出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ

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038:護衛はゲーネッツ

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 翌日の早朝。出掛けようとした所で呼び止められた。

「よぉ、ジン」

 振り返るとそこにはゲーネッツが居た。

「あぁ、ゲーネッツ。おはよう」
「おう。おはようさん」
「どうしたの? こんな朝早くに」
「ばっかオメェ。仕事に決まってんだろ」

 ということは。

「俺が出した護衛の依頼?」
「そうだ。それで呼びに来た」
「カイトさんとアヤさんは?」
「そっちは別件でな。スマンが俺一人だが……まずかったか? 人数制限はなかったが?」
「あぁ。なるほど。まぁ大丈夫かな。奥まで行く予定はないから」
「何でも戦闘指導だとか? 正気か? そんな生白い体で」
「あはは。大丈夫。魔法を使うからね」
「魔法だと! お前、使えたのか?」
「魔導書を手に入れてね。それで試し撃ちがしたくてさ」

 するとゲーネッツが頷いた。

「なるほどな。そういうことか。了解した。となると魔物を探したり誘き寄せたりする方がいいか?」
「そうだね。お願いできる?」
「おう。任せろ」

 こうして俺はゲーネッツと二人で大森林に出掛けることになったのだった。





 道すがらも会話だ。

「しっかしよぉ、魔導書ねぇ。金、持ってんなぁ」
「かなり高かったよ。お陰でまたイチから貯蓄だよ」
「そんなに金を貯めて何に使うんだよ」
「ゴーレムの研究とか転移の研究とか。空を飛ぶ研究。マジックカバンの研究なんてのもある」
「かぁ。研究研究。よくもまぁそこまで。面白いのか?」
「そりゃもう」
「おれにゃ、分かんねぇなぁ」

 森についた。白い雪が所々に残っている。木は黒々としていて広葉樹に葉は無い。一部の針葉樹に葉が付いている程度。おかげでかなり見通しは良い。

「よし。んじゃあ気合い入れて行くかな」

 とは言ったものの、魔物の痕跡を見つけるまでは暇だ。だからやっぱりお喋り。

「もしよぉマジックカバンとか作れたら売ってくれよ?」
「もちろん! まぁ作れたらね」
「作り方は知ってんだよな?」
「うん。問題は技術的に難しいこと。あとは素材が手に入りにくい点だね」
「どんな素材が必要なんだ?」
「闇の属性の魔石だね。それも上位の」
「手に入りにくい?」
「闇の属性自体はそれほど。それこそゴブリンから手に入る魔石は闇だしね。ただ上位のモンスターとなるとね」
「どのくらい強ければ手に入るんだ?」
「ゴブリンキングクラス」
「うへ! そりゃ厳しすぎ。そもそも出会わねぇ。他には?」
「ブラックスライムだね」
「うは! 出会いたくねぇ。しかもどっちも特定の危険に指定された魔物じゃねぇか!」
「うん。最低でもゴブリンキングの第三級から。出会いにくいし倒しにくい。最低の条件なんだ」

 ゲーネッツが「なるほどねぇ」と頷いている。

「そりゃ金がいくらあっても足らんわな」
「でしょ」

 そんな会話を交わしているとゲーネッツが何かを見つけたようだ。

「おっ。魔物の痕跡だ。近いな。行くか」
「うん」

 こうして俺の魔物討伐が始まるのだった。
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