陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ

文字の大きさ
12 / 21

12・小さな年上

しおりを挟む
漫研の部室に行くと、珍しいことに心海一人だけだった。部室はしん、と静まり返っている。

(誰もいないのかな?)

部室内の電気を点けようとして、心海は違和感に気が付いた。何かがいる。

「誰?」

いつの間にか雨が降り雷が鳴っている。部室内を雷がピシャリと鳴らす。そこにいたのは小さな人だった。心海の肩くらいまでの身長の彼は心海を見てニイイと笑った。薄紫の長い髪の毛を結って肩に流したその人は恐ろしい程美しい。
心海は怖くなり後ずさったが、逃げるという判断すら出来なかった。

「君が心海?エイタがいつも君の話をしているよ。可愛いね。今日は話があって来たんだ。お茶もお菓子もあるから、まぁゆっくりしていってくれたまえ」

心海は混乱していたが、素直に従うことにした。相手は瑛太のことを知っている、そう思ったからだ。

「僕はスイケ。エイタのいとこだよ。意外に見えるかもしれないけれど、僕は君より年上だ。王国で教師を務めている」

急なことに心海はついていけなかった。彼が年上であることも仰天なのに、王国という聞き慣れないワードまであっさり出てくる。

「えっと、スイケさんは外国の人なんですか?」

「厳密には違うけど、そのようなものだと思って欲しい」

スイケの言葉に心海は疑問を感じる。正直なところ、分からないことばかりだ。

「でね、リツのことなんだけど」

何故律の名前が出てくるのだろう、と心海は焦った。

「りっくんのことを知っているんですか?」

震える声で尋ねたら、スイケに落ち着いてと頭を撫でられていた。スイケが基本的に優しい人であることは間違いない。

「リツはある事故でこの世界に流れ着いたんだ。
向こうの世界にあるあの子の因果を解かなくては」

「え…どういうこと?何かの漫画の話ですか?」

スイケがにっこり笑う。

「現実の話だよ。この世界以外にも沢山の世界が存在しているんだ」

「…つまり、多次元世界ってこと?」

「そうだよ。架空のものと思われがちだが、それは現実なんだ」

「りっくんはどうなるの?」

「リツを向こうの世界に連れて行く必要がある」

「でも大学だってあるのに」

「君たちには長い夏休みがある。違うかな?異次元も悪くないよ。心海、君にも一緒に来て欲しい」

「…行きます。絶対に行きます!」

「スイケ!!何をやってるんだ!」

やって来たのは瑛太だ。心海は急にホッとした。

「おや、人払いの術をかいくぐってくるなんて、エイタもなかなかやるようになったね」

「僕だって成長してるさ。ここちゃん、大丈夫?」

「瑛太くん、りっくんは異次元の人なの?もしかして君もそうなの?」

心海の瞳から涙が溢れてくる。怖くて怖くてたまらなかった。瑛太が心海を抱きしめる。

「大丈夫だよ。因果を解けば律くんはこの世界で暮らせる。まさか彼がこの世界に来ているなんて」

「りっくんはこのことを知っている?」

「いや、多分忘れてしまっている。彼の父親は伯爵なんだ。今まで気が付かなかったなんて僕も平和ボケしていたよ」

「エイタ、君はまだまだだなぁ」

「うるさいよ」

とりあえず落ち着いて、と瑛太に言われて心海は頷いた。

「大丈夫、まだ夏休みまで時間があるから、律くんにも説明出来る。きっと彼の中でも変化が起きているんじゃないかな」

「俺はどうすればいい?」

「ここちゃん、大丈夫。律くんと変わらずに生活をすればいいんだ」

「分かった」

やっと涙が止まってくれた。

「あ、遊園地、僕も行くからね!」

スイケの申し出に瑛太はため息を吐いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん<山野 石郎>改め【イシ】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中……俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない<覗く>という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら

たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生 海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。 そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…? ※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。 ※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...