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宿題
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「おーし。お前ら、やるぞ!宿題なんてとっとと終わらせてやる!」
健悟の言葉に「seasons」のメンバー各々が返事をする。
今日は夏休み一日目。
朝から講義室に集まって、ダンスレッスンの前に夏休みの宿題をしてしまおうということになった。
校内には空調もあり、快適だ。
昨日の夜、急に健悟からそんなメッセージが届いたので思い付きで言ったのだろう。
特に異を唱える者もいなかったので、皆でこうして課題をしている。
「ねえねえいっくん、ここどうやるの?」
チョイチョイと隣から肩を叩かれて、樹は克樹の方に顔を寄せた。
「どれ?」
克樹が問題の書いてあるページをまるっと示す。それは数学の課題だった。
「ここ全部わかんない」
「おぉ」
樹も流石に驚いてしまう。
「じゃあまずは基礎を…」
「オイ」
樹の言葉を遮ってやって来たのは健悟だった。
克樹の胸ぐらをぐい、と掴む。
「俺がこの夏休み、直々に全教科教えてやる。有り難く思え」
「ひええー!」
ずるずる、と克樹は引っ張られていった。
しょっぴかれたという表現が相応しかったかもしれない。
「克樹、大丈夫かな」
風が後ろの席から小声で言ってきたので、樹も苦笑するしかなかった。
前の席で克樹が健悟に問題の解き方を教わっている。
(かっちゃんも頑張ってる。それなら俺も)
樹は目の前の課題に集中した。
✣✣✣
「むわぁ、美味あ」
結局、勉強は昼まで続いた。
皆でやると不思議なもので、やる気が湧いてくる。三時間ほど勉強したが、一人でやる時より遥かに捗った。
今は食堂でお昼を食べている。
今日は大きなホットドッグだった。
マスタードとケチャップがたっぷりかけられている。ソーセージを噛むと、パリッと音がして肉汁が溢れてくるのが美味い。
樹はホットドッグをもう一口頬張った。
他にサラダとオニオンスープ、ゼリーが付いてきた。
夏休みになって、生徒は随分減ったが、樹達のようにオーディションを受ける生徒が残っているようだ。
あくまでオーディションなので勝ち負けではない。
学長の目に留まればいい。
樹は周りの生徒に対して、あまりライバル心は抱いていない。
みんな持ち味が違うのだ。
自分のやりたいようにやるべきだと感じている。
「かっちゃん、宿題どうだった?」
樹が尋ねると、克樹が照れたように笑う。
「うん、教科書に全部書いてあった。健悟先輩のお陰で応用も解けるようになったよ」
相変わらず克樹の伸びしろは大きい。
自分にはない才能だ。
「午後はダンスの練習かぁ。
踊りながら歌うって難しそう」
「そうだよね」
ずっと聞き役に回っていた風が頷く。
「いっくん達はこれから衣装を作るの?」
「うん、風が頑張ってくれたお陰でもうすぐ完成するよ」
「イメージカラーも入ったから早くみんなに見せたいなぁ」
「わぁ、楽しみ!
風、ありがとう!」
お昼を食べ終えて、克樹を見送った。
家庭科室に入ると真城がカメラを弄っている。
「お疲れ様です、真城先輩」
樹が声を掛けると、彼はようやく顔を上げた。
「あ、お疲れ様。
衣装を作るんだよね?手伝うよ」
「真城先輩、いつもありがとうございます」
家庭科室にはミシンが5台ほど置いてある。
ミシンは風に任せる。真城は布を切りアイロンをかけ、樹はできる範囲でしつけをした。
風の作業は早い。
どんどん先に進んでいく。
みんなでこうして一つのものを作り出すのは楽しい。中学の時の文化祭を思い出す。
「樹、見て」
風に声を掛けられる。テーブルの上に、衣装一式が置かれていた。全員分ある。
「こんな感じになったよ」
「わぁ!すごい!!」
カーディガンやニットベストは夢プロの制服に使っているものをそのまま使うらしい。
ネクタイは百円均一のものらしい。
予算の関係上仕方がなかったのだろう。
着方は自由だと風が言っていた。
「明日、調整するからね」
「楽しみだなぁ」
明日が今から待ち遠しい。
健悟の言葉に「seasons」のメンバー各々が返事をする。
今日は夏休み一日目。
朝から講義室に集まって、ダンスレッスンの前に夏休みの宿題をしてしまおうということになった。
校内には空調もあり、快適だ。
昨日の夜、急に健悟からそんなメッセージが届いたので思い付きで言ったのだろう。
特に異を唱える者もいなかったので、皆でこうして課題をしている。
「ねえねえいっくん、ここどうやるの?」
チョイチョイと隣から肩を叩かれて、樹は克樹の方に顔を寄せた。
「どれ?」
克樹が問題の書いてあるページをまるっと示す。それは数学の課題だった。
「ここ全部わかんない」
「おぉ」
樹も流石に驚いてしまう。
「じゃあまずは基礎を…」
「オイ」
樹の言葉を遮ってやって来たのは健悟だった。
克樹の胸ぐらをぐい、と掴む。
「俺がこの夏休み、直々に全教科教えてやる。有り難く思え」
「ひええー!」
ずるずる、と克樹は引っ張られていった。
しょっぴかれたという表現が相応しかったかもしれない。
「克樹、大丈夫かな」
風が後ろの席から小声で言ってきたので、樹も苦笑するしかなかった。
前の席で克樹が健悟に問題の解き方を教わっている。
(かっちゃんも頑張ってる。それなら俺も)
樹は目の前の課題に集中した。
✣✣✣
「むわぁ、美味あ」
結局、勉強は昼まで続いた。
皆でやると不思議なもので、やる気が湧いてくる。三時間ほど勉強したが、一人でやる時より遥かに捗った。
今は食堂でお昼を食べている。
今日は大きなホットドッグだった。
マスタードとケチャップがたっぷりかけられている。ソーセージを噛むと、パリッと音がして肉汁が溢れてくるのが美味い。
樹はホットドッグをもう一口頬張った。
他にサラダとオニオンスープ、ゼリーが付いてきた。
夏休みになって、生徒は随分減ったが、樹達のようにオーディションを受ける生徒が残っているようだ。
あくまでオーディションなので勝ち負けではない。
学長の目に留まればいい。
樹は周りの生徒に対して、あまりライバル心は抱いていない。
みんな持ち味が違うのだ。
自分のやりたいようにやるべきだと感じている。
「かっちゃん、宿題どうだった?」
樹が尋ねると、克樹が照れたように笑う。
「うん、教科書に全部書いてあった。健悟先輩のお陰で応用も解けるようになったよ」
相変わらず克樹の伸びしろは大きい。
自分にはない才能だ。
「午後はダンスの練習かぁ。
踊りながら歌うって難しそう」
「そうだよね」
ずっと聞き役に回っていた風が頷く。
「いっくん達はこれから衣装を作るの?」
「うん、風が頑張ってくれたお陰でもうすぐ完成するよ」
「イメージカラーも入ったから早くみんなに見せたいなぁ」
「わぁ、楽しみ!
風、ありがとう!」
お昼を食べ終えて、克樹を見送った。
家庭科室に入ると真城がカメラを弄っている。
「お疲れ様です、真城先輩」
樹が声を掛けると、彼はようやく顔を上げた。
「あ、お疲れ様。
衣装を作るんだよね?手伝うよ」
「真城先輩、いつもありがとうございます」
家庭科室にはミシンが5台ほど置いてある。
ミシンは風に任せる。真城は布を切りアイロンをかけ、樹はできる範囲でしつけをした。
風の作業は早い。
どんどん先に進んでいく。
みんなでこうして一つのものを作り出すのは楽しい。中学の時の文化祭を思い出す。
「樹、見て」
風に声を掛けられる。テーブルの上に、衣装一式が置かれていた。全員分ある。
「こんな感じになったよ」
「わぁ!すごい!!」
カーディガンやニットベストは夢プロの制服に使っているものをそのまま使うらしい。
ネクタイは百円均一のものらしい。
予算の関係上仕方がなかったのだろう。
着方は自由だと風が言っていた。
「明日、調整するからね」
「楽しみだなぁ」
明日が今から待ち遠しい。
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