか気に入られてボタンつけに呼ばれたんだ。
(生徒会の面々から、嫉妬されてたから? 刃金さんに好かれて、コロッとなった?)
 ……思ってみたけど、すぐに「いや、無いな」と思う。嫉妬されてウザかったけど、別にそれで凹むとかは無かったし。第一、刃金さんだけじゃなく真白にも懐かれてた。だから弱ってたり、コロッとなったりは無いと思う。

「んー……」

 だったら一体、何でだろう――そこまで考えて、俺はおもむろに携帯を手に取った。
 そして、客観的に今までの俺と刃金さんを振り返る為に、デリ☆の俺の小説を読み返すことにした。

「出灰!? 顔、真っ白だぞ……病院、行った方が良いって!」
「……いや、熱とかないし。ちょっと、寝不足なだけだから」

 翌朝の日曜日。真白は俺を見て、悲鳴のような声を上げた。そして叫びこそしないが、一茶と奏水も気づかうようにこっちを見ている。
(言えない……携帯小説読んで、徹夜したなんて)
 秘密は墓場まで持っていくことにして、自分の話を読んで気がついたことがある。
(刃金さんをモデルにしたキャラの人気が、ダントツ)
 次点は俺様会長とチャラ男会計、あと番外で会長親衛隊のチワワだよな……って、そうじゃなくて。
(きっかけは、相変わらず解らないけど……うん、俺、刃金さん好きだわ)
 改めて読んでみるとこの主人公、王道転校生や生徒会メンバーには基本、受け身だけど不良のボスに対しては『応援したい』とか『甘やかしたい』とか思ってんだよな。いや、実際、俺が思ったから書いたんだけど。
(結構、あれ露骨じゃないかな? 桃香さんや一茶の反応とか、コメント見てて総受け話かと思ってたけど。これって、主人公……俺の、片想い日記?)
 ジャンルを、ノンフィクションにするべきか――いや、問題なのはそこじゃない。
 流石に、刃金さんも俺を想ってくれてるのは解るけど。刃金さんの進路を聞いた今となっては、片想いだと思ったまま『高校時代の甘酸っぱい思い出』にするべきだと思う。
(……いや、まあ、昨日の俺の不審な行動で嫌われたかもだけど)
 そう思った瞬間、また胸が苦しくなった。とは言え、病気じゃないのは俺が一番よく解ってる。

「昨日は悪かったな。遅くなったけど、今から朝飯作るから」
「「「えっ!?」」」

 ……本当に病気じゃないんだが、真白達には止められて寝ているように言われた。冷凍していたご飯を温められ、作られたお茶漬けまで出されては断れない。
(そんなに、顔色悪いのか……仕方ない)
 自分では大したことないと思うけれど、確かにお茶漬けを食べたくらいで胃が痛むのは少々、まずいかもしれない。そんな訳で、俺は三人の好意に甘えて寝ることにしたのだが。
(これから……小説、どうしよう?)
(今回の刃金さんとのこと書いたら、桃香さんに強制的にくっつけられそうだし)
(クリスマスイベントとかをやって、卒業式にごめんなさいして……ラストはやっぱり、国外逃亡にするか)
(って言うか、今は無理でも卒業したら俺も……ネットは魅力的だけど、逆に見つからないようにだと東南アジアかな?)

 寝不足のせいもあり、思考が暴走していることに俺は気づいていなかった。
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