207 / 357
第11章 新しいステージへ
205話 目ぱちくり
しおりを挟む
翌日もまだ吐き気が残り、頭痛も収まらなかった。
青山先生が往診に来てくれた。
呼んだわけではなさそうだから、夏の顔が見られない。
しょうがないから、目をつぶっていた。
「院長、具合はどうですか?」
声をかけられて目を開けると、青山先生が少し笑っていた。
……ダメだ。向こうが笑うと、俺もつられて笑ってしまう。
ちょっと堪えるのが苦しくて、横を向いた。
「はい、ありがとうございます。わざわざすみません」
ちらっと夏の顔を見ると、横を向いていた。ぷっ。
「今日は吐き気や頭痛、腹痛はどうですか?」
「まだちょっと残ってますね。なんとか連休が始まるまでに収まらないでしょうか?」
「う~ん……どうかなあ? あと2日くらい点滴をしたら、効果が出てくると思いますけどねえ」
「はい、じゃあお願いします」
「点滴の中にいろいろな薬を入れておきますからね。多分、大丈夫だと思いますよ。
それまでゆっくり仕事を休めばいいじゃないですか?」
青山先生が意味ありげに、目をぱちぱちさせた。
……もう~、また吹き出しそうになった。
「では、また様子を見に来ますね。失礼します」
「理事、処方を出しますので、点滴をお願いしていいですか?」
「はい、わかりました。ありがとうございました」
そして彼は帰っていった。
「お兄さん、点滴をもらってくるね」
「うん、ありがとうね……夏、ちょっとそばにおいで」
「なあに?」
両手を出して抱きしめた。そしてキスをした。
リスのような、かわいい目で俺を見つめる。……反則だ。
「い……って来るね」
「うん、頼むね」
そのまま、また眠ったようだ。
知らない間に点滴が始まっていた。
夏は心配げに俺を見つめていた。
「夏、ずっとそこにいたの?」
「うん、ずっとお兄さんのそばにいるよ」
「連休のホテル、まだ予約したままだよね?」
「うん、まだ分からないから、そのままにしてる」
「いいよ。俺もきっと治ってると思うから、一緒に出かけよう」
夏は俺の胸に顔を寄せた。
「お兄さん、無理しなくていいよ。桃香や莉子は俺が連れていくよ。
お兄さんは家でゆっくり休んでていいよ」
「俺を連れて行かないつもりか?」
「ええ?」と夏が笑った。
「うん。分かった、みんなで行こう。お兄さんはホテルで寝てればいいよ」
……ああ、結局思い通りになってしまった。
でも、これは不可抗力だよ。
それから28日になって、ようやく仕事に復帰した。
ずっと休んでしまったので、朝礼で挨拶とお礼を伝えた。
なんせ、明日からまた休みが続くから、申し訳ないしね。
山科看護部長が言った。
「院長、連休中に身体を壊さないでくださいね。
やっぱり院長が寝込んでると、みんな元気がなくなるんですよ。知らないと思いますが」
花井部長も笑いながら言う。
「そうですよ。俺ではどうもダメみたいですよ」
桐生君がそばでニヤニヤしていた。
……なんか言いたいのか?
「桐生君、何か言いたいことがあるの?」
「いえ、みんな同じだなあと思ったんですよ。
みんなも、なんだか表情が冴えない感じになるんですよね」
「へえ~、そうなの?」
……残念だ。今度は録画して見せてもらおうかな?
青山先生が往診に来てくれた。
呼んだわけではなさそうだから、夏の顔が見られない。
しょうがないから、目をつぶっていた。
「院長、具合はどうですか?」
声をかけられて目を開けると、青山先生が少し笑っていた。
……ダメだ。向こうが笑うと、俺もつられて笑ってしまう。
ちょっと堪えるのが苦しくて、横を向いた。
「はい、ありがとうございます。わざわざすみません」
ちらっと夏の顔を見ると、横を向いていた。ぷっ。
「今日は吐き気や頭痛、腹痛はどうですか?」
「まだちょっと残ってますね。なんとか連休が始まるまでに収まらないでしょうか?」
「う~ん……どうかなあ? あと2日くらい点滴をしたら、効果が出てくると思いますけどねえ」
「はい、じゃあお願いします」
「点滴の中にいろいろな薬を入れておきますからね。多分、大丈夫だと思いますよ。
それまでゆっくり仕事を休めばいいじゃないですか?」
青山先生が意味ありげに、目をぱちぱちさせた。
……もう~、また吹き出しそうになった。
「では、また様子を見に来ますね。失礼します」
「理事、処方を出しますので、点滴をお願いしていいですか?」
「はい、わかりました。ありがとうございました」
そして彼は帰っていった。
「お兄さん、点滴をもらってくるね」
「うん、ありがとうね……夏、ちょっとそばにおいで」
「なあに?」
両手を出して抱きしめた。そしてキスをした。
リスのような、かわいい目で俺を見つめる。……反則だ。
「い……って来るね」
「うん、頼むね」
そのまま、また眠ったようだ。
知らない間に点滴が始まっていた。
夏は心配げに俺を見つめていた。
「夏、ずっとそこにいたの?」
「うん、ずっとお兄さんのそばにいるよ」
「連休のホテル、まだ予約したままだよね?」
「うん、まだ分からないから、そのままにしてる」
「いいよ。俺もきっと治ってると思うから、一緒に出かけよう」
夏は俺の胸に顔を寄せた。
「お兄さん、無理しなくていいよ。桃香や莉子は俺が連れていくよ。
お兄さんは家でゆっくり休んでていいよ」
「俺を連れて行かないつもりか?」
「ええ?」と夏が笑った。
「うん。分かった、みんなで行こう。お兄さんはホテルで寝てればいいよ」
……ああ、結局思い通りになってしまった。
でも、これは不可抗力だよ。
それから28日になって、ようやく仕事に復帰した。
ずっと休んでしまったので、朝礼で挨拶とお礼を伝えた。
なんせ、明日からまた休みが続くから、申し訳ないしね。
山科看護部長が言った。
「院長、連休中に身体を壊さないでくださいね。
やっぱり院長が寝込んでると、みんな元気がなくなるんですよ。知らないと思いますが」
花井部長も笑いながら言う。
「そうですよ。俺ではどうもダメみたいですよ」
桐生君がそばでニヤニヤしていた。
……なんか言いたいのか?
「桐生君、何か言いたいことがあるの?」
「いえ、みんな同じだなあと思ったんですよ。
みんなも、なんだか表情が冴えない感じになるんですよね」
「へえ~、そうなの?」
……残念だ。今度は録画して見せてもらおうかな?
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
網代さんを怒らせたい
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」
彼がなにを言っているのかわからなかった。
たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。
しかし彼曰く、これは練習なのらしい。
それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。
それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。
それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。
和倉千代子(わくらちよこ) 23
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
デザイナー
黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟
ただし、そう呼ぶのは網代のみ
なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている
仕事も頑張る努力家
×
網代立生(あじろたつき) 28
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
営業兼事務
背が高く、一見優しげ
しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く
人の好き嫌いが激しい
常識の通じないヤツが大嫌い
恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる