男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ

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屋上

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屋上まで一気に階段を駆け上がる。聞こえてきたのは克樹の歌声だった。
扉のノブを掴んで開けると、克樹が両腕を広げて歌っている。それが気持ち良さそうで、鳥だと反射的に思う。
克樹がこのままどこかへ飛んでいってしまいそうで、怖くなった。樹は叫んでいた。

「かっちゃん!!」

克樹が振り返って笑う。

「見つかっちゃった」

へへ、と克樹が照れたように笑う。
樹もつられて笑ってしまう。

「いっくん、聞いてくれる?変なとこないか」

「うん、聞きたい!かっちゃんの歌!」

樹は彼の前に座った。
克樹が大きく息を吸って歌い出す。
それはただひたむきに愛を訴え続けるものだった。克樹の純粋な愛は確かに樹に伝わってくる。

克樹が歌い終わる。そして、パチっとウインクした。
それに見惚れてしまう樹である。

「どう?いっくん」

「……」

「いっくん?」

つい曲の余韻に浸ってしまった。
樹は慌てて拍手した。

「う、うん。すごい良かったと思う」

「いっくん、涼しくなってきたし部屋に戻ろ!」

克樹に手を差し伸ばされ、樹はそれを掴んだ。

✣✣✣

「え!もう歌詞が出来たの?」

夕飯を食べながら克樹は風と疾風に歌詞の完成を報告していた。

「克樹の歌詞は思った通り、まっすぐだったな」

疾風が笑う。

「そ、俺が全力出せばこんなもんよ!
俺、これから頑張るんだ」

「克樹なら出来るよ」

風と疾風が頷いている。
樹も同じ気持ちだった。

克樹、疾風と別れて、樹は風と共に自分達の部屋に戻ってきていた。

「ね、克樹の歌詞よかったよね!」

風に問われて樹は頷いた。

「うん、びっくりした」

「きっと樹が作った曲だったから良かったんだよ!」

「そうだといいな」

(かっちゃんは、いつも俺に温かい気持ちをくれる)

ふと樹は思っていた。自分も何かで気持ちを返したいと。
だが、どうすればいいかわからなかった。

「明日、櫻木先輩に聞いてもらうんでしょ?」

「うん、ステージに出る練習しなくちゃいけないもんね!」

風はそれに燃えたらしい。
寝る直前まで衣装を作っていた。
樹も一緒にそれを手伝う。

「ね、ぶっちゃけ聞くんだけど二人って付き合ってる?」

「ごほっ!!」

風の言葉に、樹は思わずむせ返ってしまった。
これでは肯定していることに変わりない。

「やっぱりそうなんだ。僕は応援する。
好きって気持ちに兄弟だからとか関係ないと思うし」

「風。ありがとう」

ニコッと風は笑ってくれた。
消灯時間ギリギリまで二人は作業した。

「樹、もう寝なくちゃ」

「うん」

二人は慌ててベッドに入った。
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