4 / 21
4・活動開始!
しおりを挟む
「というわけで、5月のコミケに向けて、ここにいる皆で動こうと思っているの!」
今、漫研内では今後の活動方針についての話し合いが行われている。どうやら早速イベント参加をする目論見らしい。心海は大学生ってすごいなーとドキドキしながら話を聞いていた。イベントに参加する、ということはサークルとして同人誌を出したり、コスプレをするということも含まれている。心海には当然、そんな経験はない。だが、同人誌を創るという言葉にいつの間にか惹かれていた。
「というわけで、コスプレか同人誌作成のどちらか、または両方に参加して欲しいの。皆、今から決めてくれる?」
心海は覚悟を決めることにした。コスプレのような周りから目立つ行動が自分に向いていないのは重々承知している。そろり、と同人誌の班に入った。
「君、ここちゃん、だっけ?」
「は、はい」
先輩の一人に声を掛けられて、心海はカチコチになりながら返事をした。
「絵を描くって言ってたよね?漫画は描いたことある?」
「あ…えーと、ほぼないです。四コマなら少しあります」
「お、いいね」
「え!本当に落書きくらいしか描けませんよ!」
慌てて言ったが、それで構わないと答えられて心海はびっくりした。
「同人誌は楽しんで創るものだから」
「ここちゃん、僕も君の漫画読んでみたいな」
「瑛太くんまで?!」
いつの間にか瑛太にここちゃんと呼ばれて、心海は思わず後ずさった。こんなイケメンに、と一人でドキドキしているとぎゅっと両手を握られて顔を覗き込まれている。瑛太の顔立ちは華やかだ。
(さすが王子様は違うしBLだったらご褒美展開)
「とりあえず描いてみて。君の一番好きな作品は何?なんでもいいからね」
「は、はい」
心海はペンケースから鉛筆を取り出して、好きなキャラクターを描き始めた。
毎日のように描いているので、手が覚えている。
「あー、絆されのアイちゃんかー」
「わ、分かりますか?」
「うん、上手だよ。練習すれば本格的な漫画が描けそうだね」
「え…」
正直な話、心海は自分で描いた絵を他人に見せたことがなかった。時々、律に見られて慌てて隠したりということは何度かあったが。
「あの…漫画の描き方教えてもらえますか?」
「うん、構わないよ。あ、確かそういう資料あったはず」
彼が持ってきたのは漫画の描き方という本だった。キャラクターのデッサンに始まり、パースの取り方やコマの割り方まで簡単な説明で書かれている。
「すっごーい。こんな本あるんだ」
「あげるよ。もう新しい資料買うから」
「え、良いんですか?」
「いいよ。それで、絵は普段から鉛筆で描いてるの?」
「はい。デジタルは難しいのかなあって」
「練習は必要かもしれないけど、無料で使えるアプリもあるしやってみたら?」
「え!無料?!」
先程から、自分は驚いてばかりいるなと他人事のように思いながら心海はアプリのインストールの仕方を教わった。スマートフォンは高校生の頃から持っていたが、プランの関係上、自由に使わせてもらえなかったのだ。大学生になり自分で料金を支払うと申し出たところ、新しい、容量の大きな機種に変更させてもらえた。
(すごい、これならいっぱい絵が描ける)
「ここちゃん、原稿のことなんだけど…」
「は、はい」
心海はメモを取りながら先輩の指示を聞いた。
「瑛太くん、絵うっま。すぐプロになれそう」
どっと向こうが騒がしい。心海がそちらへ近寄ると部員たちが場所を空けてくれる。お礼を言いながら前に出ると瑛太が小さなスケッチブックを掲げていた。そこにはディフォルメされたキャラクターが描かれている。
「わあ、瑛太くんすっごーい」
「ここちゃんもこれくらいすぐ描けるようになるよ」
「ええー。じゃあ練習する」
「ふふ、付き合うよ」
瑛太の言葉に心海はドキッとした。
(王子が優しすぎる)
ふと律の顔を思い出す。彼は今日から練習が入っていると言っていた。おそらく遅くなるだろうが夕食は準備したい。
「あのね瑛太くん、俺、幼馴染と同居してて夕食は作ってあげたいんだ。だけど少し付き合ってくれる?」
「もちろんいいよ。幼馴染って女の子?」
「え!男だよ!」
「好きなんだ?」
「え」
瑛太に何故そこまで見抜かれたのだろうと心海は焦った。
「そ、そりゃあ好きだよ。親友だし」
「じゃあ、僕も親友にしてくれない?」
「え、えーと」
親友と言う言葉では律への好意を完全に表現できないことに今更気が付く。
(俺はりっくんのこと本当に好きなんだ)
「ここちゃん、一緒に資料見よ」
「あ、うん」
瑛太の隣に座ると彼の爽やかスマイルがアップで迫って来る。
(ああ…りっくんに告白出来たらなあ)
心海は瑛太といる間、もやもやとずっと考えていた。
今、漫研内では今後の活動方針についての話し合いが行われている。どうやら早速イベント参加をする目論見らしい。心海は大学生ってすごいなーとドキドキしながら話を聞いていた。イベントに参加する、ということはサークルとして同人誌を出したり、コスプレをするということも含まれている。心海には当然、そんな経験はない。だが、同人誌を創るという言葉にいつの間にか惹かれていた。
「というわけで、コスプレか同人誌作成のどちらか、または両方に参加して欲しいの。皆、今から決めてくれる?」
心海は覚悟を決めることにした。コスプレのような周りから目立つ行動が自分に向いていないのは重々承知している。そろり、と同人誌の班に入った。
「君、ここちゃん、だっけ?」
「は、はい」
先輩の一人に声を掛けられて、心海はカチコチになりながら返事をした。
「絵を描くって言ってたよね?漫画は描いたことある?」
「あ…えーと、ほぼないです。四コマなら少しあります」
「お、いいね」
「え!本当に落書きくらいしか描けませんよ!」
慌てて言ったが、それで構わないと答えられて心海はびっくりした。
「同人誌は楽しんで創るものだから」
「ここちゃん、僕も君の漫画読んでみたいな」
「瑛太くんまで?!」
いつの間にか瑛太にここちゃんと呼ばれて、心海は思わず後ずさった。こんなイケメンに、と一人でドキドキしているとぎゅっと両手を握られて顔を覗き込まれている。瑛太の顔立ちは華やかだ。
(さすが王子様は違うしBLだったらご褒美展開)
「とりあえず描いてみて。君の一番好きな作品は何?なんでもいいからね」
「は、はい」
心海はペンケースから鉛筆を取り出して、好きなキャラクターを描き始めた。
毎日のように描いているので、手が覚えている。
「あー、絆されのアイちゃんかー」
「わ、分かりますか?」
「うん、上手だよ。練習すれば本格的な漫画が描けそうだね」
「え…」
正直な話、心海は自分で描いた絵を他人に見せたことがなかった。時々、律に見られて慌てて隠したりということは何度かあったが。
「あの…漫画の描き方教えてもらえますか?」
「うん、構わないよ。あ、確かそういう資料あったはず」
彼が持ってきたのは漫画の描き方という本だった。キャラクターのデッサンに始まり、パースの取り方やコマの割り方まで簡単な説明で書かれている。
「すっごーい。こんな本あるんだ」
「あげるよ。もう新しい資料買うから」
「え、良いんですか?」
「いいよ。それで、絵は普段から鉛筆で描いてるの?」
「はい。デジタルは難しいのかなあって」
「練習は必要かもしれないけど、無料で使えるアプリもあるしやってみたら?」
「え!無料?!」
先程から、自分は驚いてばかりいるなと他人事のように思いながら心海はアプリのインストールの仕方を教わった。スマートフォンは高校生の頃から持っていたが、プランの関係上、自由に使わせてもらえなかったのだ。大学生になり自分で料金を支払うと申し出たところ、新しい、容量の大きな機種に変更させてもらえた。
(すごい、これならいっぱい絵が描ける)
「ここちゃん、原稿のことなんだけど…」
「は、はい」
心海はメモを取りながら先輩の指示を聞いた。
「瑛太くん、絵うっま。すぐプロになれそう」
どっと向こうが騒がしい。心海がそちらへ近寄ると部員たちが場所を空けてくれる。お礼を言いながら前に出ると瑛太が小さなスケッチブックを掲げていた。そこにはディフォルメされたキャラクターが描かれている。
「わあ、瑛太くんすっごーい」
「ここちゃんもこれくらいすぐ描けるようになるよ」
「ええー。じゃあ練習する」
「ふふ、付き合うよ」
瑛太の言葉に心海はドキッとした。
(王子が優しすぎる)
ふと律の顔を思い出す。彼は今日から練習が入っていると言っていた。おそらく遅くなるだろうが夕食は準備したい。
「あのね瑛太くん、俺、幼馴染と同居してて夕食は作ってあげたいんだ。だけど少し付き合ってくれる?」
「もちろんいいよ。幼馴染って女の子?」
「え!男だよ!」
「好きなんだ?」
「え」
瑛太に何故そこまで見抜かれたのだろうと心海は焦った。
「そ、そりゃあ好きだよ。親友だし」
「じゃあ、僕も親友にしてくれない?」
「え、えーと」
親友と言う言葉では律への好意を完全に表現できないことに今更気が付く。
(俺はりっくんのこと本当に好きなんだ)
「ここちゃん、一緒に資料見よ」
「あ、うん」
瑛太の隣に座ると彼の爽やかスマイルがアップで迫って来る。
(ああ…りっくんに告白出来たらなあ)
心海は瑛太といる間、もやもやとずっと考えていた。
170
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん<山野 石郎>改め【イシ】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中……俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない<覗く>という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!
キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!?
あらすじ
「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」
前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。
今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。
お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。
顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……?
「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」
「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」
スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!?
しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。
【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】
「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる