診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第4章 菜の花、未来を味わう

64話 下男と思っていい?

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 夏から三輪さん達の話を聞いた。

本当に深い話で、思わず感心してしまった。

なんて偉いんだろう。もう十分に人の上に立てる人になっているよ。

元々資質があったんだと思うけど、やはり環境で磨かれたんだろうねえ。 

だからカフェも病院食も、思い切って任せていいと思った。


夏はその話をちゃんと社長に伝えたそうだ。

すると「お前にしては上出来だ」と褒められて、大喜びしていた。

ふっ、単純なんだから。それくらいでそんなに喜ぶなよ。



さて、川瀬は毎日ウキウキだ。

「味噌汁が死ぬほどうまい!!」って感動していたよ。

今まで朝ご飯を食べさせてもらえなかったんだって。

そんなの自分で作れよ、と思ったけどさ。まあ川瀬もぼんぼんだからな。

お母さんが全部やってくれていたんだろう。

奥さんとの仲が随分前から壊れていたようだから、人にしてもらうことの感激がきっとすごいんだと思う。

だから「良かったねえ」と言っておいたよ。


……それにしても、俺はその味噌汁を飲んだことがないんだからな。

佐久間先生も大喜びだったそうだ。

そしたら追加が10万円で良かったのかな?


そんなにうまい味噌汁なら、出汁の材料をたっぷり使っているんだろう。

鰹節だってすごく高いんだよ。それを朝晩16人分も作るんだからね。

夏に「寮費を増やせ」とは言ったけど、具体的な根拠がなければ説得力に欠ける。

そうだ! 寮の食材、鰹節や昆布なんかは菜の花フーズと取引があるんじゃないかな?

だったら絶対そっちの方が安く買えるはずだ。


すぐ夏にメールした。「お父さんに相談してほしい」と。

まあ気に入った材料がフーズにあるかどうかは分からないけど、西村さんに見てもらえば安心だ。

  これは経費削減だ。

でもそれだけじゃなくて、実際の寮の明細やデータも必要だな。

どうせ川瀬の車で買い物に行くなら、明細を調べてデータ化してもらって、それをお父さんに見てもらうのがいい。

主任は律義だから、「大体これくらいの寮費で」と言われたら、それをきっちり守ろうとするだろう?

聞いたら、お米だけで1か月に60キロだってさ。

ひゃー、すげえ。普通の家庭だったら「どこに置くの?」って量だよね。

寮は食品庫がちゃんとあるからいいけど、それでも女性一人で大量に買うのは大変だ。


だから川瀬に買い物の荷物運びを頼んだんだ。

ちょうどあいつは車を持ってきていたから都合がいい。

女手に10キロの袋を6つは無理だろう。


俺も早く「不自由していないか?」って聞けばよかった。反省した。

ちゃんと聞いてあげれば、お米くらい俺が買いに行ったのに。

だから代わりに川瀬をこき使ってもらうことにした。(笑)

ほんと、ちょうどいい時に来たもんだ。面白いね。


西村主任には「下男と思っていいからね」と耳打ちしておいた。ぷっ。

めちゃめちゃ喜んでいたよ。

後で川瀬に感想を聞くのが楽しみだ。

俺自身も楽しみが増えた。


いや~仲間がいるって本当に楽しいなあ。

今まで話し相手がいなかったんだよ。

だからうれしいよ。

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