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第29話|置き忘れたままの一歩
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ホームページに掲載されているメニューに目を通した。
メイン:オリジナルブレンドハーブティー
すべて Beside You Tea 専用ブレンド
*代表ブレンド*
• Beside You(定番)
カモミール × レモンバーム × 微かなローズ
→ 隣にいる安心感
• Unsent Message
ハイビスカス × アップル × ラベンダー
→ 送れなかった気持ち
• Still Waiting
ルイボス × オレンジピール
→ 待つ時間に飲む一杯
• After Graduation
ミント × レモングラス
→ 少し大人になった後味
※ 紅茶・カフェインレスも選べる
凄い。
どれもオシャレなネーミングで色々ブレンドされていて正直どんな味になってるのかよくわからない。
でも先輩の作るハーブティなら外れなんてない気がしていた。
ん?
ふと、湊は気づいたことがある。
定番?
定番は、カモミール系のブレンド
そして。
→隣にいる安心感。
え?
ん?
ちょっと待って。
カモミールは昔先輩が俺のためにブレンドしてくれたハーブのひとつだ。
そのブレンドのサブタイトルが――
「隣にいる安心感」
、、、いや。
いやいや。
これはさすがに、、、自惚れ、、、かもしれない。
自分のことだなんて。
都合よく受け取りすぎだろ。
「味の感想、教えてね。」
そう言っていた先輩のお願いを結局ガン無視したまま三年も経ってしまった。
そんな俺のことをわざわざオリジナルティーのネーミングにまで込めるだろうか。
、、、いや、さすがにない。
そう思うのが普通だ。
何度もスクロールしていたホームページの片隅で、
ふと、メール欄が目に入った。
、、、メール、してみるか。
、、、。
話してみたい。
久しぶりに。
でも。
今さらどんな顔をして。
どんな言葉で連絡すればいいんだろう。
返事が来たらどうする?
来なかったら?
三年も放っておいたくせに都合が良すぎるんじゃないか。
それでも、、、。
胸の奥で小さく芽生えた
「話したい」
という気持ちはどうしても消えてくれなかった。
迷いと期待が行ったり来たりしながら、湊の中で静かに交差していた。
ダメダメ。
一人首を振ってスマホを伏せる。
冷えきった社食の親子丼を考える暇を塞ぐように口に運んだ。
先輩は全然変わってなかった。
昔と変わらず格好よくて自分のやりたいことをちゃんと形にしている。
やっぱり憧れちゃうな。
今も変わらず。
前より遠くなった存在になってしまったけど。
ぼんやりと自分と比較しながら昼食を終えた湊は、食べ終えた食器を元の場所に戻し自分の部署へと戻った。
その日の仕事終わり。
結局、綾瀬さんは戻ってこなかった。
まだ外回りの途中かそれともそのまま直帰したのか。
そんなことを考えながら帰り支度をする。
時計は夕方十八時を少し過ぎた辺り。
外に出た瞬間、ピューッと冷たく乾いた夜風が頬をかすめた。
「さぶ、、、。」
こんな日はあったかい何か、、飲みたいな。
、、、なんて。
自分でも分かるくらい先輩の店へ行く理由を無理やり作っている。
店の住所は湊の会社のすぐ近くを示していた。
歩いて行ける距離なのに今まで全然、気づかなかった。
いつも使っている駅への帰り道とは逆方向。
その道へ自然と足が向く。
少し、顔を見るだけ。
そう自分に言い聞かせながらも、
胸の内は緊張と期待とそれから
謝らなきゃ。
という気持ちが絡まり合ってぐちゃぐちゃだった。
十五分くらい歩いたころ。
ネットで見た写真と同じ外観が、視界に入った。
あ。
、、、ここだ。
店の灯りがやわらかく漏れている。
外から中の様子が少しだけ見えた。
お客さんは、、、女性ばかりだ。
四人。いや、五人くらい。
それぞれ楽しそうに談笑していて。
店内は落ち着いたあたたかい空気に包まれている。
先輩は――。
湊は店の外からこっそり隠れるようにして中を見渡した。
、、、えっと。
、、いない、な。
先輩、今日は休み?
それとも、無人カフェ、、、?
いなかった。
少しホッとしたような。
でも、どこか物足りないような。
先輩の好みがぎゅっと詰まった本当におしゃれな店だ。
「男ひとりで入るにはちょっと敷居が高いな。」
また出直そう。
そう自分に言い聞かせて湊はゆっくりと振り返った。
一度だけ店を見つめ胸の奥に残る名残惜しさを抱えたまま歩き出した。
その瞬間。
目の前に、、、人影。
えっ。
「わっ。あれ?えっ??、み、みなと???」
聞き慣れた声。
顔を上げると、
そこには。
今もあの頃のまま。
爽やかさを纏って輝いている先輩が、、、立っていた。
メイン:オリジナルブレンドハーブティー
すべて Beside You Tea 専用ブレンド
*代表ブレンド*
• Beside You(定番)
カモミール × レモンバーム × 微かなローズ
→ 隣にいる安心感
• Unsent Message
ハイビスカス × アップル × ラベンダー
→ 送れなかった気持ち
• Still Waiting
ルイボス × オレンジピール
→ 待つ時間に飲む一杯
• After Graduation
ミント × レモングラス
→ 少し大人になった後味
※ 紅茶・カフェインレスも選べる
凄い。
どれもオシャレなネーミングで色々ブレンドされていて正直どんな味になってるのかよくわからない。
でも先輩の作るハーブティなら外れなんてない気がしていた。
ん?
ふと、湊は気づいたことがある。
定番?
定番は、カモミール系のブレンド
そして。
→隣にいる安心感。
え?
ん?
ちょっと待って。
カモミールは昔先輩が俺のためにブレンドしてくれたハーブのひとつだ。
そのブレンドのサブタイトルが――
「隣にいる安心感」
、、、いや。
いやいや。
これはさすがに、、、自惚れ、、、かもしれない。
自分のことだなんて。
都合よく受け取りすぎだろ。
「味の感想、教えてね。」
そう言っていた先輩のお願いを結局ガン無視したまま三年も経ってしまった。
そんな俺のことをわざわざオリジナルティーのネーミングにまで込めるだろうか。
、、、いや、さすがにない。
そう思うのが普通だ。
何度もスクロールしていたホームページの片隅で、
ふと、メール欄が目に入った。
、、、メール、してみるか。
、、、。
話してみたい。
久しぶりに。
でも。
今さらどんな顔をして。
どんな言葉で連絡すればいいんだろう。
返事が来たらどうする?
来なかったら?
三年も放っておいたくせに都合が良すぎるんじゃないか。
それでも、、、。
胸の奥で小さく芽生えた
「話したい」
という気持ちはどうしても消えてくれなかった。
迷いと期待が行ったり来たりしながら、湊の中で静かに交差していた。
ダメダメ。
一人首を振ってスマホを伏せる。
冷えきった社食の親子丼を考える暇を塞ぐように口に運んだ。
先輩は全然変わってなかった。
昔と変わらず格好よくて自分のやりたいことをちゃんと形にしている。
やっぱり憧れちゃうな。
今も変わらず。
前より遠くなった存在になってしまったけど。
ぼんやりと自分と比較しながら昼食を終えた湊は、食べ終えた食器を元の場所に戻し自分の部署へと戻った。
その日の仕事終わり。
結局、綾瀬さんは戻ってこなかった。
まだ外回りの途中かそれともそのまま直帰したのか。
そんなことを考えながら帰り支度をする。
時計は夕方十八時を少し過ぎた辺り。
外に出た瞬間、ピューッと冷たく乾いた夜風が頬をかすめた。
「さぶ、、、。」
こんな日はあったかい何か、、飲みたいな。
、、、なんて。
自分でも分かるくらい先輩の店へ行く理由を無理やり作っている。
店の住所は湊の会社のすぐ近くを示していた。
歩いて行ける距離なのに今まで全然、気づかなかった。
いつも使っている駅への帰り道とは逆方向。
その道へ自然と足が向く。
少し、顔を見るだけ。
そう自分に言い聞かせながらも、
胸の内は緊張と期待とそれから
謝らなきゃ。
という気持ちが絡まり合ってぐちゃぐちゃだった。
十五分くらい歩いたころ。
ネットで見た写真と同じ外観が、視界に入った。
あ。
、、、ここだ。
店の灯りがやわらかく漏れている。
外から中の様子が少しだけ見えた。
お客さんは、、、女性ばかりだ。
四人。いや、五人くらい。
それぞれ楽しそうに談笑していて。
店内は落ち着いたあたたかい空気に包まれている。
先輩は――。
湊は店の外からこっそり隠れるようにして中を見渡した。
、、、えっと。
、、いない、な。
先輩、今日は休み?
それとも、無人カフェ、、、?
いなかった。
少しホッとしたような。
でも、どこか物足りないような。
先輩の好みがぎゅっと詰まった本当におしゃれな店だ。
「男ひとりで入るにはちょっと敷居が高いな。」
また出直そう。
そう自分に言い聞かせて湊はゆっくりと振り返った。
一度だけ店を見つめ胸の奥に残る名残惜しさを抱えたまま歩き出した。
その瞬間。
目の前に、、、人影。
えっ。
「わっ。あれ?えっ??、み、みなと???」
聞き慣れた声。
顔を上げると、
そこには。
今もあの頃のまま。
爽やかさを纏って輝いている先輩が、、、立っていた。
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