48 / 52
二人暮らし
しおりを挟む
「あー、お腹空いた」
家に着くなり克樹が冷蔵庫を物色している。
樹は克樹と二人で夢プロの敷地内にあるマンションに暮らしている。
二人で暮らしていることを他の人間にあまり知られたくないと、樹が希望した結果こうなった。住心地もなかなかいい。
このマンションに住んでいるのはだいたいが夢プロの卒業生だ。
「冷凍パスタでいいならあるけど」
「いっくんは冷凍食品が本っ当に好きだよね。レストラン行こうよ、たまに」
「わかった」
なんだか残念な気持ちになって、樹は自分の本音に気が付いた。
克樹に触りたいと無意識に思ってしまっていた。
それは克樹にも伝わっていたようだ。
「なに?いっくん、やらしいことしたいの?」
「な!…ちが!…くないかも」
克樹に優しい表情で見つめられてしまえば意地を張る気力もなくなってしまう。
樹は克樹に抱き着いていた。
「かっちゃん、寂しかった。ずっと寂しかった」
「いっくんは本当に寂しがりだね。
そうゆうとこ、大好き」
克樹に優しく背中を撫でられて樹はホッとした。
克樹の方を見上げれば、そのまま唇を奪われてしまう。
「ン…」
こうして唇を重ねるのも久しぶりだ。
克樹の舌の侵入を許すと、たちまち口内を犯されてしまう。
「んっ、あ、は…」
こうしてキスをすると、樹はいつも克樹のされるがままになってしまう。
なんだか悔しくて目を開けたら、自分を見つめる熱っぽい視線にどきりとした。
こんな表情で自分を求めてくれていることに今まで気付かなかった。
「あ…かっ…ちゃ」
ぢゅ、と舌ごと唾液を吸われる。
それに耐えきれなくて、樹はよろけた。
克樹が支えてくれる。
「いっくん、ベッドいこっか♡」
「っ…」
優しく手を引かれて、ベッドのある寝室に樹は連れて行かれた。
何をするかなんて、聞かなくても分かっている。自分はもう大人だ。
「いっくん、好きだよ」
「っああ!!」
克樹に優しく絶頂に導かれてしまう。
いつもの事ながら、克樹は自分のいいところを知り尽くしている。
何度も何度も体を重ねた結果である。
二人は裸のままベッドに寝そべっていた。
克樹は撮影の状況を樹に話してくれた。
「そうそう、向こうで風に会ったよ」
「元気だった?」
「うん。なんか向こうの女優さんに気に入られて専属のスタイリストになったんだって」
「すっごーい」
「疾風もこの前ドラマに出てたし、皆それぞれ活躍してるよね」
知り合いの活躍を聞くのはなかなか楽しい。
「そういえば真城先輩から個展のチケットもらってた」
「二人で行こうよ」
「もちろん」
健悟は歌手をしながら、俳優業をこなし、楓は舞台に立っているらしい。
芸能界は厳しい世界だ。
人気を保つのがいかに難しいか、毎日思い知らされている。
「ね、いっくん。俺に曲を書いてよ」
樹にはずっと、温めていたメロディがあった。
克樹にお礼がしたいと思ったあの時は漠然としていたが、プロデューサーとして年数を重ねるうちに、克樹には、曲で返そうと決めたのだ。
「うん、実はもうあって」
「やったぁ!とりあえずご飯食べに行かない?お腹空いた」
「賛成。俺もお腹空いた」
樹が克樹を見つめると、にっと克樹が笑ってくれる。
(幸せだな)
樹も笑い返した。
おわり
家に着くなり克樹が冷蔵庫を物色している。
樹は克樹と二人で夢プロの敷地内にあるマンションに暮らしている。
二人で暮らしていることを他の人間にあまり知られたくないと、樹が希望した結果こうなった。住心地もなかなかいい。
このマンションに住んでいるのはだいたいが夢プロの卒業生だ。
「冷凍パスタでいいならあるけど」
「いっくんは冷凍食品が本っ当に好きだよね。レストラン行こうよ、たまに」
「わかった」
なんだか残念な気持ちになって、樹は自分の本音に気が付いた。
克樹に触りたいと無意識に思ってしまっていた。
それは克樹にも伝わっていたようだ。
「なに?いっくん、やらしいことしたいの?」
「な!…ちが!…くないかも」
克樹に優しい表情で見つめられてしまえば意地を張る気力もなくなってしまう。
樹は克樹に抱き着いていた。
「かっちゃん、寂しかった。ずっと寂しかった」
「いっくんは本当に寂しがりだね。
そうゆうとこ、大好き」
克樹に優しく背中を撫でられて樹はホッとした。
克樹の方を見上げれば、そのまま唇を奪われてしまう。
「ン…」
こうして唇を重ねるのも久しぶりだ。
克樹の舌の侵入を許すと、たちまち口内を犯されてしまう。
「んっ、あ、は…」
こうしてキスをすると、樹はいつも克樹のされるがままになってしまう。
なんだか悔しくて目を開けたら、自分を見つめる熱っぽい視線にどきりとした。
こんな表情で自分を求めてくれていることに今まで気付かなかった。
「あ…かっ…ちゃ」
ぢゅ、と舌ごと唾液を吸われる。
それに耐えきれなくて、樹はよろけた。
克樹が支えてくれる。
「いっくん、ベッドいこっか♡」
「っ…」
優しく手を引かれて、ベッドのある寝室に樹は連れて行かれた。
何をするかなんて、聞かなくても分かっている。自分はもう大人だ。
「いっくん、好きだよ」
「っああ!!」
克樹に優しく絶頂に導かれてしまう。
いつもの事ながら、克樹は自分のいいところを知り尽くしている。
何度も何度も体を重ねた結果である。
二人は裸のままベッドに寝そべっていた。
克樹は撮影の状況を樹に話してくれた。
「そうそう、向こうで風に会ったよ」
「元気だった?」
「うん。なんか向こうの女優さんに気に入られて専属のスタイリストになったんだって」
「すっごーい」
「疾風もこの前ドラマに出てたし、皆それぞれ活躍してるよね」
知り合いの活躍を聞くのはなかなか楽しい。
「そういえば真城先輩から個展のチケットもらってた」
「二人で行こうよ」
「もちろん」
健悟は歌手をしながら、俳優業をこなし、楓は舞台に立っているらしい。
芸能界は厳しい世界だ。
人気を保つのがいかに難しいか、毎日思い知らされている。
「ね、いっくん。俺に曲を書いてよ」
樹にはずっと、温めていたメロディがあった。
克樹にお礼がしたいと思ったあの時は漠然としていたが、プロデューサーとして年数を重ねるうちに、克樹には、曲で返そうと決めたのだ。
「うん、実はもうあって」
「やったぁ!とりあえずご飯食べに行かない?お腹空いた」
「賛成。俺もお腹空いた」
樹が克樹を見つめると、にっと克樹が笑ってくれる。
(幸せだな)
樹も笑い返した。
おわり
21
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる