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第5章 2号館、屋上から動き出す
82話 西村サイド・うどん
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院長が薦めてくれたから、川瀬先生に棚卸を手伝ってもらった。
川瀬先生は、なんだかヨレヨレのTシャツに、これまた着古したズボンをはいていた。
……この人って、本当に女手がかかっていないんだなあ。
ちょっとかわいそうになった。だって医者だったら高収入のはずなのに。
食品庫の棚卸は、先生がどんどん読み上げてくれるから、あっという間に終わった。
やっぱり頭のいい人は違うわ。
でも、台所の方はずっと細かい。嫌になっちゃうかな?と心配したけど、戸棚や引き出しに細かい調味料や乾物がいっぱいあっても、淡々と書きつけてくれる。
しかも文字が中々達筆で読みやすい。
……基本的に私は頭の良い人が好ましいのよね、エへへへ。
だってさ、もう頭の悪い男は嫌い。言っても分かんないんだもん。
前の夫がそうだった。あれは見込み違いというか、若気の至りだった。
もう遅いけどさ……。
買い物に行って山のような荷物も嫌がらず、どんどん手伝ってくれた。
久しぶりに、自分が「女になった」ような気がした。
だって、夫婦連れなんてみんな旦那に荷物を持たせるでしょう?
「いれば便利だな」って思っちゃった。こっちは大荷物なんだから。
トイレットペーパーやタオルペーパーも、寮の備品は私が補充している。
今日は車があるからと思って、洗剤類もまとめ買いした。
――よし、これで当分は買わなくていいぞ。
買い物を片付け終わってふと見ると、川瀬先生はソファで寝ていた。
気持ちよさそうな顔をしている。
きっとお腹も空いていたんだろうけど、催促はしないんだな。
前の夫とは大違いだ。あの人は、こっちが何をしていようと「腹が減ったら飯!」だったから。
でも川瀬先生は、こうやって自分が我慢する人なんだ。
――よし、お昼ごはんを作ろう。
お弁当はあるけど、温かい汁ものがいいかなと思って、おうどんを二人分作った。
「川瀬先生、お昼ですよ」
「うん、あっそう? お腹空いた、食べようかな」
私がおうどんを出していたら、先生がじっと見ている。
「川瀬先生もおうどんを食べますか? 一応二人分作ったんだけど……」
「うん、食べる!」
急に笑顔に変わった。……ふふふ、なんだか小学生みたい。
おうどんを出してあげると、フーフーしながら勢いよく食べている。
「ああ、ちょっと待って、ゆっくり食べた方がいいかも~」
そう言うと、ニヤッと笑って――「忘れてた!」だって。
川瀬先生にはお弁当もあるんだよね。
「お弁当も温めましょうか?」
「はい、お願いします」
お弁当を温めていると、他の寮生たちがやって来た。
川瀬先生のおうどんを見るなり、わっと寄って来る。
「ええ~? いいなあ~川瀬先生は。寮母さんに作ってもらったの?」
ウプッと喉を詰まらせながら、先生が笑っていた。
西村「今日は朝から棚卸やスーパーの買い物を手伝ってくれたの。だからいいでしょう?」
そう言うと、みんな「はーい!」とあっさり納得したみたい。
全く……皆、頭はいいくせに子どもなんだから。
川瀬先生は、なんだかヨレヨレのTシャツに、これまた着古したズボンをはいていた。
……この人って、本当に女手がかかっていないんだなあ。
ちょっとかわいそうになった。だって医者だったら高収入のはずなのに。
食品庫の棚卸は、先生がどんどん読み上げてくれるから、あっという間に終わった。
やっぱり頭のいい人は違うわ。
でも、台所の方はずっと細かい。嫌になっちゃうかな?と心配したけど、戸棚や引き出しに細かい調味料や乾物がいっぱいあっても、淡々と書きつけてくれる。
しかも文字が中々達筆で読みやすい。
……基本的に私は頭の良い人が好ましいのよね、エへへへ。
だってさ、もう頭の悪い男は嫌い。言っても分かんないんだもん。
前の夫がそうだった。あれは見込み違いというか、若気の至りだった。
もう遅いけどさ……。
買い物に行って山のような荷物も嫌がらず、どんどん手伝ってくれた。
久しぶりに、自分が「女になった」ような気がした。
だって、夫婦連れなんてみんな旦那に荷物を持たせるでしょう?
「いれば便利だな」って思っちゃった。こっちは大荷物なんだから。
トイレットペーパーやタオルペーパーも、寮の備品は私が補充している。
今日は車があるからと思って、洗剤類もまとめ買いした。
――よし、これで当分は買わなくていいぞ。
買い物を片付け終わってふと見ると、川瀬先生はソファで寝ていた。
気持ちよさそうな顔をしている。
きっとお腹も空いていたんだろうけど、催促はしないんだな。
前の夫とは大違いだ。あの人は、こっちが何をしていようと「腹が減ったら飯!」だったから。
でも川瀬先生は、こうやって自分が我慢する人なんだ。
――よし、お昼ごはんを作ろう。
お弁当はあるけど、温かい汁ものがいいかなと思って、おうどんを二人分作った。
「川瀬先生、お昼ですよ」
「うん、あっそう? お腹空いた、食べようかな」
私がおうどんを出していたら、先生がじっと見ている。
「川瀬先生もおうどんを食べますか? 一応二人分作ったんだけど……」
「うん、食べる!」
急に笑顔に変わった。……ふふふ、なんだか小学生みたい。
おうどんを出してあげると、フーフーしながら勢いよく食べている。
「ああ、ちょっと待って、ゆっくり食べた方がいいかも~」
そう言うと、ニヤッと笑って――「忘れてた!」だって。
川瀬先生にはお弁当もあるんだよね。
「お弁当も温めましょうか?」
「はい、お願いします」
お弁当を温めていると、他の寮生たちがやって来た。
川瀬先生のおうどんを見るなり、わっと寄って来る。
「ええ~? いいなあ~川瀬先生は。寮母さんに作ってもらったの?」
ウプッと喉を詰まらせながら、先生が笑っていた。
西村「今日は朝から棚卸やスーパーの買い物を手伝ってくれたの。だからいいでしょう?」
そう言うと、みんな「はーい!」とあっさり納得したみたい。
全く……皆、頭はいいくせに子どもなんだから。
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