診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第12章 夏デビューへ

225話 合宿所のサプライズランチ

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 日曜の朝、VOXIVE(ヴォクシヴ)の合宿所に行くと、シーンとしていた。

入っていいのかな?と思っていたら、メールをしておいた夏が出てきた。

夏「今日は休みだから、みんなぐっすり寝てるんだよ」

莉子も桃香も一緒だったので、「しーっ」と桃香に静かにするように言った。

「勝手に作るから、まだ寝てていいよ」と夏に言ったんだけど、「お兄さんのそばにいたい」と言うから、しょうがない。

そして夏がたこ焼きの準備を始めた。

莉子は浅漬けやサラダを器に移して、冷蔵庫に入れてくれた。

取り皿や小鉢、カレー皿の準備もしてくれた。

「夏、今日は何人くらいいるの?」と小さな声で聞いた。

そしたら「メンバーしかいないんだ」って。

へえ~、そんな日もあるんだねえ。

「じゃあ、多すぎるかな?」と聞いたら、「夜も喜んで食べるよ」と言ってくれた。

そろそろ全部できあがるかな、という頃に、廊下から足音が聞こえてきた。

「あれ? なに……すげえいい匂いがするじゃん!」って声が聞こえてきた(笑)

そして部屋に入ってきた瞬間、「ええー!? びっくりしたー!」

皆が一斉にやってきて、笑顔で料理のそばに集まってきた。

「すげえ~いい匂いだよ。何これ? 旨そうじゃん」

「良かったら、みんな食べてくれる?」

KAI君が夏に「お前、やってくれたね!」と言って、ハイタッチをしていた。

そして「莉子さんに桃香ちゃんまで来てくれたの? ありがとう」と、桃香と握手していた。

もう桃香が大喜び。学校で自慢するって言っていた。誰かに似てるな。

「みんな座って。朝からこんなに食べられる?」

「いえ~い!」と声が揃って、思わず笑ってしまった。

莉子もサラダを取り分けたり、浅漬けを出したりしていた。

莉子「デザートもあるのよ」

「何ですか?」

莉子「私が作ったカッサータよ」

これを冷たいままで持ってくるのが大変だったんだよ。

「ええ? なんだろう? 聞いたことないよ」

莉子「えへへへ、食べてからのお楽しみ~」

その日は大いに盛り上がって、みんな喜んで食べてくれた。

夏もせっせとたこ焼きを焼いていた。

材料を残しても仕方ないから、作りきって冷凍するつもりだと言っていた。

「夏はいいなあ~。こんなやさしいお兄さんや家族がいてさ。うらやましいよ」って誰かが言った。

「そうだよ。夏もこの公演が終わったら戻った方がいいよ。芸能界より、よほど幸せだと思うよ」

「夏、言われてるよ。どうするの?」

夏「俺、まだ本番に出られるかどうかもわからないからさ。出られたら考えるよ。それに期間限定だから、ちょうどいいんだよ」

「そうだよ。それくらいが一番楽しいんだよ。医者という立派な仕事があるんだからさ、もったいないよ」

「そうだよ」と誰かが言った。

「ところで、整体師さんにやってもらってどうだった? 効果あったの?」

「あー、あった! あった!」とRYU君が叫んだ。

「俺、信じられないんだけどね。3日くらいで治ったんだよ。別に休んでたわけじゃないよ。練習しながら治ったっていうのがすごいんだよね」

「そうだよ。俺も今回は本当に身体がリセットできたもん。びっくりしたよ。もう年だから無理かと思ってたよ」

「きっと今までの疲れで歪みが出てたんじゃないの? それを整えてくれたんだと思うよ」

「院長先生が呼んでくださったんですよね? 本当にありがとうございました」

そしたら、みんなが次々にお礼を言ってくれた。こそばゆい。

「いえいえ、どういたしまして。治したのは俺じゃないけどね」

「それとね、ちょっと気になってることがあるんだけど、公演中に息が切れて呼吸が苦しくなることはないの?」

「ああ……それは当たり前というか、そこを乗り切らないと続けられないから、いつも気絶しそうになるんだけどね」

「うん、わかった。じゃあ今度、酸素を用意するから。公演中にも舞台袖で酸素を吸うと、呼吸が楽になるし、回復も早くなるんだよ。あと、リハーサルの時や、疲れてバテた時も、ちょっと酸素を吸うだけでも楽になると思うから、社長にお願いしてみるよ」

「うわ~ありがたいです。今回の公演は、夏が来てくれたから、最高のコンディションになりそうです」
KAI君がすごく喜んでくれた。

後日、黒田社長が承諾してくれたそうで、酸素を6人分、用意してくれた。

ただ、酸素にも容量があるので、どれくらい使うと無くなるかを教えておいた。

不足するようなら、本番には予備を用意した方がいいからね。

この子たちはずっと踊り続けるから、息が切れて当然なんだよね。

いつまでも続けられるものでもないしさ。

身体を大事にしてほしい。

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