診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第9章 内定した方の為に

164話 菜の花タイムズの反響

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 その後、紆余曲折を経て、各部長たちが途中入職者向けのスケジュールを作成し、菜の花タイムズに掲載してもらった。
これにより、入職日の予約を受け付けることになった。

一番人気は2か月前、つまり10月1日。

スケジュール的に10月から本格始動することが分かるから、誰だってその日に入りたくなる。

ただし寮の入居は9月初旬に集中していた。――つまり「1か月のんびりしたい」ということだろう。

まあ、それもご褒美だ。ゆっくり休んでくれればいい。

きっと辞めるにあたってはいろんな戦いやストレスがあったはずだから。

例の都内の三次救急病院……恨まれるだろうな。潰れないか少し心配だ。

下手をすると救急患者の受け入れ制限に追い込まれるかもしれない。

なにせ救命医3名、救命ナース3名、ICUナース2名――計8名が一度に辞めるのだから。

病院にとっては死活問題だ。

だが、あの救命医が言った通り「潰れても良いコマ扱い」しかしてこなかった。その責任は病院側にある。

そんな折、岩城から「今夜そっちに行く」と連絡があった。
サテの寮で川瀬と飲みたいらしい。面白そうだ。

サテのリビングに入ると、西村主任と川瀬、それに岩城がもう来ていた。
主任は忙しそうに台所仕事をしている。

「よっ、元気か?」岩城はやたら元気そうだ。
寮生が一斉に来るのは20時。それまでは人も少ない。

「どうした?急に。何かあったのか?」

岩城「おい……何だよ、あの菜の花タイムズは! 全国の病院関係者が見て度肝を抜いたと思うよ。医者と技師が100%集まった? あれ、本当なのか?」

ふっと笑った。こうなると、こっちも余裕が出る。

「マジだよ。ウソ書くわけないだろ?」

岩城「一体どうやって全部集めた? まだ募集始めて2か月だろ? 俺、院長に嫌味を言われたぞ」

「ククク、何て?」

岩城「“岩城君、菜の花は医者や技師を全部採用したそうだけど、あれは本当かね?見栄張ってるんじゃないの?”だとよ」
院長の口真似までして笑わせる。

川瀬「だから本当だって言ったろ?」

俺はついヘラヘラ笑ってしまった。……ああ、気分がいい。

「じゃあ、明細見せてやろうか」

携帯に移しておいた医師や技師のリストを見せる。

岩城はしばらくスクロールを続け、現職病院の名前まで一つひとつ確認していた。

やがて――ふう、と深いため息。

「これで信じたか?」

岩城「……まあ、ちょっと待て」

川瀬「実際リスト見た方がびっくりしてんじゃない? ぷっ」

くすくすと笑う川瀬。

「明日、院長に伝えてくれ。“全部事実です”って。外科医だけで8名いるし、宮本君を入れたら9名だ。救命医も4名、麻酔科医は5名いるから手術体制も万全。臨床工学士も5名揃ってる」

――ああ、今が最高に嬉しい。この瞬間が至福だ。

岩城「……俺、すげえとこに来るんだな。はぁ~……予想以上だよ。まいった。完全にまいったよ」

「うちに来たら忙しいぞ。やることが山ほどある。なんせ指導してもらわないといけないしね。外科医なんて全員、岩城狙いなんだから。頼むよ」

笑いながらも、俺は涼しい顔のままだった。

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