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第5話 スキル 素潜り
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明日早朝、ハンスさんの舟で無人島に渡ることになった。
翌日、私とセドはハンスさんの舟に乗り海を渡るが、舟がほとんど揺れずに海を進んでいく。
「ハンスさんすごいです。舟は揺れると聞いていたのに揺れをほとんど感じません」
私がハンスさんの船頭の腕を褒めるとセドも口を開く。
「これに慣れちゃうと、自分たちで漕ぐ舟には乗れなくなりそうだ」
ハンスさんは私たちの感想にとても嬉しそうな顔をする。
「俺の舟はいつもこんなもんです。他の人を乗せると先ほどと同じ感想ですね。ですが舟渡が仕事ではないですから・・・・」
ハンスさんは最後の方は曇った顔をする。
「なら、ここに来る帰りに網漁してみたら?」
ハンスさんは、領内に戻る間に魚が死んでからの時間が経ちすぎるので、魚の価値が下がるから厳しいという。
だから私は舟にいけすを作ったらと提案した。
「木箱に海水を入れて、その中に魚を放つ状態で戻るとか?」
「なるほど、海水が漏れない木箱を選んで、次回試してみます」
ここから戻る途中で出来ることだから、上手くいってほしい。
あと話して仲良くなった私たちにハンスさんが、年も近いからハンスと呼んでくれというので、私たちも呼び捨てでと言った。
「しかし貴族の方を呼び捨てにはできません」
「貴族といっても家を継ぐわけではないから」
「そうだ、これからいろいろ世話になるしな」
私とセドが説得を続けると、しぶしぶ了承してくれた。
話をしている間に無人島につき、ハンスは砂浜に私たちを降ろしてくれて、また3日後にと言って戻っていった。
「ダル、ここからだな」
2人っきりになった途端、セドは弾んだ声で言った。
セドが本当に楽しんでくれているようでよかった、私は心の中でほっとする。
だけど砂浜の奥は木々が密集していて歩くのも大変そうだった。
「大物の動物がいなければいいけれど・・・・」
「大物なら島の奥にいるだろうよ。まずはテントを立ててしまおう」
砂浜から距離を取り、木々に近いほうにテントを立て、テントの四隅に鉄の棒を土に刺して、テントを覆う大きな布の四隅を鉄の棒に括りつける。
テントを覆った布は、撥水性が高く、日差しよけ兼雨水を貯めるために用意したものだ。
雨水は風呂に顔や手足を洗うこと、あとは雨水を飲み水にできる魔道具を持参しているので、飲料水にと色々使い道があるからだ。
水はそれなりにマジックバッグに入っているが、現地で調達できるものは調達していきたい。
それから薪用の木の枝を拾い、テント周辺の生い茂った木々の枝をのこぎりで切る。
そして大きい木を1本倒し、椅子と食器を置くテーブルとして活用するために、切って薪の近くに置いた。
あとは大きめの石を探して薪周辺に積むと、2人とも疲れ果ててしまった。
「今日はこれでやめて食事を取って休もう」
「そうだな。明日動けなくなってもいけない」
セドも同意してくれたので、早めの夕食だ。
夕食は昨日市場で買った串焼きとパンで済ませる。
「ダル、明日はどうする?」
「天気が良ければ、早速海に潜ってみようと思う」
「なら俺は周辺を探索するか」
「セド、奥に行くときは一緒に行こう。だから本当に近くだけにしてくれよ」
「わかっている。2人しかいないのだから無理はしない」
翌日、上半身裸になりズボンをはいたままで海に入る。
今は初夏なので暖かいが、冬は潜れるのだろうかと一瞬不安がよぎるが、まだ先の話だ。
今はどこまで潜れるのか魚が取れるのか試さなくてはいけない。
モリと呼ばれる魚を突く道具を手に海に潜る。
深水3メートルぐらい潜ったと思うが全然息が苦しくない、しかも海に潜る前のモリは少し重く感じていて長時間は持てないと思ったのに、海の中では重さをまったく感じなかった。
そしてさらに潜る。
太陽の光が少なくなるので、岩場やサンゴに隠れている魚を見つけるのは難しいかと思ったけれど、むしろ明るくはっきりと見えて何処にどれぐらいの大きさの魚が隠れているかがわかるのだ。
何なんだ、このスキル。
本当に漁師だったら喜ぶスキルだな。
さらに泳いでいくと近くに30センチぐらいの魚を発見した。
直感でいけると思ったと同時にモリを持った手が勝手に動き、魚の頭にモリが突き刺さった。
とりあえずモリに刺さった魚と一緒に海面に顔を出すと、セドが心配そうにこちらを見ていたので、そのまま泳いで砂浜に戻った。
海からあがるとモリが重たい、魚の重さも加わって余計に重たい。
「ダル、心配したぞ。まったく海面にあがってこないし・・・・でもすごいじゃないか!一回目でそんな大きな魚を獲るとは!!」
翌日、私とセドはハンスさんの舟に乗り海を渡るが、舟がほとんど揺れずに海を進んでいく。
「ハンスさんすごいです。舟は揺れると聞いていたのに揺れをほとんど感じません」
私がハンスさんの船頭の腕を褒めるとセドも口を開く。
「これに慣れちゃうと、自分たちで漕ぐ舟には乗れなくなりそうだ」
ハンスさんは私たちの感想にとても嬉しそうな顔をする。
「俺の舟はいつもこんなもんです。他の人を乗せると先ほどと同じ感想ですね。ですが舟渡が仕事ではないですから・・・・」
ハンスさんは最後の方は曇った顔をする。
「なら、ここに来る帰りに網漁してみたら?」
ハンスさんは、領内に戻る間に魚が死んでからの時間が経ちすぎるので、魚の価値が下がるから厳しいという。
だから私は舟にいけすを作ったらと提案した。
「木箱に海水を入れて、その中に魚を放つ状態で戻るとか?」
「なるほど、海水が漏れない木箱を選んで、次回試してみます」
ここから戻る途中で出来ることだから、上手くいってほしい。
あと話して仲良くなった私たちにハンスさんが、年も近いからハンスと呼んでくれというので、私たちも呼び捨てでと言った。
「しかし貴族の方を呼び捨てにはできません」
「貴族といっても家を継ぐわけではないから」
「そうだ、これからいろいろ世話になるしな」
私とセドが説得を続けると、しぶしぶ了承してくれた。
話をしている間に無人島につき、ハンスは砂浜に私たちを降ろしてくれて、また3日後にと言って戻っていった。
「ダル、ここからだな」
2人っきりになった途端、セドは弾んだ声で言った。
セドが本当に楽しんでくれているようでよかった、私は心の中でほっとする。
だけど砂浜の奥は木々が密集していて歩くのも大変そうだった。
「大物の動物がいなければいいけれど・・・・」
「大物なら島の奥にいるだろうよ。まずはテントを立ててしまおう」
砂浜から距離を取り、木々に近いほうにテントを立て、テントの四隅に鉄の棒を土に刺して、テントを覆う大きな布の四隅を鉄の棒に括りつける。
テントを覆った布は、撥水性が高く、日差しよけ兼雨水を貯めるために用意したものだ。
雨水は風呂に顔や手足を洗うこと、あとは雨水を飲み水にできる魔道具を持参しているので、飲料水にと色々使い道があるからだ。
水はそれなりにマジックバッグに入っているが、現地で調達できるものは調達していきたい。
それから薪用の木の枝を拾い、テント周辺の生い茂った木々の枝をのこぎりで切る。
そして大きい木を1本倒し、椅子と食器を置くテーブルとして活用するために、切って薪の近くに置いた。
あとは大きめの石を探して薪周辺に積むと、2人とも疲れ果ててしまった。
「今日はこれでやめて食事を取って休もう」
「そうだな。明日動けなくなってもいけない」
セドも同意してくれたので、早めの夕食だ。
夕食は昨日市場で買った串焼きとパンで済ませる。
「ダル、明日はどうする?」
「天気が良ければ、早速海に潜ってみようと思う」
「なら俺は周辺を探索するか」
「セド、奥に行くときは一緒に行こう。だから本当に近くだけにしてくれよ」
「わかっている。2人しかいないのだから無理はしない」
翌日、上半身裸になりズボンをはいたままで海に入る。
今は初夏なので暖かいが、冬は潜れるのだろうかと一瞬不安がよぎるが、まだ先の話だ。
今はどこまで潜れるのか魚が取れるのか試さなくてはいけない。
モリと呼ばれる魚を突く道具を手に海に潜る。
深水3メートルぐらい潜ったと思うが全然息が苦しくない、しかも海に潜る前のモリは少し重く感じていて長時間は持てないと思ったのに、海の中では重さをまったく感じなかった。
そしてさらに潜る。
太陽の光が少なくなるので、岩場やサンゴに隠れている魚を見つけるのは難しいかと思ったけれど、むしろ明るくはっきりと見えて何処にどれぐらいの大きさの魚が隠れているかがわかるのだ。
何なんだ、このスキル。
本当に漁師だったら喜ぶスキルだな。
さらに泳いでいくと近くに30センチぐらいの魚を発見した。
直感でいけると思ったと同時にモリを持った手が勝手に動き、魚の頭にモリが突き刺さった。
とりあえずモリに刺さった魚と一緒に海面に顔を出すと、セドが心配そうにこちらを見ていたので、そのまま泳いで砂浜に戻った。
海からあがるとモリが重たい、魚の重さも加わって余計に重たい。
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