男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ

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新曲完成?!

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「かっちゃん、お願いがあるんだけど」

演奏会の次の日の夕方、樹は当然のように自分の部屋にやってきた克樹にそう切り出した。
昨日、この間克樹が歌って、音や字数が不自然だと感じたワードを直してみたのだ。

今度こそ、という気持ちが樹にはあった。
牡丹も曲を聞いて、ダンスの振り付けを考え始めてくれているらしい。詞の完成はみんなが楽しみにしてくれている。
曲がなかなか好評だったので尚更だ。

MVを作る大変さに樹は目が回りそうだった。
だが、ここで弱音を吐いている場合ではない。
プロデューサーになりたいなら一つでも多く経験値を上げることだ。
昨日、渚にもそう励まされた。樹はそれで迷いを捨てた。行けるところまで行ってみよう、そう思った。


「なぁに?頼みって?」

「これ、もう一度歌ってみてくれない?」

「わ、もしかして歌詞直したの?」

「うん。それで良ければ皆にデモテープ作りたい。かっちゃん、協力してくれる?」

「もちろんだよ!」

克樹がすう、と息を吸う。
彼は歌い始めた。
伸びやかな優しい声だった。
樹は嬉しくなった。
自分の作った曲を歌ってもらえる嬉しさは何にも代えられないだろう。

「んー、Bメロのここ早口だよね。練習しなくちゃね」

「どうしよう?言い回しを変えようか?」

「ううん、このままの方が気持ち伝わる」

何度も克樹と細かい部分について話し合った。

「よし、櫻木先輩に聞いてもらおう」

「え?健悟先輩呼ぶの?」

樹はスマートフォンを振った。

「呼ぶよー」

「あぁあ、すっかり仲良しになっちゃって。いいことだけど」

克樹が頭を抱えているので、樹は笑ってしまった。

「なんで櫻木先輩が苦手なの?」

樹は前から気になっていたことを聞いてみた。

「だってさー、健悟先輩ってめちゃくちゃイケメンでしょー?
いっくん取られちゃいそうでさ…」

「取られないよ。確かに櫻木先輩はかっこいいけど、俺はちゃんと…」

「ただいまー」

かちり、とドアが開いて風が帰ってきた。
今日も衣装を家庭科室で作っていたのだろう。
片手にはミシンを持っている。

「あ、風!お帰り!」

樹は話を誤魔化そうと風に視線を向けた。
今この告白は恥ずかしすぎる。
克樹もなにも言わなかった。

「克樹、調度よかった。
衣装のパンツなんだけど、試着してみてくれない?」

「わ、やったあ!俺がなんでも一番だね!」

風がそれに首を傾げているので、樹は歌詞が完成したことを風に告げた。

「へえ!ついに完成したんだ!
それなら櫻木先輩に聞いてもらわないとね」

「今から健悟先輩、呼ぶんだよねー、いっくん」

「うん」

克樹が着替え終わったようだ。風が細かい部分を調整している。

「僕は構わないよ。ついでにみんなのイメージカラーの案出したいし」

風がそう言ってくれたので、樹は健悟に電話を掛けたのだった。
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