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ペテルギウスのゲーム
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「もうすぐ0時になるね。全く、こんなに夜遅くまで。あたしのつやつやな肌が傷むじゃないか」
ドレイアが鼻息荒く言う。やはり彼女も美容に気を遣っているらしい。ヒメリは窓から外を眺めた。まだ雨が降り続いているなと思う。そんな瞬間だった。
周りがいつの間にか真っ暗になっている。
ここはどこだろう。ヒメリは手探りで歩き出した。これがペテルギウスの言うゲームなのだろうか。それとも単純に罠かもしれない。だが、前に向かって歩かずにはいられなかった。自分の呼吸音がやたら大きく聞こえる。目を開けているのに何も見えないのはストレスだ。まだ自分の足音が聞こえるだけマシだろうか。
「キュ」
ふと足元を見ると真っ白な蜘蛛がいた。間違いない。ヒメリは彼女を抱き上げた。
「ヒメリ、あなたはあたし達が必ず守る」
鮮明にユキの声が響き渡る。まだ蜘蛛たちは諦めていないのだ。ペテルギウスに捕縛されている今もなお反逆の狼煙を上げようとしている。
「ユキ、俺も負けない。必ず奴に勝とう!」
「キュ」
ヒメリが気が付くと、世界は明るかった。目の前には草原、そして青い空が広がっている。だがその向こうに黒い靄のようなものがある。
ヒメリは今空中にいる。確実に落下しているのだが、全く怖くなかった。
「ヒメリ様!こんなところにいらっしゃいましたか!」
右隣にはギーファがいた。
「ヒメリ、あたしたちは勝つよ」
左隣のドレイアが力強く言う。そして前方にはクロードがいた。彼がくるりと回りながら聞いてくれる。
「ヒメリ、大丈夫か?」
「はい。この世界は現実じゃないんでしょうか?これがゲーム?」
「まぁあいつの土俵の上なのは間違いないな」
クロードが苦々しく言う。自分たちはずっとペテルギウスのペースに巻き込まれてしまっている。もしそれを崩せるとしたら蜘蛛たちの力に頼らざるを得ない。だがそれは本当に最後の切り札に取っておいた方が良いだろう。
ここ数日、ギーファやビーに勝負における戦略の練り方を教えてもらったのだ。だが素直なヒメリにポーカーフェイスというものは無理だった。それにほとんどゲームをしたことがない素人にいきなり戦略なんて練れるはずがない。
最終的に教わったことは切り札の使い方だろうか。だがそれすらもヒメリは怪しい。
「ヒメリ様、美しいです!ブラボー!」
「ヒメリ、可愛い服を着てるんだな」
「え?」
ギーファとクロードに言われて、ヒメリは自分の格好を見た。真っ白なゆったりした外套に透け感のあるパンツを履いている。こんなものははじめ身に付けてなかったはずだ。
そこでユキのことを思い出す。確か彼女もこんなワンピースを着ていた。ユキはこうして自分のそばに居てくれる。それが嬉しかった。
「あたしにも専用の衣装があればまだよかったのにねぇ」
ドレイアがぼやく。
「お師匠様、お洋服なら私にお任せくださいな」
「まま、びーにも!!」
「ビー?ヴィク?」
ギーファが驚きのあまり、目を見開いている。
ヴィクトリアがドレイアの服を可愛らしいものに変化させている。もちろんビーのワンピースもだ。もとの黒いワンピースにフリルが追加されている。ヴィクトリアは黒いタイトなスカートにベストを着ている。胸元にも黒いリボンを付けていた。
「おや、お前さんは?」
「私はギーファの妻、ヴィクトリア。こちらは娘のビーナスです。お師匠様、どうぞよろしくお願い致します」
「そうかい。ギーファも所帯を持ったのかい」
「は、はい。紹介が遅れてしまい申し訳ありません」
ギーファが汗をだらだら垂らしながら言う。
ドレイアは笑った。
「いいかい、あたしたちは勝ちに来てる。なにがなんでも勝利をもぎ取るよ」
「はい!!!」
ドレイアの言葉に皆返事をした。
ドレイアが鼻息荒く言う。やはり彼女も美容に気を遣っているらしい。ヒメリは窓から外を眺めた。まだ雨が降り続いているなと思う。そんな瞬間だった。
周りがいつの間にか真っ暗になっている。
ここはどこだろう。ヒメリは手探りで歩き出した。これがペテルギウスの言うゲームなのだろうか。それとも単純に罠かもしれない。だが、前に向かって歩かずにはいられなかった。自分の呼吸音がやたら大きく聞こえる。目を開けているのに何も見えないのはストレスだ。まだ自分の足音が聞こえるだけマシだろうか。
「キュ」
ふと足元を見ると真っ白な蜘蛛がいた。間違いない。ヒメリは彼女を抱き上げた。
「ヒメリ、あなたはあたし達が必ず守る」
鮮明にユキの声が響き渡る。まだ蜘蛛たちは諦めていないのだ。ペテルギウスに捕縛されている今もなお反逆の狼煙を上げようとしている。
「ユキ、俺も負けない。必ず奴に勝とう!」
「キュ」
ヒメリが気が付くと、世界は明るかった。目の前には草原、そして青い空が広がっている。だがその向こうに黒い靄のようなものがある。
ヒメリは今空中にいる。確実に落下しているのだが、全く怖くなかった。
「ヒメリ様!こんなところにいらっしゃいましたか!」
右隣にはギーファがいた。
「ヒメリ、あたしたちは勝つよ」
左隣のドレイアが力強く言う。そして前方にはクロードがいた。彼がくるりと回りながら聞いてくれる。
「ヒメリ、大丈夫か?」
「はい。この世界は現実じゃないんでしょうか?これがゲーム?」
「まぁあいつの土俵の上なのは間違いないな」
クロードが苦々しく言う。自分たちはずっとペテルギウスのペースに巻き込まれてしまっている。もしそれを崩せるとしたら蜘蛛たちの力に頼らざるを得ない。だがそれは本当に最後の切り札に取っておいた方が良いだろう。
ここ数日、ギーファやビーに勝負における戦略の練り方を教えてもらったのだ。だが素直なヒメリにポーカーフェイスというものは無理だった。それにほとんどゲームをしたことがない素人にいきなり戦略なんて練れるはずがない。
最終的に教わったことは切り札の使い方だろうか。だがそれすらもヒメリは怪しい。
「ヒメリ様、美しいです!ブラボー!」
「ヒメリ、可愛い服を着てるんだな」
「え?」
ギーファとクロードに言われて、ヒメリは自分の格好を見た。真っ白なゆったりした外套に透け感のあるパンツを履いている。こんなものははじめ身に付けてなかったはずだ。
そこでユキのことを思い出す。確か彼女もこんなワンピースを着ていた。ユキはこうして自分のそばに居てくれる。それが嬉しかった。
「あたしにも専用の衣装があればまだよかったのにねぇ」
ドレイアがぼやく。
「お師匠様、お洋服なら私にお任せくださいな」
「まま、びーにも!!」
「ビー?ヴィク?」
ギーファが驚きのあまり、目を見開いている。
ヴィクトリアがドレイアの服を可愛らしいものに変化させている。もちろんビーのワンピースもだ。もとの黒いワンピースにフリルが追加されている。ヴィクトリアは黒いタイトなスカートにベストを着ている。胸元にも黒いリボンを付けていた。
「おや、お前さんは?」
「私はギーファの妻、ヴィクトリア。こちらは娘のビーナスです。お師匠様、どうぞよろしくお願い致します」
「そうかい。ギーファも所帯を持ったのかい」
「は、はい。紹介が遅れてしまい申し訳ありません」
ギーファが汗をだらだら垂らしながら言う。
ドレイアは笑った。
「いいかい、あたしたちは勝ちに来てる。なにがなんでも勝利をもぎ取るよ」
「はい!!!」
ドレイアの言葉に皆返事をした。
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