73 / 357
第4章 菜の花、未来を味わう
71話 ゆとりの日
しおりを挟む
最近、水曜日は一番忙しい日で、仕事が終わるのはいつも深夜24時。
クタクタに疲れてしまう。
けれど本来、水曜日は莉子の日だ。
一緒に過ごす大切な時間なのに、サテが始まってからはまったく時間が取れなくなってしまった。
このままではすれ違いになってしまう。週のどこかで、必ず時間を作らなければ。
「半日でいいから仕事を休んで、一緒に出かけようか……。いや、ずっとベッドにいてもいいな」
そんなことを考えていた。
夜、思い切って莉子に話してみた。
「莉子、サテライトが出来てから水曜日が莉子の日なのに、全然一緒にいられなくてごめんね。
代わりに火曜日はどうかな? 俺も午前だけ仕事して、午後からは一緒に過ごそうと思うんだ」
「春ちゃん、そんなことを考えてたの? 私ももっと春ちゃんと一緒にいたいよ。
でも火曜日を半日で済ませられるかどうか、桐生さんや夏に聞いてみないと分からないなあ」
「そうだね、俺が聞いてみるよ。もし大丈夫だって言われたら、一緒に過ごせる?」
「うん、いいよ」
にっこりとかわいい笑顔を見せてくれた。――よし、決まりだ。
その後、寝る前に夏がベッドに入ってきた。
「夏、今度から火曜日の午後は莉子を休みにしてもらえないかな?」
「なんで?」
「今までは水曜日が莉子の日だったんだけど、今は水曜が24時まで仕事で……全然時間が取れないから、かわいそうなんだ」
「ふうん、わかった。桐生さんに聞いてみるよ……。でも俺は? 俺は土曜日なんだけど」
「そうなんだよな。土曜は16時に終わるから、ちょっと短いんだよね。
じゃあ仕事が終わったら、そのまま二人で出かけることにしようか?」
夏はぱっと笑顔になり、胸にしがみついてきた。
「うん、そうする! 絶対だよ」
胸に鼻を押し当て、ぐりぐりとする。
これは夏が好きでよくやる。胸の匂いを吸い込むのがいいんだって。
「いいよ、出かけよう。土曜日は夏の日だもんね」
夏の髪を指で梳きながら撫でる。さらさらとした、美しい髪だ。
その髪に口づけると、若い匂いがした。
夏は自分から唇を寄せ、むさぼるようにキスを重ねてきた。
*
翌日、院長室で桐生さんに相談した。夏も同席している。
「水曜日は24時まで仕事なので、私も木曜にお休みをいただいています」
桐生さんは穏やかに、そして柔らかい微笑みを浮かべながら言った。
「院長も理事も、ぜひ木曜日は完全にお休みください。
山科看護部長も西村看護主任も休まれますし、木曜の本館は花井部長と加納主任が、サテは宮本看護師長にお任せいただければ大丈夫です」
「えっ、本当に? 休んじゃっていいの?」
夏がもうはしゃいでいる。
「もちろんです。働き過ぎてはお二人とも身体を壊してしまいますから。
それに莉子さんは、いつだってお休みいただいていいんですよ。
決まった日でなくても、好きな時に休める契約ですから」
「じゃあ、火曜日の午後は俺と一緒に休んでもいいかな?」
「はい、どうぞ。もちろんですよ」
そう言ってもらえて、思わず笑みがこぼれた。ふふふ。
最近はずっと忙しくて、三人とも余裕をなくしていたから。
おかげで木曜日は夏の日にできる。
夏の顔を見ると、ニヤニヤが止まらないようだ。――現金な奴だなあ。
クタクタに疲れてしまう。
けれど本来、水曜日は莉子の日だ。
一緒に過ごす大切な時間なのに、サテが始まってからはまったく時間が取れなくなってしまった。
このままではすれ違いになってしまう。週のどこかで、必ず時間を作らなければ。
「半日でいいから仕事を休んで、一緒に出かけようか……。いや、ずっとベッドにいてもいいな」
そんなことを考えていた。
夜、思い切って莉子に話してみた。
「莉子、サテライトが出来てから水曜日が莉子の日なのに、全然一緒にいられなくてごめんね。
代わりに火曜日はどうかな? 俺も午前だけ仕事して、午後からは一緒に過ごそうと思うんだ」
「春ちゃん、そんなことを考えてたの? 私ももっと春ちゃんと一緒にいたいよ。
でも火曜日を半日で済ませられるかどうか、桐生さんや夏に聞いてみないと分からないなあ」
「そうだね、俺が聞いてみるよ。もし大丈夫だって言われたら、一緒に過ごせる?」
「うん、いいよ」
にっこりとかわいい笑顔を見せてくれた。――よし、決まりだ。
その後、寝る前に夏がベッドに入ってきた。
「夏、今度から火曜日の午後は莉子を休みにしてもらえないかな?」
「なんで?」
「今までは水曜日が莉子の日だったんだけど、今は水曜が24時まで仕事で……全然時間が取れないから、かわいそうなんだ」
「ふうん、わかった。桐生さんに聞いてみるよ……。でも俺は? 俺は土曜日なんだけど」
「そうなんだよな。土曜は16時に終わるから、ちょっと短いんだよね。
じゃあ仕事が終わったら、そのまま二人で出かけることにしようか?」
夏はぱっと笑顔になり、胸にしがみついてきた。
「うん、そうする! 絶対だよ」
胸に鼻を押し当て、ぐりぐりとする。
これは夏が好きでよくやる。胸の匂いを吸い込むのがいいんだって。
「いいよ、出かけよう。土曜日は夏の日だもんね」
夏の髪を指で梳きながら撫でる。さらさらとした、美しい髪だ。
その髪に口づけると、若い匂いがした。
夏は自分から唇を寄せ、むさぼるようにキスを重ねてきた。
*
翌日、院長室で桐生さんに相談した。夏も同席している。
「水曜日は24時まで仕事なので、私も木曜にお休みをいただいています」
桐生さんは穏やかに、そして柔らかい微笑みを浮かべながら言った。
「院長も理事も、ぜひ木曜日は完全にお休みください。
山科看護部長も西村看護主任も休まれますし、木曜の本館は花井部長と加納主任が、サテは宮本看護師長にお任せいただければ大丈夫です」
「えっ、本当に? 休んじゃっていいの?」
夏がもうはしゃいでいる。
「もちろんです。働き過ぎてはお二人とも身体を壊してしまいますから。
それに莉子さんは、いつだってお休みいただいていいんですよ。
決まった日でなくても、好きな時に休める契約ですから」
「じゃあ、火曜日の午後は俺と一緒に休んでもいいかな?」
「はい、どうぞ。もちろんですよ」
そう言ってもらえて、思わず笑みがこぼれた。ふふふ。
最近はずっと忙しくて、三人とも余裕をなくしていたから。
おかげで木曜日は夏の日にできる。
夏の顔を見ると、ニヤニヤが止まらないようだ。――現金な奴だなあ。
7
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
網代さんを怒らせたい
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」
彼がなにを言っているのかわからなかった。
たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。
しかし彼曰く、これは練習なのらしい。
それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。
それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。
それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。
和倉千代子(わくらちよこ) 23
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
デザイナー
黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟
ただし、そう呼ぶのは網代のみ
なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている
仕事も頑張る努力家
×
網代立生(あじろたつき) 28
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
営業兼事務
背が高く、一見優しげ
しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く
人の好き嫌いが激しい
常識の通じないヤツが大嫌い
恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる