男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ

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ダンスレッスン

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「ちがーう!もっとそこは元気よく!」

ここは学園の敷地内にある庭だ。
グラウンドほど広くはないが、4人でダンスの練習をするには十分である。
牡丹が今日の放課後からダンスの練習を見てくれている。曲作りも無事に完了したので、ようやく次の段階に進むことが出来た。
先程から牡丹の細かな指導が入っている。
彼女は自分の仕事をこなしながら、他のユニットのダンスも見ているはずだ。その体力には驚かされる。

「もう一度よ!」

樹はその練習風景を遠目から眺めていた。
皆、運動神経はいい。すぐに振り付けを覚えてしまった。
牡丹が先程から指摘しているのは全員のダンスが揃っているかどうかだ。

前に風も言っていたが、チームで踊るダンスは揃っていたほうがかっこいいという。
樹にもその理由がよく分かった。
牡丹の指導でだんだん良くなってきているのも分かる。

「ね、樹くん」

ふわっと上から声が降ってきて、樹は驚いた。
こんなことが前にもあったなと、既視感を覚える。

「よっと」

ふわり、と樹のそばに舞い降りてきたのはもちろん真城だ。彼には見えない翼があるのだろうか。不思議な人であるのは間違いない

「真城先輩も練習見てたんですね」

「うん、だって僕、一応撮影係だし。
やっぱりカッコいいMV撮りたいじゃん」

真城の熱のこもった言葉が心強い。
樹は考えた。
アーティストのMVは健悟や楓と一緒に見られるだけ見た。
やはりアイドルならダンスシーンが主体になるだろう。
樹はそのような背景も含めて説明した。

「なるほど…ダンス。
でもちゃんと歌ってるシーンも欲しくない?」

真城の言葉に樹は頷いていた。
つい欲張りになってしまう。

「僕、編集作業得意だから樹くんに軽く教えてあげる」

「わぁ、嬉しいです!」

「樹くん、ちょっと来て」

真城に手を掴まれて引っ張られる。
やって来たのは牡丹のそばだった。
今は休憩中らしい。


「ね、牡丹先生?動画撮っていい?」

「もちろんよ。ダンスの改善にも繋がるし勉強にもなるわ」

「やったあ!」

真城が取り出したのはビデオカメラだった。
年季が入っていそうだ。

真城がパフォーマーの4人に手を振っている。

「これから動画撮るからかっこよく踊ってよねー!」

パフォーマー全員を取り囲んでいた空気が張り詰める。
やはり皆、アイドル科にいるだけある。
カメラが入るとより集中できるようだ。

「じゃ、もう一度通して踊ってみましょう。今日はそれでおしまいにするわ」

牡丹が言う。
練習時間は限られている。
オーディションまでに仕上げていかなければいけない。
曲が流れ始めた。
樹はそれをワクワクしながら見ていた。
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