268 / 357
第14章 2号館がオープンへ
266話 夏輝・エージェント契約解除
しおりを挟む
その後の話し合いでは、向こうの社長も「まずかった」と思ったらしく、
あれこれ言い訳を並べていたが、こちらは証拠をすべて揃えていた。
岡田弁護士が、淡々と契約解除に向けた説明をしてくれた。
それに加えて、オリオンの名前で正式に告示を出すよう強く求めた。
もしそれを拒むなら、慰謝料を請求する、と。
夏とKAI君の名誉は、きちんと回復されなければならない。
後日、オリオン側から返答が届いた。
エージェント契約の解除を了承し、告示も出すという。
それならばと、慰謝料の請求は見送ることにした。
KAI君も、とんでもない目に遭った。
本当に、かわいそうに……。
芸能界には、こういうことが山ほどあるんだろうな。
夏に「もしKAI君が事務所を出るようなことがあったら、こっちにおいでって声をかけてみたら?」と伝えたら、
久しぶりにニヤッと笑って、「言っとくよ」と答えていた。
その笑顔が戻ってきたことが、何より嬉しかった。
今回の件では、俺も本当にいろいろ勉強になった。
まったくの畑違いだから、驚くことばかりだ。
夏はその後、気を取り直して、ボーカルとダンスのレッスンに通っている。
ただ、今は独りぼっちでやっているらしい。
……なんとかしてやりたいけどな。
*
やがて、「夏がオリオンを辞めた」というニュースは、あっという間に広まったようだ。
すると、それまでなかったような問い合わせが、次々と舞い込むようになったという。
こっちの音楽事務所に所属したいという新人やグループ、
歌手志望、俳優志望、なぜかモデル志望まで——。
桐生さんが「新たな段階に入った」と言っていた。(笑)
怖い……。
なんでモデル志望までうちに来るんだよ?
うちは、ただの芸能事務所か?
夏は、グループでの歌唱ができなくなったことで、
「夏のまわりで踊ってくれるメンバーを、オーディションで公募してはどうか」という話が出た。
一人で歌うのもいいけれど、ハーモニーが入ると音に厚みが出るし、
ステージでのアピール度も高くなるらしい。
ダンスも、仲間と切磋琢磨した方が楽しいし、
舞台映えの面でも、バリエーションが必要だという。
一人で歌っても、舞台ではどうしても動きに限界がある。
観客を飽きさせないためにも、ダンサーたちの存在は欠かせない——と。
スタッフの芹沢さん、神崎さん、藤堂さんまでが、口を揃えてそう言う。
ふ~ん……。
今では、あそこ(音楽部門とアニメ部門)は、すっかり一つのチームになっている。
まあ、話は筒抜けだし、皆プロだから、経験も豊富だ。
ただし——
桐生「練習場所、つまり音楽スタジオが必要です」と言われた。
アハハハ……またお金がかかるぞ。
ついでに寮も必要になるな。俺の予感だけどさ。
もう、俺は知らない。
せっかく病院が落ち着いたんだから、
このまま静かに過ごさせてくれよ……。
あれこれ言い訳を並べていたが、こちらは証拠をすべて揃えていた。
岡田弁護士が、淡々と契約解除に向けた説明をしてくれた。
それに加えて、オリオンの名前で正式に告示を出すよう強く求めた。
もしそれを拒むなら、慰謝料を請求する、と。
夏とKAI君の名誉は、きちんと回復されなければならない。
後日、オリオン側から返答が届いた。
エージェント契約の解除を了承し、告示も出すという。
それならばと、慰謝料の請求は見送ることにした。
KAI君も、とんでもない目に遭った。
本当に、かわいそうに……。
芸能界には、こういうことが山ほどあるんだろうな。
夏に「もしKAI君が事務所を出るようなことがあったら、こっちにおいでって声をかけてみたら?」と伝えたら、
久しぶりにニヤッと笑って、「言っとくよ」と答えていた。
その笑顔が戻ってきたことが、何より嬉しかった。
今回の件では、俺も本当にいろいろ勉強になった。
まったくの畑違いだから、驚くことばかりだ。
夏はその後、気を取り直して、ボーカルとダンスのレッスンに通っている。
ただ、今は独りぼっちでやっているらしい。
……なんとかしてやりたいけどな。
*
やがて、「夏がオリオンを辞めた」というニュースは、あっという間に広まったようだ。
すると、それまでなかったような問い合わせが、次々と舞い込むようになったという。
こっちの音楽事務所に所属したいという新人やグループ、
歌手志望、俳優志望、なぜかモデル志望まで——。
桐生さんが「新たな段階に入った」と言っていた。(笑)
怖い……。
なんでモデル志望までうちに来るんだよ?
うちは、ただの芸能事務所か?
夏は、グループでの歌唱ができなくなったことで、
「夏のまわりで踊ってくれるメンバーを、オーディションで公募してはどうか」という話が出た。
一人で歌うのもいいけれど、ハーモニーが入ると音に厚みが出るし、
ステージでのアピール度も高くなるらしい。
ダンスも、仲間と切磋琢磨した方が楽しいし、
舞台映えの面でも、バリエーションが必要だという。
一人で歌っても、舞台ではどうしても動きに限界がある。
観客を飽きさせないためにも、ダンサーたちの存在は欠かせない——と。
スタッフの芹沢さん、神崎さん、藤堂さんまでが、口を揃えてそう言う。
ふ~ん……。
今では、あそこ(音楽部門とアニメ部門)は、すっかり一つのチームになっている。
まあ、話は筒抜けだし、皆プロだから、経験も豊富だ。
ただし——
桐生「練習場所、つまり音楽スタジオが必要です」と言われた。
アハハハ……またお金がかかるぞ。
ついでに寮も必要になるな。俺の予感だけどさ。
もう、俺は知らない。
せっかく病院が落ち着いたんだから、
このまま静かに過ごさせてくれよ……。
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
網代さんを怒らせたい
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」
彼がなにを言っているのかわからなかった。
たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。
しかし彼曰く、これは練習なのらしい。
それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。
それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。
それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。
和倉千代子(わくらちよこ) 23
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
デザイナー
黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟
ただし、そう呼ぶのは網代のみ
なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている
仕事も頑張る努力家
×
網代立生(あじろたつき) 28
建築デザイン会社『SkyEnd』勤務
営業兼事務
背が高く、一見優しげ
しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く
人の好き嫌いが激しい
常識の通じないヤツが大嫌い
恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる