18 / 21
18・オアシス
しおりを挟む
「ずっと砂だな」
「うん、すごいね」
心海たちは砂漠の中を歩いている。荷物はラクダに載せているので、身軽だ。砂漠は気温が高いので、心海たちはスイケに空気調整魔法をかけてもらっていた。お陰で普段と同じようにいられる。
「レリウス…様ってどんなやつなんだ?」
「幼女」
律の言葉に瑛太とスイケがハモる。
「幼女…って端的すぎないか?」
「俺はなんとなく分かったかも…」
心海が言うと、律が叫ぶ。
「ヲタク関連の話であることはよく分かった!」
「まぁまぁ、りっくん。ヲタも今は受容されてきてるんだし」
「心海、ヲタ受容されてきた理由の一つに外見があるからな!?今のヲタはな、擬態が上手いんだよ!」
「そうだったんだ」
ぽむ、と瑛太が手を打つ。
「おい、瑛太!お前には言ってないし、さりげなく心海に近寄るな!」
「えー、いいじゃない」
「うんうん、仲良きことは美しかな」
スイケが微笑ましそうに頷いている。
「ほらほら、もう夜が来てしまうよ。先を急ごう」
スイケの号令で心海たちは先を急いだ。途中のオアシスで休息を取ろうと言われる。月が真上に昇る頃、ようやくそのオアシスが見えてきた。
「すごい、急に湖があるんだ」
心海はふと灯りのついた家屋に目を取られた。
(異次元猫カフェ出張中?)
「ここちゃん、あのお店が気になるの?」
瑛太に話しかけられて心海は笑った。
「気になるけどお金もないし」
「本当だな。俺たちの世界の金、ここじゃ使えねえじゃねえか」
「まぁ一応両替は出来るけど、今日は疲れてるだろうから休もうね」
スイケの提案に皆が頷く。心海もへとへとだった。下半身が痛くてしょうがない。
「心海」
「わ!」
律にひょいと抱き上げられて、心海は驚いて彼に掴まった。律の顔がすぐそばにある。心海の顔はそれにかーっと熱くなった。顔を見られないように頑張って背けてみるが意味を成さない。
「り、りっくん。不意打ちは駄目だよ?」
一応怒っているという顔をしようとしてみたが無駄だった。律が笑う。
「心海、体痛いだろ?普段動かないもんな、お前」
「うん、動かない」
「今度一緒に走るか?」
「うん」
律の首に抱き着くとよしよしと頭を撫でられる。
一行はオアシスのそばにある宿屋に入った。丸いテントはまるで、遊牧民族を思わせる。心海は律と同室のようだ。
「明け方には出立したい。短い時間だけど、よく休むんだよ」
スイケに言われて二人は頷いた。部屋に入ってみると、一つ大きなベッドが置かれている。
「一緒に寝るしかねえな」
律の言葉に心海は動揺した。ベッドにすとんと座らされる。
「なぁ、心海?シャワーあるみたいだし、先に浴びてこいよ。寝間着もあるし」
「う、うん」
自分は何をそんなにドキドキしているのだろう。
律のことは心から信じているはずだ。
(違う…俺が期待しているんだよね)
恋人になりたい、いや、もっと深い関係に。心海はいつからかそう願っている。はじめにそう思ったのはいつだったか、もう定かではないが、確実に思っているのは間違いない。
シャワーはぬるくて、勢いも弱かったが、浴びたらさっぱりした。
「りっくん、お待たせ」
「おう」
律がタオルと着替えを手にシャワールームに消えたのを確認して、心海はほう、と息を吐いた。とにかく長い1日だった。ベッドに横になると目を閉じないといられないくらいだ。
心海はそのまま眠ってしまった。
「ん…」
心海が気が付くと律と目が合った。
「おはよ…?りっくん」
「まだ朝じゃないけどな。もっとこっち来い。ベッドから落ちるぞ」
律に手招きされて、心海は律に近寄った。
ぎゅ、と律に抱き締められている。
「はー、こうしたかった」
「りっくん、眠れる?」
「大丈夫だよ。お前触ってると癒やされるし」
「えっち」
「そ、そんなの仕方ねーだろ!」
心海はおかしくなって笑ってしまった。律もつられて笑っている。
「寝よう」
「うん」
律の体温と鼓動を感じて、心海はホッとして眠りに就いていた。
「うん、すごいね」
心海たちは砂漠の中を歩いている。荷物はラクダに載せているので、身軽だ。砂漠は気温が高いので、心海たちはスイケに空気調整魔法をかけてもらっていた。お陰で普段と同じようにいられる。
「レリウス…様ってどんなやつなんだ?」
「幼女」
律の言葉に瑛太とスイケがハモる。
「幼女…って端的すぎないか?」
「俺はなんとなく分かったかも…」
心海が言うと、律が叫ぶ。
「ヲタク関連の話であることはよく分かった!」
「まぁまぁ、りっくん。ヲタも今は受容されてきてるんだし」
「心海、ヲタ受容されてきた理由の一つに外見があるからな!?今のヲタはな、擬態が上手いんだよ!」
「そうだったんだ」
ぽむ、と瑛太が手を打つ。
「おい、瑛太!お前には言ってないし、さりげなく心海に近寄るな!」
「えー、いいじゃない」
「うんうん、仲良きことは美しかな」
スイケが微笑ましそうに頷いている。
「ほらほら、もう夜が来てしまうよ。先を急ごう」
スイケの号令で心海たちは先を急いだ。途中のオアシスで休息を取ろうと言われる。月が真上に昇る頃、ようやくそのオアシスが見えてきた。
「すごい、急に湖があるんだ」
心海はふと灯りのついた家屋に目を取られた。
(異次元猫カフェ出張中?)
「ここちゃん、あのお店が気になるの?」
瑛太に話しかけられて心海は笑った。
「気になるけどお金もないし」
「本当だな。俺たちの世界の金、ここじゃ使えねえじゃねえか」
「まぁ一応両替は出来るけど、今日は疲れてるだろうから休もうね」
スイケの提案に皆が頷く。心海もへとへとだった。下半身が痛くてしょうがない。
「心海」
「わ!」
律にひょいと抱き上げられて、心海は驚いて彼に掴まった。律の顔がすぐそばにある。心海の顔はそれにかーっと熱くなった。顔を見られないように頑張って背けてみるが意味を成さない。
「り、りっくん。不意打ちは駄目だよ?」
一応怒っているという顔をしようとしてみたが無駄だった。律が笑う。
「心海、体痛いだろ?普段動かないもんな、お前」
「うん、動かない」
「今度一緒に走るか?」
「うん」
律の首に抱き着くとよしよしと頭を撫でられる。
一行はオアシスのそばにある宿屋に入った。丸いテントはまるで、遊牧民族を思わせる。心海は律と同室のようだ。
「明け方には出立したい。短い時間だけど、よく休むんだよ」
スイケに言われて二人は頷いた。部屋に入ってみると、一つ大きなベッドが置かれている。
「一緒に寝るしかねえな」
律の言葉に心海は動揺した。ベッドにすとんと座らされる。
「なぁ、心海?シャワーあるみたいだし、先に浴びてこいよ。寝間着もあるし」
「う、うん」
自分は何をそんなにドキドキしているのだろう。
律のことは心から信じているはずだ。
(違う…俺が期待しているんだよね)
恋人になりたい、いや、もっと深い関係に。心海はいつからかそう願っている。はじめにそう思ったのはいつだったか、もう定かではないが、確実に思っているのは間違いない。
シャワーはぬるくて、勢いも弱かったが、浴びたらさっぱりした。
「りっくん、お待たせ」
「おう」
律がタオルと着替えを手にシャワールームに消えたのを確認して、心海はほう、と息を吐いた。とにかく長い1日だった。ベッドに横になると目を閉じないといられないくらいだ。
心海はそのまま眠ってしまった。
「ん…」
心海が気が付くと律と目が合った。
「おはよ…?りっくん」
「まだ朝じゃないけどな。もっとこっち来い。ベッドから落ちるぞ」
律に手招きされて、心海は律に近寄った。
ぎゅ、と律に抱き締められている。
「はー、こうしたかった」
「りっくん、眠れる?」
「大丈夫だよ。お前触ってると癒やされるし」
「えっち」
「そ、そんなの仕方ねーだろ!」
心海はおかしくなって笑ってしまった。律もつられて笑っている。
「寝よう」
「うん」
律の体温と鼓動を感じて、心海はホッとして眠りに就いていた。
46
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん<山野 石郎>改め【イシ】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中……俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない<覗く>という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!
キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!?
あらすじ
「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」
前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。
今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。
お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。
顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……?
「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」
「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」
スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!?
しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。
【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】
「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる