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5年後の世界
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「ねえ、イツキ!僕にお菓子を買っておくれよ」
「え、さっきジュース買ってあげたじゃん」
「僕の体は今、チョコレートを欲しているよ!」
「仕方ないな」
樹は空港にいる。一緒にいるのは姪である命だ。
彼女は弱冠5歳にして芸能界デビューを果たしていた。とても聡明な子で、樹を兄のように慕ってくれている。ついこの間まで赤ん坊だったのに、と時の流れる速さに驚かされる。
(あれからもう5年も経ってるんだ)
5年前、樹達「seasons」はオーディション番組に無事出演した。
惜しくも曲のリリースとまではいかなかったが、反響はすごいものだった。
当然樹にも、その波はやってきた。
プロデューサーになるために本格的な勉強をしないかと、ある会社からスカウトが来たのである。
樹は克樹に後押しされ、夢プロに通いながらプロデュースの勉強を始めた。
毎日が忙しく大変だったが、とても充実していた。
そして今は小さい事務所のプロデューサーとして樹は働いている。
当然克樹もその事務所にアイドルとして所属している。
だが、最近はアイドル業から俳優業にとマルチに活躍している。
克樹は最近まで海外映画の撮影のため、1人遠征していた。そんな彼が今日帰ってくる。
会うのは半年ぶりだ。
なんだか緊張してしまう。
「イツキ、チョコレートはやはり美味だね!」
もぐもぐ、と命は、先程売店で買ってやった板チョコレートを頬張っている。
口の周りにはチョコレートがべったりと付いてしまっていた。
樹はしゃがんで彼女の口の周りをハンカチで拭ってやる。一応芸能人だ。
「あ!!」
命が叫ぶ。
「いっくぅーん!!」
後ろから抱き着いてきたのはもちろん克樹だった。樹は改めて、克樹の顔を見てほっとした。
「かっちゃん!」
「命も来てくれたんだね!」
「当然じゃないか!僕はイツキのおもりさ!」
「ははは…」
命には敵う気のしない樹である。
「命様!」
向こうから細身のパンツスーツの女性が駆け寄ってくる。彼女は命のマネージャーだ。
命をとても大事にしてくれる。
「む、どうしたんだい?」
「現場付近で事故が発生したとかで道がひどい渋滞らしくて。もうそろそろ出ませんと」
「了解したよ!イツキ、カツキ!僕はもう行くよ!」
ピシッと命は右手を額に当てて敬礼してずんずん歩いていく。
彼女達の姿を二人は見送った。
「いやぁ、相変わらずだね。命は」
「うん。頭のいい子だから」
「じゃ、帰ろっか」
克樹が差し出してくれた手を樹は握り返した。
いつものことながら嬉しい、と樹は思う。
克樹は自分を好きでいてくれている。
自分も克樹が大好きだ。
「え、さっきジュース買ってあげたじゃん」
「僕の体は今、チョコレートを欲しているよ!」
「仕方ないな」
樹は空港にいる。一緒にいるのは姪である命だ。
彼女は弱冠5歳にして芸能界デビューを果たしていた。とても聡明な子で、樹を兄のように慕ってくれている。ついこの間まで赤ん坊だったのに、と時の流れる速さに驚かされる。
(あれからもう5年も経ってるんだ)
5年前、樹達「seasons」はオーディション番組に無事出演した。
惜しくも曲のリリースとまではいかなかったが、反響はすごいものだった。
当然樹にも、その波はやってきた。
プロデューサーになるために本格的な勉強をしないかと、ある会社からスカウトが来たのである。
樹は克樹に後押しされ、夢プロに通いながらプロデュースの勉強を始めた。
毎日が忙しく大変だったが、とても充実していた。
そして今は小さい事務所のプロデューサーとして樹は働いている。
当然克樹もその事務所にアイドルとして所属している。
だが、最近はアイドル業から俳優業にとマルチに活躍している。
克樹は最近まで海外映画の撮影のため、1人遠征していた。そんな彼が今日帰ってくる。
会うのは半年ぶりだ。
なんだか緊張してしまう。
「イツキ、チョコレートはやはり美味だね!」
もぐもぐ、と命は、先程売店で買ってやった板チョコレートを頬張っている。
口の周りにはチョコレートがべったりと付いてしまっていた。
樹はしゃがんで彼女の口の周りをハンカチで拭ってやる。一応芸能人だ。
「あ!!」
命が叫ぶ。
「いっくぅーん!!」
後ろから抱き着いてきたのはもちろん克樹だった。樹は改めて、克樹の顔を見てほっとした。
「かっちゃん!」
「命も来てくれたんだね!」
「当然じゃないか!僕はイツキのおもりさ!」
「ははは…」
命には敵う気のしない樹である。
「命様!」
向こうから細身のパンツスーツの女性が駆け寄ってくる。彼女は命のマネージャーだ。
命をとても大事にしてくれる。
「む、どうしたんだい?」
「現場付近で事故が発生したとかで道がひどい渋滞らしくて。もうそろそろ出ませんと」
「了解したよ!イツキ、カツキ!僕はもう行くよ!」
ピシッと命は右手を額に当てて敬礼してずんずん歩いていく。
彼女達の姿を二人は見送った。
「いやぁ、相変わらずだね。命は」
「うん。頭のいい子だから」
「じゃ、帰ろっか」
克樹が差し出してくれた手を樹は握り返した。
いつものことながら嬉しい、と樹は思う。
克樹は自分を好きでいてくれている。
自分も克樹が大好きだ。
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