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第4章 菜の花、未来を味わう
79話 秘密の逢瀬
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宿の帰り道、運転しながらいつも困ることがある。
「莉子にお土産、何がいいかなあ?」
「ほんと困るよね。これってものがないんだもん。帰りが夜だし、店も閉まってるし」
「この前は何だっけ?」
「どこかのタルト屋さんじゃなかった?」
「ああ~そうだった……。やっぱり定番がないんだよな」
「来る前に寄ったレストランで、レトルト食品売ってなかった?」
「あっ、あった!かえってそういうのがいいかも。それに帰り道だし」
「よし、そこに寄ってから帰ろう」
「うん、そうしよう」
シーフードレストランの駐車場に入って停めようとした、その時――。
「あっ!お兄さん、やばい!すぐ車出して!早く!」
「ええ?何?ちゃんと説明してよ」
「ほら、あの車……桐生さんのだよ!」
「えっ、どれ?」
「もういいから早く出して!」
「わかったよ」
慌てて車を出し、国道へと戻った。ああ~、お土産を買いそこなった。
「どうしてわかったんだ?」
「俺の特技だよ。車とナンバーは一度で覚えるんだ」
「へえ~。でも桐生さんの車なんて見たことないだろ?」
「だってさ、交通費の申請に書くじゃん。車種や色やナンバーを」
「ああ……そうだったな」
「でもさ、別にレストランなら会ってもよくない?」
「ダメに決まってるでしょう?相手はきっと朝井先生だよ。二人で隠してるんだから、見られたら困るに決まってる」
「ああ、そういうことね。せっかく秘密にしてるのに鉢合わせしたら気まずいか」
「そうだよ。俺とお兄さんなら、もう菜の花全員が知ってるから今更いいけど、あの二人はやばいって」
「まあ、向こうもこっちも木曜休みだから、バッティングするよな」
結局、お土産はいつものケーキ屋さんでタルトを買った。
――ああ、本当に世の中は狭い。
俺はあの二人がいるところ、ちょっと見てみたかったな。
普段と違う桐生さん、きっと新鮮なんだろう。
「ねえ、お兄さん」
「ん?」
「……なんていうか、今のさ、秘密の逢瀬みたいで、ちょっとドキドキした」
俺は笑って答えず、ただ隣にいる温もりを確かめながらハンドルを握った。
「莉子にお土産、何がいいかなあ?」
「ほんと困るよね。これってものがないんだもん。帰りが夜だし、店も閉まってるし」
「この前は何だっけ?」
「どこかのタルト屋さんじゃなかった?」
「ああ~そうだった……。やっぱり定番がないんだよな」
「来る前に寄ったレストランで、レトルト食品売ってなかった?」
「あっ、あった!かえってそういうのがいいかも。それに帰り道だし」
「よし、そこに寄ってから帰ろう」
「うん、そうしよう」
シーフードレストランの駐車場に入って停めようとした、その時――。
「あっ!お兄さん、やばい!すぐ車出して!早く!」
「ええ?何?ちゃんと説明してよ」
「ほら、あの車……桐生さんのだよ!」
「えっ、どれ?」
「もういいから早く出して!」
「わかったよ」
慌てて車を出し、国道へと戻った。ああ~、お土産を買いそこなった。
「どうしてわかったんだ?」
「俺の特技だよ。車とナンバーは一度で覚えるんだ」
「へえ~。でも桐生さんの車なんて見たことないだろ?」
「だってさ、交通費の申請に書くじゃん。車種や色やナンバーを」
「ああ……そうだったな」
「でもさ、別にレストランなら会ってもよくない?」
「ダメに決まってるでしょう?相手はきっと朝井先生だよ。二人で隠してるんだから、見られたら困るに決まってる」
「ああ、そういうことね。せっかく秘密にしてるのに鉢合わせしたら気まずいか」
「そうだよ。俺とお兄さんなら、もう菜の花全員が知ってるから今更いいけど、あの二人はやばいって」
「まあ、向こうもこっちも木曜休みだから、バッティングするよな」
結局、お土産はいつものケーキ屋さんでタルトを買った。
――ああ、本当に世の中は狭い。
俺はあの二人がいるところ、ちょっと見てみたかったな。
普段と違う桐生さん、きっと新鮮なんだろう。
「ねえ、お兄さん」
「ん?」
「……なんていうか、今のさ、秘密の逢瀬みたいで、ちょっとドキドキした」
俺は笑って答えず、ただ隣にいる温もりを確かめながらハンドルを握った。
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