男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ

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歌詞とダンス

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(作詞…どうしよう…)

ある日の夜。
樹はまた詰まっていた。
メロディラインは出来たものの、まだ曲は完了ではない。
メロディももちろん大事だが、歌詞はそれ以上に大事だ。
聞いてくれる人に自分たちの想いが伝わらなければ意味がない。

(キラキラした歌詞かー)

樹は一人目を閉じた。
濃密な学園生活を改めて振り返ってみる。
ここに来て、自分は色々な人に関わった。
みんな、夢に向かって一生懸命学んだり、活動している。

(みんな、キラキラしてる。そうだよ、キラキラしてない人なんていない)

樹は思った。キラキラ、それはこの学園に通っている人だけに限らない。
この世界に生きている人、みんなが自分の色で輝いている。樹は目を開けた。やっと次の展開が見えた気がする。

(みんなが元気になれる歌を作ろう!アイドルの原点だ)

まだ自分は曲を作り始めて日が浅い。
きっと、今は拙いものしか書けないこともよく分かっている。
だがそれでも、今の自分にしか書けない詩があるはずだ。樹はシャープペンシルを走らせた。
勢いに任せて歌詞を書く。
変だったら後でいくらでも直せばいい。
健悟や、他のみんなに相談だってできる。
自分は一人じゃないのだ。

「いっくーん!」

樹はハッとなった。
克樹が上から抱き着いてくる。
克樹は次のステージに向けてダンスの練習をしていた。

「かっちゃん、お疲れ様」

「うん。それ、新曲の歌詞?」

「そう、どうかな?」

克樹が歌詞を読んでいる。
そして歌い始めた。
出来たばかりのメロディラインをもう覚えているらしい。

克樹は小さな頃から歌が上手い。
樹が歌をせがむと、いつも歌ってくれた。
歌詞が不自然だな、と思われたところに、樹はチェックを入れていく。

「どう?」

「かっちゃんはすごいなぁ。もう歌えるんだ」

樹が思ったままのことを言うと、克樹が笑う。

「まだまだだよ。みんなで踊りながら歌うんでしょ?振り付けとかどうすんの?」

「うん、ダンスの振り付けは牡丹先生にお願いしてる。これからますます忙しくなりそうだね」

「燃えるー!」

樹は笑ってしまった。

「ね、いっくん」

そっと抱きしめられる。そして、頬に軽くキスされた。樹の顔が一気に熱くなる。克樹に愛されていると知ってからは尚更だ。

「大好きだよ、いっくん」

「俺も大好きだよ」

兄弟で愛し合うのは本当はよくないのかもしれない。
だがお互いにお互いを必要としている。

樹はそれくらい克樹を欲していた。
それが克樹も一緒だったらとても嬉しい。

「かっちゃん、好きでいてごめんね」

樹は克樹にしがみつきながら言った。

「ううん、それは俺も同じだよ。俺はずっといっくんが大事。
どんな関係になってもそれは変わらないよ」

克樹のそんな言葉が嬉しかった。
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